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BLの丘
あの日の夢 21
2012-11-30-Fri  CATEGORY: あの日の夢
二名の招待客…と聞いた気がするが、五泉と待ち合わせた柏崎には何も言えなかった。
三名はどうでもいいのだろうか。立場か…。
今度の会場は一階建ての広々としたもの。隣にチャペルもあるところをみると、結婚式場としても使われるのだろう。
電飾に彩られた木々、街道など、外からも『会場』を彩っていた。
招待客を迎えるものである。

入り口で柏崎に出会う。
「ツバメちゃん、すごく似合うねぇ。俺がエスコートしてやりたいよ」
「刈羽、黙れ。今日はおまえがあいつらの相手をしろ」
良くは分からない。
が、パーティーを楽しむという意味で『仕事』というものを五泉は投げ出していたようだ。
そのために柏崎を連れてきて、『付き合い』を全面的に押し付けた格好になる。
かつて着せられたタキシードをまた身に纏って、五泉も柏崎も整えられた衣装に飾られていた。
隣り合ったホテルから、会場の入り口で柏崎と出会っては会場に乗りこんでいくのだが。
そこにいる人間にいつものような挨拶。近付いてくる人たちにも、こちらから寄っていく人たちにも、丁寧な挨拶が繰り返されて、仕事関係の話は全面的に柏崎に委ねられているのが分かった。
『あいつらの相手をしろ』とはこんなところだったのか。
五泉はあくまでも『パーティー』というものを燕に楽しませていた。
そのために呼ばれた柏崎なのだろう。面倒なことは避けた…とは、兄の教育なのか…。
なんだか、申し訳なさもあるけれど…。

今回も立食式の食風景が広がる。
本来、交流の場となれば、それほど『楽しむ』とはいえないのだろうが、柏崎に全部押し付けた五泉は、燕から離れはせず、流れを順に追っていく。
皿に少しずつを取ってくれて、食べやすいように盛りつけてくれる。
「何が食べたい?」
次から次へとつまむのは卑しいような気もするのだが、話相手がいなければ、付き合うのは食事なのか…。

五泉に話しかけてくる相手に軽く挨拶をするだけで、その隙間に柏崎が入り込んできて話を受け継いだ。
だけど流れていかない人間がいた。
「魚沼さん…」
五泉の呼びかけに燕はハッとした。
この男か…と気付かされたのは30代も後半の男だ。
以前会ったことがあるとは、能生の知識からであるのだが、とっさに重要な人なのだと判断できれば、自然と「お久しぶりです」と声が漏れていった。
はっきりと覚えているわけではない。
一瞬、五泉の眉が寄った気がしたが、相手の綻ぶ顔に何の文句も継がれなかった。
「覚えてくださっていたんですね。またお会いできるとは。頸城さん、先日のお話…」
「えぇ。ありがとうございます。柏崎がそちらについては…」
「そうですか。分かりました。ですが、難しい話しはここではナシにしましょう」
何が言いたいのだろうか。
微妙な空気の流れを燕でも感じてしまう。
この前もあった緊張感。
より一層分かるのか五泉はさりげない仕草で燕を背後に押しやった。
「『難しい話しはなく…』とね…。何かおっしゃりたいのでしたら柏崎に…」
「えぇ、分かりました。何しにいらしたのかな」
逆にこちらの立場を伺われてしまう。
ここがどういう場であるのかと…。
直接話をしたいということなのだろう。
話をしない人間に用はないのか…。

「五泉…、俺ね…」
仕事の話があるのなら、自分は避けたい。
魚沼に関わらず、他の人間も窺うところがあるのだろう。
柏崎だけではまだ頼りない…と言っては失礼だが、上層部と直接話をしたい、それぞれの立場を知られているものなのだ。

分かっているのか、五泉は苦渋を浮かべた。
「あまり遠くには行くな…」
小さく囁かれた声に頷いて、教えられたように、立食を嗜んだ。
クルリと見回した先で、五泉も柏崎もそつなく対応していた。
いずれ、自分も同じようなことを望まれるのだろうか…。『働く』といった場所で…。

離れた五泉が次々と年配の人間に囲まれているのは見られてくる。
燕が五泉と会話を繰り返すことに近寄れなかったのだとも悟れた。
邪魔をした…。そういうことになるのか。
一人放っておかれたこと…ではないが、「つまらなそうだね」と近付いた魚沼に、燕の方にも緊張が走る。
大事にしたい取引相手だとは『兄』から重々言われたことでもあった。
「あ、お話は…」
「もう済んでいるよ。熱い?夜風に辺りに行こうか」
会場の空気に火照った体を気遣われた。
連れ出されそうになることに戸惑いも生まれながら、『特別感』は消えなくて、抵抗が過ったが。
「…あ…、五泉に…」
「今、ビジネスの話をしている。邪魔をするのは悪いだろう?」
言いくるめられては、困った存在になりたくなくて大人しく従ってしまう。
この人物が、兄に言わせるところの『特別』だと分かるから余計に慎重になった。
粗相があってはいけないのだろう。
「燕くんは学生だって聞いたけど。就職先はどうなの?はっきりしていないならうちで、ここで内定出してもいいんだけどね」
歩きながら囁かれたことに瞠目した。
五泉は勝手に入社させる気でいたが、先日話した兄は「検討する」に留まっている。
「頸城さんとも親しいようだし。うちの会社との繋がりになってくれるのかな。お互いのためにもなるよね」
何を望まれるのか…。
五泉のためなのだと思えぱ燕は頷くべきなのだろう。

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コメント

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やっぱり…
コメントさえ | URL | 2012-11-30-Fri 00:07 [編集]
きえちゃん、こんばんは~☆
やっぱり近づいてきたね魚沼~。
燕ちゃんが狙われてるよ~(>_<)
五泉~早く気づけ~。
柏崎も何のためにいるの~(>_<)
やっぱり…2 さえさんに倣って♪ 
コメントけいったん | URL | 2012-11-30-Fri 01:40 [編集]
魚沼ったら 何気なくを装っているけど 
燕が一人になるのを 虎視眈々と狙っていたんでしょうね!
こっちは そんな事は 御見通しだぁーー!(。+・`ω・´)シャキィーン☆

でも 僅かなチャンスを逃さないなんて
さすが 魚沼 コシヒカリ~!(←関係ないけど言いたかったの(笑))

燕~~、五泉が言ってたでしょ
「あまり遠くに行くな」って
それに 小さい頃に お母さんからも 言われたでしょ!
「知らない人に付いて行ってはいけません」と、

違う籠には くれぐれも御注意を~
捕まえた!(*`ー´)o――――∞C< ε(;・Θ・)3 ?ピヨピヨ~~♪...byebye☆
やっぱり・・・3
コメントちー | URL | 2012-11-30-Fri 06:18 [編集]
上のお二人に倣って(笑)

やだあ、ダメダメ!
燕ちゃん(ちょっと可愛くしました)、純粋な籠の鳥だからあ。ちょっかい出しちゃダメっ!
ああ、ここに由良がいたらなあ。

「燕っ!離れちゃダメだって言われたでしょ?また、怒られたいの?」

って、お兄ちゃん風吹かしてくれるのに。

仕方ない!刈羽を呼ぼう!
イッツミ~!燕ちゃんがピンチだよっ!
早く、行け~!刈羽さん。
スマートに捕獲してきて。
Re: やっぱり…
コメントたつみきえ | URL | 2012-11-30-Fri 07:01 [編集]
さえ様
おはようございます。

> きえちゃん、こんばんは~☆
> やっぱり近づいてきたね魚沼~。
> 燕ちゃんが狙われてるよ~(>_<)
> 五泉~早く気づけ~。
> 柏崎も何のためにいるの~(>_<)

来ましたね~。
ナイトふたりのはずだったのにどっちも役立たず(;_;)
流されるだけの燕は無事でいられるのかしら。
そんな性質も魚沼にとっては魅力なのかもね。
コメントありがとうございました。
Re: やっぱり…2 さえさんに倣って♪ 
コメントたつみきえ | URL | 2012-11-30-Fri 07:07 [編集]
けいったん様
おはようございます。

> 魚沼ったら 何気なくを装っているけど 
> 燕が一人になるのを 虎視眈々と狙っていたんでしょうね!
> こっちは そんな事は 御見通しだぁーー!(。+・`ω・´)シャキィーン☆
>
> でも 僅かなチャンスを逃さないなんて
> さすが 魚沼 コシヒカリ~!(←関係ないけど言いたかったの(笑))

魚沼、しっかり狙っていました。
「何しに来たの?」と言っては、五泉を「仕事」に戻して、燕を切り離す。
一人になった途端に近づきました。
それでもって「五泉の邪魔になるよ」と囁きかけているあたり…。
さすがコシヒカリは輝いていますね(←)

> 燕~~、五泉が言ってたでしょ
> 「あまり遠くに行くな」って
> それに 小さい頃に お母さんからも 言われたでしょ!
> 「知らない人に付いて行ってはいけません」と、
>
> 違う籠には くれぐれも御注意を~
> 捕まえた!(*`ー´)o――――∞C< ε(;・Θ・)3 ?ピヨピヨ~~♪...byebye☆

ピヨピヨ、ちゃんと巣に帰りなさーい。
見た者がお父さんじゃないんだよ~。
また言い聞かせないとならない五泉ですね。
コメントありがとうございました。
Re: やっぱり・・・3
コメントたつみきえ | URL | 2012-11-30-Fri 07:13 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 上のお二人に倣って(笑)

『やっぱり…』
皆さんが思っていたとおりでしたね(笑)

> やだあ、ダメダメ!
> 燕ちゃん(ちょっと可愛くしました)、純粋な籠の鳥だからあ。ちょっかい出しちゃダメっ!
> ああ、ここに由良がいたらなあ。
>
> 「燕っ!離れちゃダメだって言われたでしょ?また、怒られたいの?」
>
> って、お兄ちゃん風吹かしてくれるのに。

そうねぇ、由良だったら目ざとく相手の存在を見極めるよね。
そんでもって下僕と共に包囲しているよね~。
籠の中の鳥は外に出た途端に危険にさらされるようです。

> 仕方ない!刈羽を呼ぼう!
> イッツミ~!燕ちゃんがピンチだよっ!
> 早く、行け~!刈羽さん。
> スマートに捕獲してきて。

刈羽が行くのか(爆)
ちゃんと捕まえられるんですかねぇ。
えぇ、スマートにね。
問題ごとを起こさずに。
コメントありがとうございました。
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