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BLの丘
春が来てくれるなら 30
2013-05-16-Thu  CATEGORY: 春が来てくれるなら
【明野視点です】
毎回変わって、本当にすみません。


もう、幾度、弟(大月)の尻拭いをさせられただろうかとため息がこぼれた。
どこの男に襲われただとか、喧嘩ごとになって、巨摩を向かわせたことも一度や二度ではない。
そこは明野自身、甘えた結果だ。
相手を治めるためにも巨摩の存在はありがたかったけれど。
見た目だけで封じ込める威嚇がある。
"使った"……。その部分は否定できないだろう。
巨摩も分かっている。分かって、自分についてきてくれた。
だから『自分の力で事業を立ち上げたい』という希望も答えてあげられた。
いつか、いつの日か…。
新しい企画として…。思ったものは叶えてやりたかった。

失敗してもいいだろう。
資金を使い果たしたとしても。
彼のやりたいようにさせたい。
『大月を引き取る』とは、あまりにも意外だったが。


共に暮らすようになって、だけど、週末は出かけていく姿を知っていた。
昔から遊び歩いた人間だ。
今更一人や二人、愛人と言ったら失礼だろうが、そんな存在がいることは分かっていた。
弟だと分かったのはいつだろう。

それすら咎められなかったのは自分の弱さだ。
そして、遊び歩いた巨摩と大月を知る。
共に、単なる遊びでしかないのだとも知った。
自分が口出しすることでもないのだろう。それくらい、"簡単"な出来事。

巨摩から退職願いを出された時、「あぁ」と自然と受け止めていた。
退職とはいえ、同じ系列での仕事をするのだから、全てが離れるわけではない。
随分と前、『面倒になる』といった大月も引き抜いていた。
それは絶対条件だった。
明野の負担にさせないためにもそこに存在させなかった。
事業を立ち上げることは大月を放す、明野への想い。
今の会社で損になることを知っていた。
人を見る目は、やはり韮崎の特権ともいえるだろう。
本当の意味では"損"にならなくても、彼の使い方を見出せない社員ばかりだ。
そこを韮崎は分かっている。
大月は知らぬ間に"経営"を学んだ人であること。
言わずにはいるが、たぶん、その能力は、明野を越えるだろうと韮崎は見ていた。
だからこそ、自分のそばにおきたかった。

恋とや愛と違うものだ。
"能力"


明野はベッドの中でふと、こぼす。

『見守ってあげてよ』

誰のことを言うのかは巨摩もわかるのだろう。
弟を守りたい。どれだけの苦痛を自分が浴びても与えられても、血が繋がった人だ。
もういくつの尻拭いもしたけれど。
それでもやっぱり、"弟"だ。

「言っただろう。明野のために俺はいるんだって」
囁かれて頷いた。
「好き」
そうもつぶやいた。

「すき」
もう一度、年甲斐もなくつぶやいて。
翌日の朝、明野は全ての書類にハンコを押した。

大月を、自分の手から手放した。
間違いはない。信じたからこそ。

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