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BLの丘
過ぎた日のできごと
2013-01-06-Sun  CATEGORY: 新しい家族
地雷注意って言っておきます。
周防と奈義。


「周防、横になれ・・・」
酔いのまわった体を、静かに寝室に向かわせられる。
それほど酔ってはいない気がしたが、他人からみた物は違いがうつるのだろうか。
「あぁ・・・」
おとなしく頷いておいた。
真庭奈義(まにわなぎ)の周りをおさめる人物は多い。
その中で三隅周防(みすみすおう)も育ってきた。
守られている、しかし守っている・・・
奈義はどこか不安定なものを持っていて、それが周防を離さないものへと変化していた。
極道の息子、と思えば、いつだって切り離せたはずなのに、周防にはそれができない思いがあった。
単なる友情。それだけだ。
今でもそう思う。

ぱたりと落ちたダブルサイズのベッドに、一緒に奈義も転がってきた。
自分の重みで巻き添えを食わせたのかと思っても・・・
縋ってくる肉体を離せない。
宥める・・・その言葉が似合うのだろうか。

ずっとそばにいた・・・

病名を知らせた時の動揺は、隠していたつもりでも充分なほど伝わってきた。
大人になってはいたけれど、まだ、こどもだったのだ。
誰かを、・・・身近な人間を失うことに慣れていない人・・・

「周防・・・」
耳朶にかじりつくようにして囁かれる声がある。
こんなふうに甘えてくるのは、二人きりだけの時。
分かるからこそ、周防はその背を抱いた。
誰も知らない、特別な、ふたりきりの時間・・・

組長が誰かに甘えるなんて、誰も知らないことで、また知られたくないことだろう。
それすらも、周防は分かって、黙り通してくれた。

いらぬ心配をかけたと、周防は後悔する。
だが、知らぬがままに時を終えたなら・・・
それはそれで彼に深い影を落としただろう。
『信頼』という言葉を、全く無のものにするのだと。

奈義が着ていた着流しに手をかけた。
皺が増えたと思われる体でも、見えない場所には、昔と変わらぬ筋肉質な肉体がある。
今では、痩せた周防よりも立派なのではないか・・・
「部下がいるだろう」
外に控える人間を気遣って、停止される周防の声音に、「呼ぶまで声をかけるなと言ってある」と、つづきを促された。
誰より、何より、何を望んだのか・・・

「周防・・・」
覆いかぶさってくる熱に、抑えていたものを吐き出したいと思ったのはどちらなのか。

周防の体を気遣うのか、横にさせたままで奈義の動きは止まらない。
普段であればさせるだけであって、こんなことは自らしないのだろうに・・・
相手が周防と思えば屈辱的なものでも快楽に生まれ変わる。
狭間に埋めた唇。伸ばされた手の中でもてあそばれる怒張。

「周防・・・」
跨っては狭い秘部に、周防の一番の兆しが当て嵌められた。
一生に一度で、たぶん、この先はないだろう。
なぜ、この一度を許してくれたのかは、奈義にも周防にも分からない思いがあった。

たった一度・・・

「奈義・・・」
自分を見つめてくれる瞳。
囁かれる声に、たった一度だけの夢を見た。
生きる時も、育つ時代も違いすぎていた。
そのなかで、同じだと言ってくれた魂。
身近にいてくれた人・・・

決して忘れない・・・

つながる肉体の熱さ。
懸命に生きようとする精神を全身で味わう。

奈義はとめどなく溢れる涙を抑えることができなかった。
周防はそれを見なかったことにしてくれた。

『そばにいてくれ』・・・

奈義の切なる思いは音になることはない。


抗争の時に親しい人間を盾に出されることは多々あった。
だが、「周防」という名を聞かされた時、たとえ彼のその先が短かったとしても、奈義には縮めることだけは出来なかった。
彼には守るべきものがある。
「俺の命をくれてやる。・・・二度と周防に手を出すな。アイツは一般市民なんだ」
ずっと守られ、守ってきたもの。

まるで争うような出来事のなかで、奈義が自ら命を絶ったとは、誰が知っただろうか。
自分が絡んでしまった結果で不幸は呼びたくない。
事の真実を知れば、きっと周防は助けてくれるだろう。
だけど、最後までそれだけはさせたくなかった。意地のようなもの。

「すこしでも役に立てたかな」・・・
迷惑をかけ続けたと思っていた。
笑顔の奈義に、見守った人間は何も声を発せなかった。
誰よりも大事にしたかった人。

奈義は結婚もしなければ子孫も残さなかった。

いつだったか、「俺の息子は『和紀』だ」と言ったことがあった。
望まれなくても、『家族』を得たかった最後の希望だったのだろう。


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コメント

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永久に
コメントnichika | URL | 2013-01-06-Sun 14:49 [編集]
友情って言い方が簡単だけど   友だったのかわからねいけど
あなたと一緒に過ごせたことを  また大事に思い出す
いつか会おう  それが夢物語でも  もう遠いところへ羽を広げた貴方でも
私はゆっくり  ゆっくり ゆっくり  語らいを持って

とっても勝手なSSです (なってないよ=)
毒者=読者の 妄想SSが止まらない~~♪
コメントけいったん | URL | 2013-01-06-Sun 15:47 [編集]
昨日は ちーさんで 今日は nichikaさんのSS
皆さん、素晴らし過ぎて 才≡⊃"├!(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ

周防と奈義の番外編を書いて下さるとは アンケで ポチした私のお願いが叶いました!
きえちん、(人Ω-)謝謝(-Ω人)謝謝♪

そして 昨日のきえちんのコメにあった「毒者」を 早速使わせて貰ってます。
言葉遊びが好きな私には ど・ストライクです('∇^d) ナイス☆!!
読者を 毒者だなんて ほんと 『言い得て妙』だわぁ~♪(笑)
ヽ(・ω・。ヽ)タノシィ♪(ノ。・ω)ノタノシィ♪(σ。・ω)σイェア☆またね☆彡
(きえ中)毒者
コメントちー | URL | 2013-01-06-Sun 16:21 [編集]
パパとオヤジ殿。
どっちがどっち?と、思ったけどオヤジ殿がネコタンなのか。いや、一回だけなんだよね。

しかし、オヤジ殿が死んだ理由がパパ。
そして、息子がお兄ちゃん。
泣かせるじゃないですか。
来世では、二人が幸せに暮らせる事を切に願います。

でも。私の中じゃ二人が死んだのはずーっと後。
お兄ちゃんもひなちゃんも、オジサン?位になってからと決めてます。だって、いつとは書いてないからね。
毒者の勝手でごじゃいます(笑)

久しぶりに切ない気持ちになりました。
裏設定
コメントたつみきえ | URL | 2013-01-06-Sun 16:36 [編集]
みなさま いつもコメントありがとうございます

本当は書くつもりではなかったのですが・・・
そんなことを何回も言っていますね


当初の予定、和紀は、奈義の子供でした
いろいろ事情があって周防が引き取ったのだと。
だから なのか、周防には甘かった奈義でした。
あたまがあがらないというか。

でもその真実を知る人は、もうこの世にはいないのでしょうね。

複雑すぎる世界はいっぱいかんがえたけれど
結局はかけずじまい。

みなさまの逞しい脳に、今後の活力をみいだします。
コメントありがとうございました
コメントたつみきえ | URL | 2013-01-07-Mon 09:28 [編集]
にかちん

> きえ様=きえたん何故だが涙が止まりません! 多分感情が切ない収まらないどこかにあたってしまったようです。

なかせちゃってごめんね
自分がこんな状態だから書けたのかも

『家族』は私の中でとても大きなものでした
その後にかいたものもだけれど。

こめんとありがとうございました
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