FC2ブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
アツアツお鍋の会 6(最終話)
2012-12-07-Fri  CATEGORY: 『想』―sou―
宮原が帰ってどれくらいの時が過ぎただろう。
夕方の4時すぎ。
予想外に早い帰宅(?)である。
最初に顔を見せたのは千城と和紀だった。
夕方…という時刻は正しいだろうが、かなり早い時間だとは、日野の方が思う。
日野「えーと…。あの、まだ寝てますよ…?」
お昼寝の時間だと知らないわけがない千城だ。
確認の声を上げれば、「あぁ…」と千城は、そのまま和紀を促して、奥の部屋へと入っていった。
どんな状況なのかと教えたいからなのか…と、確認するための動きに特に文句もない日野だった…のだが…。

日生「わっくんっ」
すぐさま響いた声には何事かと意識が向けられた。
和紀「しー。まだ皆、寝ているんだよ」
和紀に諭されてはすぐさま黙った日生は、一人だけベッドの中から抱きあげられて、両脇に眠る人の、挟まれた世界から抜け出された。
和紀は日生を連れ、また、他の連中が起きないことに、千城も落ち着きながら、その場を出て行こうとする。
熟睡の時間を邪魔したくない思いは強いのだろう。

その時点で、ずっと眠りにつけず、ひたすら『お迎え』を待っていた日生の思いが伝わってくるようだった。
和紀は辛い思いをさせたと後悔していたし、気付かなかった日野は一緒にするべきではなかったのかと振り返る。
しかし日野の思いとは裏腹に、和紀は感謝してくれた。

和紀「ひなは、何かと対人面に弱いから…。こうして触れあえる場所があるとは嬉しいことなんだ」
人の輪に入ることを脅えるのだと言われては、納得もいくというものか。
日野は、無邪気というか無謀というか、拒まずに受け入れてくれるアイツらのことをなんだか誇らしく思えてしまった。
誰もが『差別心』なんて持っていない。
過去のナニはともかく、探りもしなければ現実の今だけを見て、ありのままを受け入れてくれること。
改めて思えば自分も同じことだった。
深い傷には決して触れない。

分かるから、千城も安心して大事な子息をここに向けてくるのだろうか。

ゆっくりと眠れなかった日生は、少し離れたカウンター席に座った和紀の膝の上で、ようやく安心したようにうとうととしだした。
肌の温もりを離さないように抱きしめたままで安心感を与えている。
静かにその光景を見守りたいのは誰もが同じ気持だった。

連絡を受けた…わけではないだろうが、この日のお迎えは皆早かった。
最初は神戸で、「ただいま~」という声に、途端に向けられる咎められる視線に何事かと店内を見渡す。
そこに見えたのは和紀の腕に抱かれて眠る姿だった。
今度はさすがに小声になる。
神戸「あれ?お昼寝室はどうしちゃったの?」
千城「まだ馴染めなかったようだ」
神戸「あらら…。で、他の連中は相変わらずぐっすりで、放っておかれているわけね」
千城と久志を見ては、手持無沙汰な状況をチクチクと弄ってくる。
千城「ゆっくり眠らせてやっているだけだろ」
久志「日野が近付かせてくれないのっ」
それは単なる強がりなのか…。

神戸はいつものようにカウンター内に収まり、やがて安住が顔を出す。
互いに挨拶を交わし、それぞれの立場を知り…。静かな会話が、日生には返って胸から響く子守唄になったようだった。
ふわりと微笑んだ安住も、千城の隣に腰を下ろしてはその光景を愛おしげに眺めていた。
日野「佐貫さん、相変わらず忙しいんですか?」
安住「今日はそれほどとは言っていなかったよ。でも突発的なことはすぐに起こるからね…」
日野「もしなんだったら、成、見てますから、皆さん、帰られていいですよ」
誰の状況も日野はすぐに察してしまう。
一人にするわけではないのだと前置いて、それぞれの生活に戻るようにと促してもくる。
そこに神戸の不満が生まれるかどうかはともかく、なにより、日野の優しさが、和紀に自然と伝わるものになった。
誰も見捨てない、分け隔てなく同様に見てくれること…。
差別のない世界がここにはある。

しばらくすると奥の部屋の扉が開いた。
英人「ちしろ~~~っ」(←とびつく)
一葉「享利さん、おかえりなさい…」(←ねぼけている)
那智「ヒサ、うるさかった…」(←寝起き後特有の機嫌の悪さ)
成俊「…光也、まだなんだ…」(←ちょっと拗ね気味。でも分かっている良い子)

その賑やかな声に、日生も目覚めたようだった。
成俊「あっ、日生くん、いないと思ったら」
日生「う…ん…」
英人「日生くん、チューしてもらった?やけど、平気?」
和紀「火傷っ?!」

英人の発言に真っ先に反応したのは和紀のほうだった。この店で危害があったとは考えづらい。
そこに割って入ったのはいつものごとく日野である。
日野「あの、昼に鍋焼きうどん出して…」
その一言だけで状況を理解してしまう読解力は感心するしかない。
申し訳なさそうな日野に、寧ろこちらのほうが気を使わせた…と和紀が頭を下げてきた。
『チュー』の意味までは辿り着かないようであるが…。
和紀「いえ、こちらこそ。皆様に親切にしていただいて良かったです。…ひな、いきなり食べたらだめだよ」
日生「うん…。教えてもらった。ふーふーするのと、怖かったら口移しで食べさせてもらうんだって」

寝ぼけまなこであるのだろうが、突然の発言には全員が黙る。
頭を抱えたのは当然日野だったし、目をぱちくりしたあと、噴き出して大笑いしたのは神戸だ。
久志「シャチョーの教育方針は間違っていないと思うけれどさぁ…」
神戸「なに?火傷したらペロペロで、確実な温度は口?確かに間違っていないけどね」
日野「たけるっ」
お腹を抱えた神戸に日野の蹴りが飛んでいく。
どんな『危険地帯』だと思われるのはいかがなものか…。
絶句する和紀の姿が視界に入るだけに、今後のおつきあいはどうなるのだろう…。

だが、内情は微塵も見せないところは、さすがに上に立つ人間なのだろう。
遅れて佐貫が顔を出して、その場の雰囲気を感じ取っては、和紀の心もほぐれただろうか。

全員が揃っては切り分けたかぼちゃプリンを出してやる。
笑顔になる日生に誰もが心を落ち着けた。また、掬って食べさせてやる光景にもほのぼのさが漂う。
千城も同じように、安住は黙って行方を見守って。
佐貫は「俺の分も食べるか?」と問いかけ。
久志「那智、これ、俺が作ったの~」
那智「間違いなく嘘だ」
久志「那智~っ」

先に席を立つのは…という後ろめたさを感じつつ、まだ眠そうな日生を思っては、千城の方が、「本日はありがとうございました」と促した。
安住「今度はゆっくりとみんなで『お鍋』しましょうね」
万遍の笑みが場に広がる。
一人分として出されるものもいいかもしれないけれど、みんなでつつきあって味を語るのもいいだろう、と。
なにより、安全という意味も込めて。

寒い冬の日。
ホカホカとした心をそれぞれに抱いて、今日の『臨時休業日』の営業は幕を閉じた。

―完―

プリン
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ 
ポチっとしていただけると嬉しいです。

やっぱり人数多いと会話も出てこなくなっちゃうね…。
物足りないところもあるかと思いますが。
こんなものですみません。
関連記事
トラックバック0 コメント6
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
少しずつ
コメントちー | URL | 2012-12-07-Fri 07:20 [編集]
きえさん、ひなちゃんと保育園ありがとうございました。次回は、もう少し慣れる事でしょう。
たぶん、日野っちと成くんには少しはなついたハズ。
けど、みんなの優しさに触れたらひなちゃんもきっと、保育園が好きになる事でしょう。

お兄ちゃんも、保護者会の楽しさを知れば預ける回数も増えちゃうね。
清音さん特製お料理とか持って来たりしそうだな。

ひなちゃんの慣らし保育は無事に終了。
お口、ペロペロの見本は双子ちゃんがやってくれるそうです(笑)

きえさん、お出掛けなんですね。
最近、いろいろあるので重々お気を付けて。
お休みの間、またコメント欄で遊んでます←てへっ。

Re: 少しずつ
コメントたつみきえ | URL | 2012-12-07-Fri 07:41 [編集]
ちー様
おはようございます。

> きえさん、ひなちゃんと保育園ありがとうございました。次回は、もう少し慣れる事でしょう。
> たぶん、日野っちと成くんには少しはなついたハズ。
> けど、みんなの優しさに触れたらひなちゃんもきっと、保育園が好きになる事でしょう。
>
> お兄ちゃんも、保護者会の楽しさを知れば預ける回数も増えちゃうね。
> 清音さん特製お料理とか持って来たりしそうだな。

日生なんとかデビューできましたね。
次はもっと馴染めるかしら。
お兄ちゃん、もっと外に出さないとね。
いつまでも籠に入れていてはだめですよ~。
清音さんまで参加(爆)
読者様も加わって、大賑わいですね。

> ひなちゃんの慣らし保育は無事に終了。
> お口、ペロペロの見本は双子ちゃんがやってくれるそうです(笑)

双子は見本なのか…。
いや、その前に日野が止めるのではないでしょうかね。
日野「…(また、"悪い影響"がやってきたよ…)…」
ブツブツ言いながら…。

> きえさん、お出掛けなんですね。
> 最近、いろいろあるので重々お気を付けて。
> お休みの間、またコメント欄で遊んでます←てへっ。

はい、ちょっと粗大ゴミの出荷(出張)に付き合って、一晩、一人旅してきます。(現地別行動)
久し振りでワクワクですよ~。
更新ありませんけれど、是非みなさんと遊んでいてくださいね。
コメントありがとうございました。
-ぬくもり-
コメントけいったん | URL | 2012-12-07-Fri 10:24 [編集]
-ぬくもり-
にこにこ みんなの笑顔
ぬくぬく あなたの体温
それだけで
ほら 僕の心も ぽかぽか

お試し保育で疲れちゃった日生を見る和紀や 保護者達の眼差しに 読んでいる私も 幸せな気分になりました。

寒い時期になると 特に 人肌恋しいものですね。
特に 小さい子供は体温が高いから 冬には布団の中で抱き寄せたものです。
今は (T▽T)ポツ--ン…だけどね。(苦笑)

きえ様、アンケ作品も完結を迎えられ ホッとされているのではないでしょうか?
ダーリンのお供(別行動だけど)の旅行で リフレッシュされて 新作品の構想を練って下さいまし~♪
風邪など引かない様に お体に気を付けて お過ごし下さいね(○ゝз・)b⌒☆...byebye☆

 

Re: -ぬくもり-
コメントたつみきえ | URL | 2012-12-07-Fri 11:48 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> -ぬくもり-
> にこにこ みんなの笑顔
> ぬくぬく あなたの体温
> それだけで
> ほら 僕の心も ぽかぽか
>
> お試し保育で疲れちゃった日生を見る和紀や 保護者達の眼差しに 読んでいる私も 幸せな気分になりました。

また素敵詩、ありがとうございました。
ぬくぬく、ポカポカだね。
疲れきってしまった日生も、和紀の腕の中でホッとしたことでしょう。

> 寒い時期になると 特に 人肌恋しいものですね。
> 特に 小さい子供は体温が高いから 冬には布団の中で抱き寄せたものです。
> 今は (T▽T)ポツ--ン…だけどね。(苦笑)

小さい子はホント体温高いですよね~。
こっちが冷た過ぎて逃げられそうですが(笑)

> きえ様、アンケ作品も完結を迎えられ ホッとされているのではないでしょうか?
> ダーリンのお供(別行動だけど)の旅行で リフレッシュされて 新作品の構想を練って下さいまし~♪
> 風邪など引かない様に お体に気を付けて お過ごし下さいね(○ゝз・)b⌒☆...byebye☆

今年は日生に始まり日生に終わった…って感じですかね。
お供…珍しく移動が一人なので、乗っていくことにしたのです。
最寄駅で放してもらって好き勝手行こうと思いました。
萌え~に出会えるかしら。
翌昼前のお迎えなのですが、夜くらいまで放っておいてくれないかなぁって感じです。
けいったん様もお体に気を付けてくださいね。
コメントありがとうございました。
穏やかな集まり
コメントnichika | URL | 2012-12-07-Fri 17:24 [編集]
大人はそれらしく振舞い、お子達は王子やノンビリや人見知り体質やら。
やさしく時間が流れてお昼寝もぐっすり取れていそう。
今度はお外に遠足を楽しみにしましょう。

地震注意

Re: 穏やかな集まり
コメントたつみきえ | URL | 2012-12-07-Fri 19:09 [編集]
nichika 様
こんばんは。

> 大人はそれらしく振舞い、お子達は王子やノンビリや人見知り体質やら。
> やさしく時間が流れてお昼寝もぐっすり取れていそう。
> 今度はお外に遠足を楽しみにしましょう。
>
> 地震注意


大人様は見守る部隊ですね~。
そんな空間に安心してお子様はまた安眠~。
次の遠足場所?!
どこでしょう…。

地震、びっくりしました。
でももう、日常になりつつあるのかしら(怖いけど)
慣れた…というとまた怖い。
コメントありがとうございました。
トラックバック
TB*URL
<< 2019/08 >>
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31


Copyright © 2019 BLの丘. all rights reserved.