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BLの丘
配達員
2013-01-31-Thu  CATEGORY: 策略はどこまでも
ブラジルに行っていた岩村卓也(いわむらたくや)が帰国した。
年末年始の休暇を利用したものでもあったけれど。
来期からまた国が変わるらしい。
世界をまたにかける・・・とは彼のためのあるのだろうと 那智は思う。

学生時代に行き慣れた居酒屋で再会をはたした。
いつものメンバーに緩む頬がある。
懐かしいメンツに 懐かしい話に 話は途切れない。

おまけしてもらった焼き鳥に舌包みをうち、昔話に華がさく。
無駄に話しかけてこないおかみさんとおやじさんに、感謝だけがつのった。
でもところどころ突っ込んでこられて笑いがもれる。

「岩村~、次、どこの国いくの~?」
那智が興味深そうに声をあげる。
少し酔った身体を久志は支えてやりながら、また離れてしまう友人を思う那智を久志は抱える。
たまにあうからこそ、また気を許せる存在だと分かるところか、少しばかり久志を悔しがらせた。
「今度はメキシコ。ブラジルより近いからおいでよ」
単なる社交辞令なのかもしれないけれど。
なかなか行けない海外だけれど、そこに知人がいるとは 何故か強く思えるものに変わる。

隣の友人からは苦情の声も響いた。
「なっちだけずるいじゃーん。俺らも泊めろよ」
「泊めるのはかまわないよ。でもそこまでくるのは当然自腹」
「ぇぇぇぇぇっっっっ」
「招待じゃないの~~~???」

そんな賑やかなやりとりを温かく見守ってしまう。
地方に飛んだ友人の泊まる先はさておき、せっかく戻ってきた岩村に、「うちに泊まるか?」と声をかけていたがあっさりと断られた。
「おまえらの元気そうな姿 見られて良かった」
その言葉をそのままお返しするといいたくなるものだ。

別れ際に岩村と久志は近づいて何かをささやいていた。
昔から知った人である。
一種の近寄りづらい存在。

「なっち、大事にしろよ」
「分かっているよ」
「今の久志が幸せそうで、それも嬉しいことだけれどな」
苦笑いに近い笑みに久志も口角をあげる。
那智を守るために、協力を仰いで 無茶もさせたものだ。

守ろうとして、また、守られてこれまで過ごしてきた。

岩村を見送り、那智を迎える。
付き合いの違いから積もる話も多く、しかし黙って待っていてくれた人に、新たな愛おしさがわいた。
「那智・・・」
立場や控え目さをしっかりと分かっている。
自分だったらうるさいほど聞いていそうだ。
抱きよせて軽くこめかみに唇を寄せると 「帰ろう」と促された。
自分たちが帰る場所。
岩村にもその他にも近寄られればわく嫉妬はある。
でも那智は何も言わない。黙られることは心配させたくない、寄せられるものが愛情だとおもうことができた。
確かに分かっては久志としても安堵する。
反して、自分に嫉妬して欲しいもの。
「那智・・・」

ぐいっと抱き寄せたら「家の中でいいじゃんっ」と強い反抗がもれた。
それは、家の中だったら何をしてもいいということだろうか。
くちづけては一度身体を離し、背を押す。

共に暮らす家に辿りついて、待ちきれないと口づけをおとし・・・
強請ってくる那智の態度にそれとなく気付いた。
貪るようにどんどんと求められることは嫌ではない。
口付けの隙間に「那智」と囁く。
「ばぁか・・・」
憎まれ口のその中。
那智の嫉妬が含まれていたと知るのは数秒後のことだった。

たとえ友人であっても親しく過ごしてしまった中に、言いようのない何かがあったのだろう。
決して口にはしないが。
分かってはやはり「バカ」と口角があがる。

変わることのない思いを信じてくれと。
また強がる那智を心底可愛いと思いながら。

ベッドへと運び組み敷いた那智は、いつもよりずっと久志を求める仕草を隠していなかった。

届けられる思いに胸がいっぱいになる。

岩村と何があるわけではないと言いたくなりながら、あえてそんなことは口にしなかった。

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コメント

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ファースト・ラブだったの♡ζ(//▽//)ζポッポッ♪
コメントけいったん | URL | 2013-01-31-Thu 18:29 [編集]
きえちんの作品で 最初に好きになった ツンデレ那智
今は
1位 周防、2位 佐貫、そして…
だいぶ ランクが落ちちゃったけど でも 好きだよ(笑)

守ってあげたい「受けちゃん」と 頼りになる「攻めさん」も 良いけど、
那智と久志のCPって 対等な立場なのが魅力ですよね♪

保育園では ツンデレの ”ツン”が無くなって可愛い那智
世話係なのに 丸投げ&暴走しちゃう久志
今 こんな2人の姿が 見れるなんて あの当時は 想像できなかったなぁ~...( = =) トオイメ

きえちん、思わぬ所で 名前を発見して 吃驚!
きえちんも あの作品が好きなの?
((o(★・ω・)人(・ω・☆)o)) ナ・カ・マ...byebye☆

なっちゃんのヤキモチ
コメントちー | URL | 2013-02-01-Fri 04:44 [編集]
そうかあ。なっちゃんもちゃんとヤキモチやくんだね。
当たり前か(笑)
いつも、ツンデレななっちゃんだけどこんな時は素直なんだね。ひなちゃんとか燕ちゃんに比べたらちっともだけどね。

久しぶりのちー妄想


「久志、ちゃんとやれって。いつも、言ってるだろ?」
「ヘイヘイ」
「お前には食わさない!」

いつもの二人のやり取り。そう、いつもの事だ。
なのに、いつの頃からか・・・
二人の間に友情ではない何かが纏うようになった気がする。日野には神戸という恋人がいる。久志が、昔はともかく今は那智しか見ていないのもわかっている。
わかってはいるけれど。

「仲良くしすぎ」

小さく小さく漏れた一言。

「大丈夫」

成俊がお絵かきしているように見せて呟いた。

「え?あ・・・」

思わず成俊を見つめてしまった那智に、今度はきちんと顔を向けて大丈夫だよと言ってくれる。

「成くん」

思わずギューッと成俊を抱き締めて。
成俊は、ヨシヨシと背中を擦ってくれる。
たった一言なのに、わかってくれた友人の存在が嬉しくてありがたかった。

「あー、二人でなに仲良ししてるの?俺もやるー」
「本当だ!那智、成くん、ズルい」
結局、みんなでふざけっこになってギャーギャー騒いで、那智の気持ちも少しは軽くなる。
家に帰ったら少しだけ甘えてみようか?
それとも、冷たくする?

「やっぱり、那智が一番可愛い」
「ヘイヘイ」
「だって、可愛いじゃんか?」

そんな二人の会話も知らず悩む那智だった。
けいったんさま
コメントたつみきえ | URL | 2013-02-01-Fri 09:45 [編集]
久々に 那智とヒサのまじめなシーンでした
いっぱい登場人物いますからね
その中で 好きな人 あってくれて 私は嬉しいです

対等な立場とは、この二人がベストなのかしら
他にもきっといるのでしょうが やっぱり最初の作品として思い出部会です

思わぬところ!!
私も久々にコメ書き込みましたね。
暇にまかせて読んでいるところはたくさんあるのですが

そっと消えてしまいたい思いをもちながら応援もしてしまうのです
コメントありがとうございました
ちーさま
コメントたつみきえ | URL | 2013-02-01-Fri 09:51 [編集]
またもや 妄想劇 ありがとうございます
なっちねぇ。
ちょっと強がりなところがあるけれど
本当は素直ないい子なんだよね

日野とじゃれているのも黙認。
いや、黙認し過ぎでしょう。(と思いながら進める作者)
分かっているから那智も見逃し、だけど本当の意味で甘えねだるみたいな部分を見せるのかな。
だからこそ、うまくいっている二人なのかもしれませんね

こめんとありがとうございした
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