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BLの丘
誘われたその先に 15
2013-03-27-Wed  CATEGORY: 誘われたその先に
目の前に現れた人間を凝視してしまう。
大人の貫録があるところは、高槻が好む性なのだろうか。

すでに『抱かれた』と豪語する発言には、和泉とは違う次元があった。
いつまでも和泉は、身体を開けていない。
「な・・・っ」
「生野はおまえじゃ、不満なんだよ。経験もないくせに、うろついているな」

男同士の関係はわからなくはないけれど、知った部分はある。
踏みきれない自分がいるのも承知していた。
和泉は、告げられた言葉に動揺と、落胆もしていた。
そばにいるだけでいいと言われて、そのとおり思い込んでいたけれど、傍らで燻っていた高槻の思いを知らされる。
だからといって、他の人間に逃げられていたと分かれば、大人しくうなずいて身を引けるものではなかった。

「俺だって・・・っ」
悔し紛れの声が掠れて出た。
高槻をつなぎとめたい思いは誰よりもあると思っていた。
自分では満足させられないとは、悔しくもある。
今でこそ、まだ、この目の前の男に奪われているのかと思えば尚更・・・。

あざけわらうような笑みが、彼の頬に浮かんだ。
「満足させられるのか?忘れるな。生野を満足させられるのは俺だ。足も開けないやつに何が言える?」
男女のセックスですら、おざなりだったかもしれない。
男同士のナニカに何を求められても、今の和泉には応えようがない。
相手を満足させること。それすら分からない。
ただ、高槻が、そばにいてくれている現実が、和泉をなりたたせている。

次のステップに踏めないことをののしられ、別れることを強要され・・・。

高槻はどう思っているのだろう。
不安にかられるのは、"付き合っている"と確証を得ている今でも、この男を抱いたという現実か。
高槻の行く末に、和泉の中に迷う答え。

男はスッときえてくれたけれど、和泉の中に残ったしこりは大きかった。
部屋の中、ソファでうずくまっているうちに、高槻が帰宅した。
こうして和泉が自由に出入りしてくれることが、高槻には嬉しいようだった。
微笑んだ眼差しは、そのまま和泉に降り注いでくる。
「ごはん、たべた?」
「うん・・・」
家政婦が用意してくれた料理をすでに口にしたと言えば、安心したかのように微笑まれた。
今日は肉じゃがとブリの照り焼きだ。
高槻のために何かしてあげたいと、温め直してあげようと、和泉はキッチンに走る。
上着を脱ぎ、ネクタイを外した高槻が背後に寄った。
背を抱かれて、・・・こんなときの高槻の勘のスルどさはどういえばいいのか・・・。
「また、何か悩んでる・・・」

男同士の関係に抱え込むことが多いとは、高槻の方が知るであろう。
それ以外の相談ごとも逃さずのってくれていた。
だからこそ、気のゆるせた『兄』。

言ってもいいのだろうか。
葛藤する胸の奥。出会った男の影が過っていく。
自分ではない男を抱いていること。自分以外の人間に向けられる眼差しがあること。
こちらから"浮気"を突きつけたら、高槻は何を思い、どんな態度に出てくるのだろう。

抱きしめられた腕のなかで、ひとつの吐息をもらした。

嘘だと思いたかった気持ちもあった。
高槻が想う人は自分だけなのだと。

「高槻さん、俺以外で、欲求不満はらしているって・・・?」
一瞬でも見開かれた態度に現実を知った。
あの男が言ったことは事実なのだと・・・。

突っぱねた腕が引き戻される。
「和泉っ、和泉っ」
何か宥めて言い聞かせようとするのは大人の、そのものなのか・・・。
分からなくて和泉は唇をかんだ。

「俺、高槻さんに応えられない存在なの・・・?」
最後までたどり着けなかったのは、自分の我が儘だとは分かっている。
高槻はいつだって待ってくれていた。
その隙間を埋めるように、他の人物に目を向けられても仕方がなかったのかもしれないが。

改めて訪れた第三者が、和泉の枷を壊す。

「抱いてよ・・・。最後まで・・・」

あの男よりも優位に立ちたい。そんな対抗心だったとしても、高槻を相手には、何もかも許せた。
自分の体に傷をつけられることでも。
彼の唯一の存在でいたいと思った。

目を見開いた高槻の衝撃がいかなるものだったのか。

「和泉・・・」
降り注がれる吐息に唇で答えてやる。

声をかけられて、応えて・・・。
誘われて自分の人生はどこか狂ってしまったのかもしれない。
でも、決して嫌ではない。

覚悟なんて、とっくの昔にできている、と内心でつぶやいた。
そう・・・、誘われたあの時に。

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ぼちってしてくれるとうれしいです。
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コメント

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ちょっと 高槻には幻滅したわぁ~
コメントけいったん | URL | 2013-03-27-Wed 09:12 [編集]
藤井寺の宣戦布告が 功を奏したのか 仇となったのか
和泉にとっては、覚悟する切欠になったのは 確かですね
(・ω・)......ン?
和泉に 絶縁されても 可笑しくない状況なのに これって 高槻氏には 美味しい展開じゃないの? 

和泉と もっと絆を深めたいなら
藤井寺とは もう ズルズルとした関係を断ち切ってよね!(怒)


『うーの にっき』
さっき いーちゃんのところに あそびに いこうとしたら もぅーくんパパが いました。
いずみちゃんと おはなしを してました。
だけど いつも えがおの いずみちゃんも もうぅーくんパパも わらってませんでした。
うーは、こわくて おうちに かえりました。

ケンカしたのかな?
おともだちと ケンカしては ダメって せんせいが いってたのにね
うーは、もぅーくんと このちゃんと ケンカしても すぐ ゴメンネするもん!
いずみちゃんと もぅーくんパパも ゴメンネしなきゃね~

あっ タンテイさんの うーは、ママに このことも いわなきゃ!
  
和泉がんばってます
コメントたつみきえ | URL | 2013-03-27-Wed 10:44 [編集]
常連様も拍手コメさまも お越しくださいましてありがとうございます
和泉、つかみ取るために必死になりだしましたね。

最低な高槻かもしれないけれど、我慢して絶えていたところもあつたんだね
許されることじゃないでしょうが。

和泉に 火をつけました。
さぁ、どうなるよ、今後~。


『もものにっき』

パパはうーちゃんのおじさんに会いに行きました。
でもオジャマムシに会ってしまったようです。
いっきー(生野)おじちゃんには会えなかったようです。

会えなかったけれど、おちこんでいたパパも少しスッキリしてのお帰りでした。
「桃谷、何か食べたいものがあるか?」
きょうはれすとらんでごはん いただきました。

うーちゃんと うーちゃんのおじちゃんと よにんで たべにきたいなとおもいました。
コメント履歴書のダウンロード | URL | 2013-03-27-Wed 13:02 [編集]
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。
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