FC2ブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
春が来てくれるなら 7
2013-04-28-Sun  CATEGORY: 春が来てくれるなら
大月も『新入社員』のくくりだったが、韮崎が手塩にかけて育てていることは周知の事実で、扱いは全く異なる。
韮崎流の仕事の教え方だったこともあり、それは未来に向けての狙いでもあった。
既存の社員はもちろん、入社したての人間も大月の立場は自然と刷り込まれている。
まだ慣れない社員を、うまく配置転換することなど、韮崎には造作もない。
それゆえに、大月は、自分の下で働いてくれる人間を、すでに探し始めていたのかもしれないが。

明らかな好意の寄せられ方は、うざったいが嫌いではない。
本当に面倒になれば権力を振りかざしても足蹴にすればいいだけだ。
たぶん今なら、韮崎が協力してくれるだろうという甘えも、心の奥底にある。

「勝沼・・・さんって言ったっけ?」
「覚えてくれていたんですか?営業部の勝沼双葉(かつぬま ふたば)です」
大月が話に乗るように声をかけると、俄かに喜んだ節が見え、スッと身体を滑らせるように、近づいてきた。
もっとも触れあうほどの近さはない。
「営業部・・・か。見かけないはずだな」
「俺たちが御坂さんを知っていても、その逆はないと思っていたから意外ですね」
「こっちは何人分の新入社員の書類、作らされていたと思ってるんだよ。顔写真に名前に・・・。"同期くらい把握しておけ"って小言までもらってさ」
もちろん、嘘八百の発言である。
はっきり言って、興味のない人間など、顔をみたところで自社の社員だとは、判別もつかないくらい、おぼろげな記憶しかなかった。
しかし、勝沼は鵜呑みにしたようだ。
「すごい記憶力ですね。韮崎さんが目をつけているのも分かる」
「目をつける・・・って、あのなぁ・・・」
簡単に言えば、明野と一緒に動くのが韮崎であって、さらにその下に大月が入ったというだけの設定のはずだった。
本当のところ、周りにどう見られているのかは分からないが、表向きは、一族のことがあるから、韮崎が大月を構っている程度に捉えられていればいいと思っている。

大月と韮崎の"裏の事情"は隠すべきことで、悟られるのは危険な状況を生んでくる。
特に明野の存在だ。
遊んだ数は、数知れずの韮崎を知っている明野であったとしても、今現在の状況は耳に入れて気分の良いものではないはずだろう。
韮崎が大月を特別視している、などといった内容は、仕事だけのものであってほしい。
世間体を気にかけた父と、一応、可愛い弟の行く末を心配した兄を、手酷く傷つけたくはなかった。
新しい事業を始める際に、大月を引きぬいたとしても、それは同じ会社内にいることで気がそぞろになる大月を気遣ったことになる。

「え?違うんですか?今日だってずっと一緒にいたから・・・」
「都合良くコキ使えるからってだけだよ。他の連中に無理難題押し付けて、気分悪くさせるくらいなら・・・ってとこじゃない?」
「ふーん・・・」
勝沼は納得したような、していないような曖昧な返事で返してきた。
それ以上、韮崎の話題が飛びださなかったのは、大月にとっては良かったことだったが・・・

「明日は昼過ぎで研修、終了だろ?一部の連中内では、"打ち上げ"とかいって、集まりがあるみたいじゃん?」
更にその翌日は週末のため、休みである。
同期同士が、また、上司同士が、それぞれに交流を持つのは悪いことではないし、お互いに知らない面を知るいいきっかけになる。
あたりまえだが、そこに大月が呼ばれることはなかった。
「そう、みたいですね。御坂さんは?」
「俺?あのさぁ、どんだけウザい存在か分かってる?ハメはずしたいヤツらの邪魔をするようなもんだよ。そんなところに自ら行くか。俺だって楽しくもなんともない」
大月が尋ねてしまったことが、勝沼にはどんな意味に捉えられたのかは分からないが、少なくとも他の社員が持つような緊張感がないことだけは知れた。
自然と振る舞ってくれるところは、少しだけ大月の気分も緩ませる。

「じゃあ、明日は俺と一緒にどこか行きません?」
「はぁ?!」
「いや、俺も別に予定ないし。せっかくだから、もう少し御坂さんと話でもしたいな、と思って」
唐突な問いかけに目を剥けば、更に切り込んでくる態度に出会う。
社内で親しくなれる人間なんて限られていた大月にとっては、不思議な感覚だった。
大月好みの体躯という点も興味は惹かれたし、社内の人間であることに警戒心が解かれていたのかも。
「それともすでに予定アリ?」
真正面から問われて、大月の口角が上がった。
整った勝沼の額から、温まったのか、じわりと汗が浮いている。

・・・ますます良い男に見えるな・・・

大月は無意識のうちに、獲物を狩る妖艶な笑みを浮かべていた。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ぽちっとしていただけると嬉しいです。

関連記事
トラックバック0 コメント1
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
みなさま こんにちは
コメントたつみきえ | URL | 2013-04-28-Sun 11:05 [編集]
またまたコメレスができない状態ですみません。
今は、タラタラと続きを書いているのが精一杯の状況で・・・
今頃になってから、あちこちの人物がはっきりと見えてくるかもしれません。
いっつも前置きが長くて申し訳ないのですが。

さぁ、いよいよGW突入しましたね。
こちらも何かと賑わっている室内です。
そんなにマメに顔ださなくていいよ。。。みたいな感じで(笑)

家事に仕事にと、様々な生活模様があるかと思います。
突然の日常の変化に、身体がついていかないわ~というかたももしかしたらいるかしら。
気ままに何かupしていきますので、暇が出来た時にでものぞいてくださいね。

またね~(^.^)/~~~
トラックバック
TB*URL
<< 2019/09 >>
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -


Copyright © 2019 BLの丘. all rights reserved.