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BLの丘
新しい家族 38 の番外編です
2013-01-23-Wed  CATEGORY: 新しい家族
慌てて書いた感じが多い作品ばかりで
本当は裏にはこんなのが・・・っていうの 思いついたから書きます。

大変申し訳ないのですが前後は本編を辿ってください。
家族 38



和紀が帰ったあと、奈義は呆然とソファに座りこんでいた。
聞いた話が本当のこととしては受け止められなかった。
ずっとそばにいてくれた人なのだ。
たとえひどい仕打ちがあったとしても、手の加え方には『手加減』というものがあった。

そう、日生を求めたときですら・・・

病名を聞いては、消えてしまうという印象しか浮かばない。
あの、自分を常に守ってくれた 周防が・・・か?!

半信半疑でその所在を調べさせた。
すでに和紀から聞いていたのだから 嘘などないのは確かで・・・

「おいっ、見舞い用の花と健康に良い果物の詰め合わせを用意しろ」
「でかい胡蝶蘭とかの鉢植えが豪華でいいですかねぇ」
「バカヤローッ、入院患者に鉢植え送るやつがいるかっ!!!」

まだ若い舎弟に文句なく蹴りが飛んだ。
周防を病院に居座らせるわけにはいかないのだ。

訳の分からないいらだちに覆われる。
自分は周防に対して何もしてやれない。
悔しさも混じるくらいに。

翌日の面会時間 一番に奈義は周防のもとを訪れた。
周りの目もある。決して迷惑にはならないようにと、目立つ連中は避けた。
どこでも視線が向けられていることはもう慣れていたけれど、周防に同じ思いはさせたくないと一般市民になりすます。

「なんだ、元気じゃねえか」
病室に入っては、読書をする周防を視界に入れて 嫌味のような言葉がこぼれた。
・・・安心した・・・
そう素直に言えないのは、立場か これまでの生活からなのか。

迷惑そうに だけど笑って受け入れてくれる人はそっと読みかけの本を閉じる。
「おまえなんかにうろつかれたらな。落ち着けもしない」
嫌味だらけ。でも決して嫌われてはいない。
分かるからこちらもその胸に飛び込んでいける。

周防がそっと背後の連中に目配せをしたのが分かった。
「私たちは外でお待ちします」
ふたりきりにしてくれたことに、張り詰めていたものがほぐれていく。
ベッド脇の椅子に座って、くだらない話をした。
昔から頑強で奈義の身すら守ってくれた人が 今何をやっているのだとか。
おまえならいつでも復活するとか。

「清音さんにも同じようなことを言われたよ」と笑われた。

冗談で済ませてしまいたい思いもすでに伝わってしまっている。
辛くなる気持ちを抑えたはずなのに・・・

「奈義・・・」
一声かけられたその瞬間に何かがはじけていた。

浮いた腰はベッドの脇により もっと近づいては、抱きしめていた。
「ばかやろ・・・」
口から出るのは悪態ばかり。
それも周防は分かったように微笑んで包んでくれる。

何を言いたいのか、何が言いたいのか、お互い黙って口を閉じて ただたきあってその熱を感じた。
泣きそうになる奈義に「泣け」と言うように背をさすってくれる。
さすがにそこまでみっともない大人にはなれないだろう。

それでも生きているぬくもりを感じて 奈義は身を離した。

こらえた涙はぐっと胸の奥にしまいこんだ。

「また 来る」
「もう来るな。うろつかれると迷惑だ」
その影にあるのは 心配をかけたくないという 周防なりの配慮なのだろう。
自分は元気なのだと 最後まで告げてくる。

どこまで本気だろうか。
それでもかけてもらえた声に安堵が浮かぶ。
自分を気遣ってくれることに嬉しさが湧いた。
分かることのほうが多い。

部屋を出ようとした。
背後にかけられたこえ。

「奈義。ありがとう・・・」
心からの感謝の声に瞼が熱くなる。
いつだってどんなときだって『人』を大事にした人だった。
その一人に加えられていたこと。

奈義は何も言わず、声を出せず、片手だけをあげてそこを去った。

早く一人になりたい・・・
そして  泣きたかった・・・

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コメント

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実は
コメントちー | URL | 2013-01-23-Wed 16:51 [編集]
パパとオヤジ殿だねえ。
読み返さなくてもわかるよー、どの辺りか。
二人ともきっと大事な人だったんでしょう、お互いに。

そして、私。男の涙に弱いのでございます。
こんなオヤジ殿見たら泣くなあ。
ひっそりと泣く。
まあ、男の涙に何回騙されたかわからないわ←大袈裟

私ね、パパは思ったより長生きしたと思うの。
きっと、ひなちゃんが一人前になるくらいまでは。
気持ちが前向きだと悪いとこがなくなるとか、減るとか言うしね。
私は、読んでるときも今もずっとそう思ってます。


さえさん。
きっと、同年代だよ。けど、私の方が上な気が・・・
案外、同級生だったりしてね(笑)
うふふ。
ワーイε=ヾ(*・∀・*)/…→…o((TへT))o ヒクッヒクッ
コメントけいったん | URL | 2013-01-23-Wed 18:21 [編集]
好きな周防と奈義の話しの番外編だぁ~ルン♪ (≧▽≦) ルン♪
と、喜んだのも一瞬で…
ママァ~きえちんがぁ~きえちんが、泣かすぅ。。。うぅ(;ωq`)

周防と奈義は 恋人同士の形を成してはいなかったけど
恋愛の情より 半身とも言える
もっと 深い信頼と 強い想いの絆を感じます。

『純愛』ですね。ポッポッo(*´ω`*)oポォ~♪



 
みなさま こんにちは
コメントたつみきえ | URL | 2013-01-24-Thu 14:37 [編集]
過去の作品を 暇にまかせて読んでいます
そんな中で あれも書けばよかった こういう背景もあった
と勝手に想像しては つい書いてしまいました


特に晩年(ばんねんは間違いか・・・)は勢い余って書いていたところがあったので書き足りていないところがすごく感じられるのです
それをちょこちょこと思い浮かべては 書き足しそうかな と指がうごくというか・・・(笑)

みんな 長生きしていますよね~
きっと日生もいい年になっているはずですね
あとは皆様のご想像にお任せしますね(←なんて勝手な作者)

周防と奈義は とても親しい中だったと思います
あまりにも強い絆があったと思います
反発しあいながら 真の部分で繋がっていたのでしょうね
許せるものを持っていたから、最後まで『ふたり』でいられたのでしょう

♪泣かないで~♪
(まだ流れているらしい 笑)
コメントありがとうございました。
チョコチョコでも 大歓迎~♪
コメントけいったん | URL | 2013-01-24-Thu 16:50 [編集]
どんなに大好きな作品でも あまり読み返さない私

すっごく好きなのに 何故だろう?とは思う
その時に感じた気持ちを大事にしたいから…

また読み返すと その時とは違うモノを感じるかな 今の私なら

きえちん、番外編、SS、SSS、詩、いっぱい書いて下さってありがとう
これからも 書きたくなったら ドンドン書いてね♪(o^-^o) ウヒッ
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