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BLの丘
あの日の夢 3
2012-11-18-Sun  CATEGORY: あの日の夢
世の中の慌ただしい喧騒が聞こえてくる頃になって、ようやくホテルを出ることができた。
先に部屋を出ていった五泉は、ここに来た時と同じ、仕立ての良いスーツを身に纏って、去り際に名刺を投げ置いていった。
外見は上役だと見せてくれる姿だった。
その頃まだベッドのシーツにくるまれていた燕は硬い紙を拾い上げる。
『△△商事 専務 頸城五泉(くびき いつみ)』
目で追いかけた肩書と名前に、呼んでいた名前が偽りではなかったのだと気付くが…。
「せ、せんむっ?!」
『年寄り』が得られる役職というイメージが強かった燕には、衝撃な存在となってしまった。
聞いていた年齢は30歳だったはずだ。
多少サバを読んでいたとしても、大きく離れることはない体つきだった。
その体力は、現在ピンと立っている振る舞いが証明していることでもあるだろう。
フッと口角を上げた五泉は大したことでもないように、簡単に説明した。
「兄が事業を起こしてその使い走りにさせられているだけだ。…ツバメ、連絡してこい。それとあの店にはもう行くな」

それが何を意味しているのか漠然と判断がつく。
良く知りもしない相手を手元に置く目的は一つだ。
『都合の良い性欲処理』。
そんなことは何回も繰り返されてきた。
一時的にそばには置いてくれるけれど、最終的には野放しにされる。飽きられる。
気付けばあの店で、また新しい相手を求める…。
その噂を…、燕がどんな人間であるのかは、あの店に出入りしている以上、知らないはずがないだろうと思われた。

名刺を突き返そうとした。
連絡をすることはないという意味を込めて…。
その手を押し返される。
それから身をかがめてきた五泉は、不意に自分の唇で燕のそれを塞いできた。
目を閉じることも忘れて、また抵抗することも忘れて、呆然と口蓋を蹂躙されていた。
わずか一舐め…。それくらいの短い時間だったのかもしれない。
だけど一度もかわすことのなかったくちづけには、なんだ?という疑問まで生まれた。
燕は、相手に望まれれば唇も与えたが、五泉はそれを求めなかった。
当然、燕が想像していたような、『一夜だけ』のものだと思っていた。
なのに、名を明かし、また勤務先まで教えて、拘束されようとしている。
腰を上げた五泉が呆けている燕に視線を落とした。
「言っている意味が分からないバカではないだろう?それともそんなに、誰にでも尻を振る存在でいたいのか?」
やっぱり分かっている…。
燕がどんな立場であったのか…。
使い古し、とも言われてもおかしくないのに、囲おうとするのは、それだけ手軽な存在だと思っているからだろうか。

悲しくなった。
どんどん堕ち潰れていく人間になっていくようだ。
手にした名刺を握りつぶしそうになる。
「ツバメ」
呼ばれた名前に、また注がれた鋭い眼差しに手から力が抜けていく。
「いいか。必ず連絡しろ。都合はできるだけおまえに合わせてやるから」

真意は探れない。
後ろ姿をただ見送った。
どこまで本気で言っているのか…。

ヨロヨロと立ち上がってシャワーを浴びて…。身支度を整えて…。とはいえ、カットソーとパーカー、ジーンズを合わせただけの軽装だったが。
何故か名刺を捨てることもできず、燕もホテルを後にした。
燕の心を引き止めたのは、『朝から』という先程の行為にあるのだろう。
求められている意識のようなものか…。
こうして何度も同じ過ちを繰り返しているというのに、まだ懲りないとも言えた。

安アパートに辿り着いて、ベッドにくたりと崩れ落ちる。
大学の留年をしているのも、こんな性生活に原因があるように思われた。
23歳。燕は大学2年生という学生だった。

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コメント

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すげつ
コメントちー | URL | 2012-11-18-Sun 07:15 [編集]
五泉さん、専務さんかあ。
で、ちゃんとしてる人?みたいだけど。
またしても、兄ちゃん( ̄ー ̄)

あ、今回は兄ちゃんとの三角関係だ。
五泉さんが拾った燕くんを巡ってアレコレあるのね。
(違うと思うけど)

燕くんの過去が少しずつわかって来ましたね。
私が思うに燕くんが誰かの気持ちを貰えないのではなくて、燕くんがあげられないからじゃないのかな?
なんて、わかったのはずっと留年してる大学生で、過去に付き合った人に飽きたら?捨てられたらしいって事。

女の子もそうだけどさ。捨て鉢になってたらそれなりの奴しか集まって来ないよ。
悔しいって気持ちがあるんだし、まだ若いからやり直せるよ。そして、自分だけの相手を見つけられたら良いね、燕くん。

「師匠~」
「ん?何さ?カメラでも壊れた?」
「違います~!写真は撮って貰うって何回も」
「はいはい、で?」
「あ、何だっけ?」
「・・・ダーリンが呼んでるんだけど?」
「うんと、あ、そうだ!あの詩は反則ですぅ。ずるいですぅ。ちーがバカみたいじゃないですかあ」
「(バカじゃん)そんな事ないって」
「わーん、悔しかったら書いてみろって師匠がぁ」
「もしもし?ダーリン?今日なに食べたい?」
Re: すげつ
コメントたつみきえ | URL | 2012-11-18-Sun 07:51 [編集]
ちー様
おはようございます。
お体良くなりましたか~? 今後もお気を付けくださいね。

> 五泉さん、専務さんかあ。
> で、ちゃんとしてる人?みたいだけど。
> またしても、兄ちゃん( ̄ー ̄)
>
> あ、今回は兄ちゃんとの三角関係だ。
> 五泉さんが拾った燕くんを巡ってアレコレあるのね。
> (違うと思うけど)

絶対反応されると思いましたよ…。お兄ちゃん。
まぁ、そのうち出てきますけれどね(相当先)
さぁ、どんな話になっていくのでしょう。
まだまだ序盤なのでねぇ。
五泉さん、立派な人だったみたいですね。
上から目線な発言ばかりしていたけど…。

> 燕くんの過去が少しずつわかって来ましたね。
> 私が思うに燕くんが誰かの気持ちを貰えないのではなくて、燕くんがあげられないからじゃないのかな?
> なんて、わかったのはずっと留年してる大学生で、過去に付き合った人に飽きたら?捨てられたらしいって事。
>
> 女の子もそうだけどさ。捨て鉢になってたらそれなりの奴しか集まって来ないよ。
> 悔しいって気持ちがあるんだし、まだ若いからやり直せるよ。そして、自分だけの相手を見つけられたら良いね、燕くん。

自分だけの相手…見つけられるでしょうか。
そっかぁ。燕があげられないっていうのも、どっか引っかかりがあるからかもね。
そして過ごしてしまった留年生活。

> 「師匠~」
> 「ん?何さ?カメラでも壊れた?」
> 「違います~!写真は撮って貰うって何回も」
> 「はいはい、で?」
> 「あ、何だっけ?」
> 「・・・ダーリンが呼んでるんだけど?」
> 「うんと、あ、そうだ!あの詩は反則ですぅ。ずるいですぅ。ちーがバカみたいじゃないですかあ」
> 「(バカじゃん)そんな事ないって」
> 「わーん、悔しかったら書いてみろって師匠がぁ」
> 「もしもし?ダーリン?今日なに食べたい?」

師匠の詩はすごいですよねぇ。
でもちー様の妄想も同レベルだと思いますよ。
『悔しかったら書いてみろ』の師匠のお言葉は、『ちー様の妄想も読みたい』という発破ではないかと…。
コメントありがとうございました。
昨日は褒めてくれてヾ(@^▽^@)ノ ァリガトゥー♪
コメントけいったん | URL | 2012-11-18-Sun 10:13 [編集]
燕と五泉は、昨晩 初めて会ったんでしょ?
なのに 五泉は 燕を えらく お気に入りになるとは!
体の相性だけじゃない 何かがありそう…(○'ω'○)ん?


「ぢー、がみ ぎっだど ぬばっでぶ?(ちー、髪切ったの似合ってる?)」
「…?」
「だんどが いっでぇ~!(何とか言ってぇ~)」
「…ッ…ちーたん、とにかく鼻をかんで!ね♪」
「ズズー ブヒッ ズゥー」

いつも 勝手に妄想して書いた詩を送っているのに きえ様は 優しく受け止めて下さって 有難くて申し訳ない…でも 喜んで貰えて嬉しい(o^-^o) ウヒッ
贈った詩は、きえ様が好きな様に煮たり焼いたりして 使って下さって結構ですので♪
(⌒0⌒)/~~~ ほんじゃね!...byebye☆
Re: 昨日は褒めてくれてヾ(@^▽^@)ノ ァリガトゥー♪
コメントたつみきえ | URL | 2012-11-18-Sun 12:35 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 燕と五泉は、昨晩 初めて会ったんでしょ?
> なのに 五泉は 燕を えらく お気に入りになるとは!
> 体の相性だけじゃない 何かがありそう…(○'ω'○)ん?

体の相性?!
いつかの誰ぞや…って感じですがねぇ。
まぁちょっといろいろとあるようです。
おいおい、書きくわえて行こうと思います。
焦らしプレイじゃないよ~。

> 「ぢー、がみ ぎっだど ぬばっでぶ?(ちー、髪切ったの似合ってる?)」
> 「…?」
> 「だんどが いっでぇ~!(何とか言ってぇ~)」
> 「…ッ…ちーたん、とにかく鼻をかんで!ね♪」
> 「ズズー ブヒッ ズゥー」

ちー様、鼻水、ダラダラ垂れているよ~。
せっかく美人になったのに~(笑)
台無しじゃんねぇ。

> いつも 勝手に妄想して書いた詩を送っているのに きえ様は 優しく受け止めて下さって 有難くて申し訳ない…でも 喜んで貰えて嬉しい(o^-^o) ウヒッ
> 贈った詩は、きえ様が好きな様に煮たり焼いたりして 使って下さって結構ですので♪
> (⌒0⌒)/~~~ ほんじゃね!...byebye☆

けいったん様
いつもいつもありがとうございます。
差し入ればかりいただいて、お届けするものが何もなくて恐縮ですm(__)m
え…と、そこは、駄文で許していただく、ということで…(汗)
コメントありがとうございました。
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