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BLの丘
緑の中の吐息 5
2013-06-06-Thu  CATEGORY: 吐息
途中からは覆うように茂っていた木がなくなり、眼下を見渡せる道に変わる。
道幅が狭くなるところなどは部分的にガードレールやロープがかけられていたりしたが、ほとんどの場所は客のマナーに委ねているところがあるようだ。
景観の問題など考慮して、また安全面にも配慮したらキリがなくなる。
どこまで人の手を加えていいものか…など。

滝

「ホント、緑が綺麗だね。曇ってても雨に濡れた後で光っているのが分かる」
遠くに連なる山々や川沿いにある集落などを視界に収めながら、澄んだ空気を吸い込んだ。
一度足が止まってしまったのは、美琴の休憩も兼ねていたからだ。
目の前、この先は、長々と続く階段になっている。
丸太が『Z』の文字を繋げたように段々に並べられていて、見上げただけで、ここを登っていくのか…と一つのため息がこぼれていた。
ただ、頂上と思われる地点が見えているだけに、あともう少しと最後の力が湧いてくる。

美琴は頷くにとどまっていた。酸素を取り込もうと呼吸が激しくなるばかりで、声までならずにいる。
瑛佑がスポーツドリンクのペットボトルを取り出してくれて、美琴は数口飲んでは喉を潤した。
荷物持ちをさせてしまっていることは申し訳ないなと思うものの、今の美琴には自分の体を支えるのが精一杯だ。
瑛佑の手が伸びてきて、同じものを瑛佑も口に含む。
「美琴さん、無理しなくてもおんぶしていってあげるよ」
「け、結構ですよ、そんなっ。怪我をしているわけでもないのに」
クスクスと笑われて、からかわれているのが分かって、美琴は恥ずかしがっているのか怒っているのか、先に一歩を踏み出した。
「あ、待ってよ~、美琴さ~んっ」
リュックの中にボトルを戻し入れながら、瑛佑が甘えた声を上げて後を追ってくる。
段差があるところなどは、必ずと言っていいほど、瑛佑は美琴の後ろを歩いた。
美琴のペースにあわせる意味もあったし、万が一の転倒の時に視界の中にあるだけに気付くことに遅れがない。

急な上り坂でもなかったせいか、意外とすんなりと山頂にたどり着くことができた。
土がむき出しの上には、腰かけるのにちょうど良さそうな岩がゴロゴロと転がっていたし、草むらとなってしまっているところにはレジャーシートも敷けそうだ。
ポツンと小さな小屋が建っていたが、明らかに現在は使われていないのが一目瞭然だった。
「何、コレ?山小屋?」
「造りからして…、もともとは『東屋』のようですね。何らかの理由があって、周りを板で囲ったのでしょう」
「だったら最初から山小屋、建てちゃえばいいのに」
「ハイキングコースに、そんな大がかりな建築物は建てないと思いますが」
誰もいないのをいいことに、二人は探検も兼ねて周辺をうろうろとした。
来た道をもどるのだとばかり思っていたが、人が通ったと分かる小道が草むらの間を通って、雑木林の中に吸い込まれているのを発見した。
「裏道…ですかね」
「ここまで来る途中、どこかに合流できそうな道ってあったっけ?」
ふたりして振り返るが、景色と足元に気を取られていたせいか、けもの道に近いものまで気が回っていなかった。
なんの整備もされていない、そこは、もしかしたら林業に携わる人が使うものだろうかと頭を巡らせる。
後で行ってみよう…という考えを持つ美琴の思考が理解できない瑛佑でもない。

「まぁ、いいや。ごはん食べちゃおう。まだ雨は降りそうにないし。空気も澄んでいて美味しいしさ」
さっさとレジャーシートを岩の近くに広げ始めた瑛佑は、美琴を呼び戻す。
この後、誰かが登ってくるかもしれないが、今は鳥のさえずりをBGMとして、静けさに包まれていた。
普段と変わらない食事なのに、運動したあとだからか、美味しく感じるのが不思議だ。
また気分も開放的にさせてくれる。
隣に並んで座った瑛佑が、卵焼きを箸先でカットして「美琴さん、あーんして」と口元に持ってきた。
いつもであれば文句の一つも二つもこぼれそうなのだが、こんな空間にいるからか、美琴は大人しく口を開けていた。
誰も見ていないからいいだろう。
美琴の気持ちにもおおらかさが宿っていた。

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カメ並みの進みですみません。
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コメント

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コメントnichika | URL | 2013-06-06-Thu 07:23 [編集]
おはようございます  素敵なフォットですね
今の季節に すがすがしい あー飛び込みたい!!水浴びです
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