FC2ブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
緑の中の吐息 1
2013-06-02-Sun  CATEGORY: 吐息
瑛佑が美琴から、次の週末に山歩きに行こうと誘われたのは月曜日の夜のことだった。
今日も帰宅が遅かったのか、瑛佑の帰りをわざわざ待っていてくれたのか、リビングにその姿があった。
瑛佑の帰宅時間は深夜の2時前後だ。
美琴はすっかり寝る準備ができていて、きっとこの用件を伝えたかったのだと理解することができる。
普段であれば、眠っているか起きているかはともかく、深夜を回った時間に美琴はベッドに入ってしまう。
仕事の忙しさも充分なくらい承知しているから、ベッドで起きていたとしても何をすることなく二人並んで眠りにつく。
労働時間がズレていてもすれ違っているように感じないのは、お互いの配慮の良さがあるからだろう。
美琴がこうして待っていることもあれば、瑛佑は仮眠程度に眠って、朝早い朝食に付き合ったりする。
どちらも強制しているわけではなく、自然と歩み寄っていける空気が漂っていた。

美琴はソファの前のラグに座って、立てた膝とお腹の間に大きめの四角いクッションを抱えて、少し眠そうだ。
紺色の布地にイルカの絵柄がプリントされたパジャマは、この前水族館に出かけた時に買ってきたもので、小さくうずくまっている姿を見ると、とても大人の男性には見えないところが可愛いと瑛佑は顔に出さないように、いつも胸の内側で微笑んでいた。
文句を言いつつもきちんと着てくれているのだから、そこもやっぱり嬉しさが溢れてくる。

瑛佑は何をするよりも先に美琴のそばに寄って、同じくラグの上に胡坐をかいて座った。
「『山歩き』?! …って、美琴さん、そんな体力あるの?」
仕事では色々と動いていても、遊びに出るとなれば使う筋肉が違うのか、すぐに呼吸が乱れる美琴である。
自ら言い出すところが、瑛佑には疑問でしかない。
あからさまに突っ込むと不機嫌にもなられるので、普段はその手の話題はさりげなく反らしてしまっていたのだが、今回は驚きもあって言葉が飛び出してきた。
瑛佑の発言を聞いて、やはり美琴は少々不貞腐れたが、話を先に進めたい気持ちがあるのか、一瞬押し黙るだけで済んでしまった。
「ちょっとしたハイキング程度のものですよ。昔、植樹祭なども行われて遊歩道も整備されたのですが、今度当社のほうで開発と管理をすることになりましたので、その下見がてら…」
「下見…って、測量は完全に美琴さんの仕事じゃないよね?」
「い、行きたくないのなら別に無理にとは…っ」
そこまで言わせて、美琴が、なかなか一緒に出かけてあげられない瑛佑のために思いついたものだと気付く。
美琴なりに、良い口実だとでも思ったのだろう。
仕事を建前にもってくるところがなんとも美琴らしい。

このまま、休みの予定を覆しそうな美琴の態度に慌てて飛びついて抱きしめた。
「行く行く行く行くっ!!行きますよ~っ。『下見』でしょ、下見!お付き合いさせていただきます」
ギューギューと締めつけられて、美琴は話は済んだと、その場から逃げだそうと体を捩った。
誰がいなくても、この抱擁にはまだ慣れないで、照れくさくなる美琴なのだ。
「では、そのように準備をさせていただきます。お、お風呂、沸いてますからどうぞっ」
「はいはい」
ニコニコとしながら瑛佑は美琴を解放した。
いつまでもイチャコラしていられる時間帯でもないことは充分なくらい承知している。
メモでもいいのに、わざわざ待っていてくれたことだけでも感謝だ。

どんな場所なのか分かりはしないが、美琴が得ている情報から、自分で『行ける』と判断したのだから、それ相応のところなのだろう。
美琴から言いだしてくれた。それだけでも瑛佑には嬉しい出来事だったのだ。

エサやりでもしとく?

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ 
ポチっとしていただけると嬉しいです(〃▽〃)

6月になりましたね~。
ブログを立ち上げて早4年、を迎えようとしています。
まさかこんなに続けられるとは思ってもいませんでした。
記念祭(?)は月末ですが、そこまで伸ばす気はない『美琴のデート編』のスタートです。
かなり不定期になると思いますが、お待ちいただけると嬉しいです。

(昨日、村には新着が出なかったのですが、今日は平気かな…? ブログ内の新着で確認してくださいね。)


関連記事
トラックバック0 コメント1
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
コメントnichika | URL | 2013-06-02-Sun 15:11 [編集]
うん!一瞬背景が変わったような  アンケートのCPでしょうか?
久しぶりの甘々ですよね?
トラックバック
TB*URL
<< 2019/09 >>
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -


Copyright © 2019 BLの丘. all rights reserved.