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BLの丘
あの日の夢 11
2012-11-25-Sun  CATEGORY: あの日の夢
24日12時に10話がupされております。
迷子になりませんように…。

R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


仕事が終わるのをこれほど待ち望んでいる自分がいるのが新鮮だった。
明るくはつらつと客席を動く燕に、社員たちからも気軽に声がかけられてくる。
「何かいいことあったの~?」
「ツバメちゃん、いつも静かなのにね」
内へ、内へとこもりがちになる性格だったのだと、こちらでも教えられる。
感情を出すことを教えてくれたのはやっぱり五泉だろう。
だけどその反面で、『早く帰りたい』オーラをバリバリ発していたのだ。
「5時まで…って言ったけれど、今日、暇だし、4時でもいいよ」
スタッフを管理する社員の人間から提案されたことは、燕の心を躍らせてくれたのだけれど…。
5時に迎えに来ると言った五泉はたぶん休んでいるはずだ。
つまり、『連絡しろ』ということに繋がってくる。しかし現在3時半では、電話にしろ、メールにしろ、負担をかけるようで二の足を踏んでしまう。
黙って行っちゃおうかな、と思いながらすれ違いになったら、後でなにを言われるかと考えてしまった。

結局五泉に連絡もつけられないまま、上がりの時間に近付いてしまった。
最後の作業というか、集めたゴミをまとめて裏口から捨てに行こうと扉を開けた。店舗の脇にあるゴミ捨て場に向かっている時、駐車場に入ってきた車のライトに照らされる。
新しい客か…という程度で視線を向ければ、見慣れた車が入ってくる。
「へっ?!」
今日二度目の理解できない驚嘆の声だった。
『5時』と約束したはずで、今はまだ4時にもなっていないのに、どうしたものかという疑問だけだ。
大きなゴミ袋を持ったままで動きが固まった。
この時間帯だから、という気の抜けたところもあったのだろうが、無造作に車を停めた五泉がすぐに飛び降りてくる。
「燕」
数日ぶりに会う五泉は、軽く羽織ってきた程度のシャツとパンツだけだった。
車の中には上着もあるのだろうか、と思えるほどの軽装。
サッと近付いてくる姿に、ゴミ袋が手から落ちてしまう。
「な、何?!どうしたの?」
「燕の働いている姿を見ながら時間でも潰そうかと思って」
この場で抱きしめられるのはどうかと思いながら、懐かしい温もりに溺れてしまいそうだった。
「あ…。あの…、実はもうあがりになっちゃって…」
「ん?」
甘い表情を向けてくれたはずが、すぐさま眉間を寄せて厳しい眼差しに変わってしまう。
怒らせてしまっただろうかと俯きそうになる燕の顎に手をかけては、視線を反らさせなかった。
「変更があったなら言ってこいと言わなかったか?聞いてないぞ」
「だ、だって…。…こんな時間だったし…」
「それが時間の無駄だって言うんだ。…ここで待っているから、さっさとタイムカード、押して来い」
何をされるわけでもなく、背中を押される。
五泉もきちんとした位置に車を停めるべく、車へと戻っていった。
『まさか』…と思った。
単なる偶然なのだろうが、それほどまで待てない存在と化してくれたのだろうか。
ゴミを捨て、後片付けをして…。残りのたった5分がどうしてこんなに長いのだろう…。

着替えて外に飛び出していくと、いつもと同じく、車から降りてきた五泉は、燕を助手席に案内して乗せて、ドアを閉める。
別に、一人でできるのに…と思う不満は、五泉には全く通じていない。
燕の折り畳み自転車はいつの間にか後方に積まれていた。
案の定、5分ほどで辿り着いてしまったマンションだった。
「風呂が…、まだ沸ききっていないかな。変更をかけていたんだが…」
何を言うことなく、燕をバスルームに引っ張っていく。
「変更?」
「5時過ぎに帰ってくる予定でセットしておいたんだ。駐車場から遠隔操作をして時間変更をして…」
燕は初めて、家の中の機器が外から弄れることを知った。
絶句する間にも一人で押し込まれる。
「燕にいろいろな臭いがついている。洗い流して来い」
店で働いていると、料理の匂いはもちろん、煙草臭など、体に纏わりつくものは多い。
ほんのちょっとだけ抱きしめてくれた駐車場で、五泉は燕のものではない香りを嗅ぎ取っていたらしい。

その後に何があるのかもわかるからこそ…。

燕はバスタブに溜まっていくお湯を横目に、大急ぎでシャワーを浴びた。
そうこうしているうちにお湯も溜まったから、せっかくのことに申し訳なさもあってチャプンと浸かってみたけれど、カラスの行水未満の素早さで結局出ていく。
全ての電気が落とされた今、五泉がどこにいるのかなど手に取るように分かることだった。

間接照明だけが灯る寝室に、海外のニュース番組を映したテレビ。
ベッドで横になっていた五泉は、燕の気配を感じるとテレビの電源を切った。
布団を半分はだけて、「燕」と呼ばれる。
ベッドにいる五泉は全裸。燕もその端で着てきたバスローブを床に落とした。
当たり前だが身に纏っていたのはその一枚だ。
すぐにも潜り込み、待ちうけていた腕に包まれる。
離れていた時間がどれだけ長かったのか…。
改めて温もりを感じては安堵の息が漏れた。
顔を上げればすぐくちづけが降ってきた。
額、瞼、頬、そして熱い口腔内へと…。

「燕に逢いたかった…。抱きしめたかった…。不安だった…」
「ん…っ」
僅かな隙間で囁かれる。燕が返事をする間も取らせずに、また貪られていく。
燕も両腕を五泉の首に回してしっかりと抱きとめた。
間をおかずに熱くなる体は、ふたりの想いを表しているようでもある。
重なる体の下肢は二人とも興奮状態になっていた。
お互いに求めて、耐え抜いてきたものを間近に、抑えようとする気持ちなんて微塵もわかない。
言葉なんてなくても…、これが求めて求められることの正しい意味なのだとはっきりと教えられているのかもしれない。
唾液を首筋まで零しながら、ようやく離れた五泉の唇が流れの後を追う。
いつも愛撫は丁寧だったけれど。
性急になってしまう五泉の気持ちを表すかのように、動きは早い。
でも、燕を気遣ってくれている思いがあるから、暴走することもない。

そんなふうに耐えさせたくなくて…。また自分も繋がりたくて…。
「五泉…、も、い…」
促す声を上げれば、普段であれば『相手ばかりを気遣うな』と咎められそうなことも許してくれた。
バスルームで解してきた後孔は、ローションを纏わせた五泉の指を簡単に二本飲み込んでしまった。
「熱…っ」
苦しそうに吐き出す五泉に、やっぱり燕は、「も、いぃ…っ」と促してしまう。
「でもな…」
躊躇う五泉を濡れた瞳で見つめ返した。気遣ってくれているのは分かっているけれど…。
与えられるものがもし苦痛だったとしても、今の悦びを感じさせてくれる五泉に、これ以上の忍耐は持たせたくなかった。
自分から与えられるものなど、この程度のものだろうと…。
自分自身を蔑んでいるわけではない。
本心から求めていて…。
求められることが、ただ単に嬉しかったのだ。

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コメント

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なんかなんか
コメントちー | URL | 2012-11-25-Sun 05:51 [編集]
燕くんの嬉しい気持ちが伝染したよ。
イッツミーも、燕くんに会いたくて仕方なかったんだね。わかるわかる。

燕くん、五泉さんに出会えて、きちんとした恋愛も勉強も出来るようになって良かったね。
バイトもそりゃ浮かれてやっちゃうよねー(笑)
でも・・・なんかありそう。

二人の逢いたかったって、気持ちが表れてるベッドの中ですね。何か、二人の様子が浮かんで来ちゃいました。
次回も楽しみー。

Re: なんかなんか
コメントたつみきえ | URL | 2012-11-25-Sun 07:18 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 燕くんの嬉しい気持ちが伝染したよ。
> イッツミーも、燕くんに会いたくて仕方なかったんだね。わかるわかる。
>
> 燕くん、五泉さんに出会えて、きちんとした恋愛も勉強も出来るようになって良かったね。
> バイトもそりゃ浮かれてやっちゃうよねー(笑)
> でも・・・なんかありそう。
>
> 二人の逢いたかったって、気持ちが表れてるベッドの中ですね。何か、二人の様子が浮かんで来ちゃいました。
> 次回も楽しみー。

幸せオーラ撒き散らしていますね。
五泉も待てない(笑)
二人の様子、想像できましたか?
伝わってくれて嬉しいです。
コメントありがとうございました。

"会いたかった~♪" X3 Yes! 君に~♪
コメントけいったん | URL | 2012-11-25-Sun 09:31 [編集]
燕にとって 五泉との関わりは、
今までの 相手に得られなかったものばかりで 嬉しい悲鳴の連続ですね。
燕が どんどん五泉に惹かれ依存して行くのが 手に取る様に分かる

五泉が 時々見せる甘い雰囲気も ∑d(ゝω・´*)グッ☆!

過去のバカ男たちの事なんか忘れて 今度こそ 上手く行くといいね、燕♪d(≧ω≦)ネッネッ

ここ最近 体調がスッキリしないので 病院へ
半日以上もかかり 疲れてしまって 訪問が出来ませんでした。
きえ様、本編の中に 私の詩を載せて下さって 本当に有り難う御座います(*- -)(*_ _)ペコリ

ちーウサギ→/(=∵=)\ ヾ( ̄▽ ̄;) ヨシヨシ...byebye☆



Re: "会いたかった~♪" X3 Yes! 君に~♪
コメントたつみきえ | URL | 2012-11-25-Sun 11:14 [編集]
けいったん様
こんにちは。
ホントだね~。合いたかったんだよ~。

> 燕にとって 五泉との関わりは、
> 今までの 相手に得られなかったものばかりで 嬉しい悲鳴の連続ですね。
> 燕が どんどん五泉に惹かれ依存して行くのが 手に取る様に分かる
>
> 五泉が 時々見せる甘い雰囲気も ∑d(ゝω・´*)グッ☆!
>
> 過去のバカ男たちの事なんか忘れて 今度こそ 上手く行くといいね、燕♪d(≧ω≦)ネッネッ

優しい、そして自分を見てくれる五泉に燕はもう、返す言葉もないくらいに幸せですね。
これまでのことはキレイさっぱり忘れましょう。
五泉に出会うために、今までの苦しくて辛いものがあったんだよ~。
だからこそ、余計に五泉の良いところを感じられるでしょう。

> ここ最近 体調がスッキリしないので 病院へ
> 半日以上もかかり 疲れてしまって 訪問が出来ませんでした。
> きえ様、本編の中に 私の詩を載せて下さって 本当に有り難う御座います(*- -)(*_ _)ペコリ
>
> ちーウサギ→/(=∵=)\ ヾ( ̄▽ ̄;) ヨシヨシ...byebye☆

けいったん様も重病(←)にかかっていらっしゃったのですね。
体調が悪い時はとにかくゆっくりお休みすることです。

こちらこそ、いつも感動的な詩をありがとうございます。
どうぞご自愛くださいませ。
コメントありがとうございました。
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