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BLの丘
誘われたその先に 7
2013-03-21-Thu  CATEGORY: 誘われたその先に
『お礼』とはなんだろう・・・と一瞬、逡巡してしまった。
キョトンとした和泉を見ては、フッと口角を上げられる。
「食事、なんてどうかな。今日も我が儘を言ってお世話になったことだし」
紙袋に入れてもらった品にチラッと視線を向け、しかしすぐに和泉を正面から捉えた。
「お、お礼・・・って・・・。だから、いいって言ったじゃないですかぁ」
それに商品紹介くらいするのが『店員』ってものだろう。
そんなふうに言われてしまったら、誰の接客もできなくなるというものだ。

高槻は、困ったなぁという表情を見せた。
「私の気が済まないんだけれどね・・・」
「済ませてください」
「和泉くんって、意外と頑固?」
「え?、そ、んなことないと思いますけれど・・・」
「頑なに断られるとは、嫌われているのかな」
語尾は悲しそうに顔を歪めて見せたりもする。本気で言っているのではないだろうが、そこまで言われるとこちらが悪いことをしている気分だ。
嫌う、なんてありえないことなのに。
「まさかっ」
咄嗟に否定すれば、「じゃあ」と言質でもとったかのような自信の取り戻し方だった。

今、もしかして、誘導されたのだろうか・・・と気付いても遅いらしい。
高槻は「昼間は忙しいだろうから、夕食、なんてどう?」と誘ってくる。
「でも・・・」
和泉はまだ駄々をこねるように拒絶してしまう。
そんなふうにしてもらうほどのことはしていないと思っているからだった。
元々の考え方が高槻と違っているのだから、そこを理解してくれと言う方が無理な話なのか・・・。

「和泉くん、それともこの店内に、感謝状と品物を届けたほうがいいかな?」
いきなり、何を言いだすのか・・・といったものだった。
誰が出入りしているかもしれないこの店内で、名指しで呼ばれたら、なんの羞恥プレイかと思う。
本気でするとは思えないけれど、天秤にかけられたら、まだ食事の誘いのほうがいいと判断するのは当然だろう。
ここはもう根負けするしかない。

ただ、遠慮したい気持ちを持ちながら、先程感じた優越感のようなものは残っている。
高槻のような人間と会話を交わせること。
興味、だろうか。どんな振る舞いを見せるのか、自分にとって糧になれるだろうか・・・。
ひとつため息をこぼしてしまえば、何を意味するのか、高槻は悟ったらしく万遍の笑みを浮かべてくれた。
「この前渡した名刺、持ってる?都合のいい日が決まったら、そこに連絡してくれればいいから」
和泉の予定より、高槻の予定のほうじゃないだろうか・・・と気にかけるのだが、何を言っても返されそうで黙ってしまった。
反抗的な態度をとって嫌われたくないと過ったこともあったかもしれない。

去り際、高槻は腕の中の子供に「羽衣、ありがとう、は?」と、促していた。
少しの照れを見せながらも、素直に「ありがとうございました」と口にした。
なんとも可愛い仕草だな、と笑みがこぼれる。
こうやって見ていれば、どこから見ても『親子』である。
知らなければ誰もがそう思うだろう。

前回同様、高槻を見送っては盛大なため息をついてしまった。
返って手を煩わせてしまっていないか・・・
そんな不安の方が湧きあがってくる。
なんだろう。会話をしてしまったからなのか、今の良い状態を保ちたかったのだ。
ここのバイトもいつまで続けられるか分からないが、店員と客として良い関係でいたいと願望が生まれた。
高槻の人の良さを知ったからこそ。

しかし、和泉はなかなか連絡を入れることができずに時が過ぎた。

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ぼちってしてくれるとうれしいです。

後先考えずに連続upとかしちゃうかなぁ。
10話まで書けたことだし。その先は謎だけど。
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