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BLの丘
乱反射 10
2012-10-16-Tue  CATEGORY: 乱反射
瀬見がきちんと真室を送ったのだろう…とは、兄の存在を思っても確認しなくてもいいことのように感じられた。
だが、家に帰りついて、一人身になったとき、深く虚しさを感じた。
同じ家まで辿った双子と相方を見たせいもあるのだろうか。
更に一人で帰る道のり…。
瀬見も一人暮らしだとはすでに聞いた話であるが、一部の間でも話相手がいるというのは、過ごし方が変わるだろう。
どれだけ一人身に淋しさを覚えているのかと、しみじみと思ってしまう。
かといって、真室に特別な何かがあるわけではないのだが…。
瀬見に横取りされたような感覚が抜けないのは、見てきた後輩としての存在か…。
なんともスッキリとしない一日の終わりである。

翌日、珍しく由良と萩生と、五人で食事を取った。
過去の由利と由良が居た頃の光景にも似ている。
昨夜の飲み会のおかげか、由良と真室の間も縮まっている。
もともと部署が違うだけに、接触はなかったのだが、瀬見や萩生の存在が、真室の奔放さを引き出しているのだろう。
由良と萩生が隣同士に並んで座り、真室を中心に、両脇をあつみと瀬見が固めている。
目の前で、違う食事を交互に取る姿は、…まあ、いい。
あつみが気になったのは、いつも以上に真室が瀬見に近付いていることだった。
「瀬見さん…」と、聞き慣れない発言が耳を突いた。
いつの間に呼び名が変わってしまったのだろうか…。

食事の席で一緒にならない限り、瀬見との接触はない。
昨夜の由利と由良がどうだった…などといった世間話はあつみの耳をトンネルして行った。
食事が終わり、食べ終わった弁当箱を真室に預けて、そのまま戻るのだろうと思っていた。
由良と萩生はコーヒー店に向かうようだ。
休憩時間の過ごし方は、それぞれに任されることで、誰かに強制されるものでもない。
あつみと、席を立った萩生たちだったが、まだ座ったままの真室と瀬見の存在は、少々気になるところでもあった。
ただ、何か話をしたいのかと思えば、その時間を邪魔する理由もない。ここでしか、触れあえない環境が社内にはある。
部署が違えば、仕事中の無駄話もできないのだから。

間もなく休憩時間も終わるかという頃、萩生は室内に戻ってきた。
その場にいる人間を見渡しては、「あれ?真室はどうしたの?」と、素直に疑問点を口にする。
確かに、いつもであれば、”間際”に戻ってくる…ということはなかった。
「まだ食堂にいる…はないだろうな。どこで油売ってんだか…」
あつみも気にかけて、「ちょっと見てくる」と腰を上げた。
普段の行動が真面目なぶん、諸先輩たちから陰湿な目を向けられることはないとは思うが、予防策はとっておくに限る。
行きそうな場所といえば…。
真室と行動を共にすることが多かったあつみは、社内の図を脳内に浮かべた。
すでに煙草は吸わないと知るから、喫煙所はありえないだろう。
あとは自販機が並ぶ休憩室か、やはりまだ食堂か…。
真っ先に食堂に向かっても、休憩時間をずらした社員が存在するだけで、真室の姿はなかった。
先程まで自分たちが座っていた席も、知らない人間が占領している。
萩生が戻ってきたということは、カフェにも行っていないはずだ。
「休憩室かな…」
一人呟いては、たった一階しか変わらない場所に向かって、エレベーターを使うこともなく、階段を降りた。
非常階段としても指定されているそこは、人通りは少ない。
やはり時間を過ごした人間が慌ただしく動き出している光景が視界に入るが、真室の姿は見当たらなかった。
「あいつ、どこいってんだ…」
ぐるりと見渡して、階段脇のトイレが目に飛び込んできた。
各階にトイレはあるのだから、何もそこ…と思わなくてもいいものを…。

この時はまるで虫の知らせだった。

あつみが扉を開けると、誰の姿も見えないが、個室に人の気配は感じられた。
「あ…」
小さく上がった声と、離れる唇の水音。
「シっ」と咎める声が、同じ場所に存在する人物を想像させる。
静まり返った場所には乱れる息づかいが響いていた。
躊躇いをふさぐような衣擦れまで、ハッキリと耳に届く。
たった一つの声は、聞きなれたもので、真室と瀬見だと一瞬にして知れることができた。
何とも言えない、衝撃を受けた気分で、あつみは何も言わずにその扉を閉め、踵を返した。
たぶん、覗いたのがあつみだとは、二人とも気付いていないだろう。

萩生と由良のことも、すんなりと受け入れられた。
瀬見と真室がどんなことになろうとも関係ないと思うのに…。
胸の内に生まれたどす黒いものがあつみを襲ってくる。
言わずと知れた『嫉妬』だ。
それが真室に対してなのか、瀬見に向けられたものなのかは、あつみでも判断ができなかった。
何がどうして、いつの間に…。
近くにいたと思っていたのは自分だけだったのか…。
見えない壁に阻まれたようで、余計に悔しさだけが募っていく。

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コメント

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あっちゃん
コメントちー | URL | 2012-10-16-Tue 05:06 [編集]
あらあ、そう来たか・・・
せみちゃん、真室君が気に入ったって事?
それにしても、手の早い。
せみちゃんが早いのか真室君が早いのか。
まあ、結果は同じですね。

あっちゃん、私も何だか胸がギューってなった。
実は、あっちゃん、ずっと一人で良いんじゃん?
それ、楽しいかもって思った私を許してね。
思ったより、あっちゃんが好きみたい。

「しくしく、しくしく・・・」
「ちー、何泣いてんの?」
「だって、せみちゃんがせみちゃんが真室とー」
「あー、キスしてたから?」
「浮気者~!言いつけてやるっ。あの可愛くて美人な彼氏に言いつけてやるっ。」
「あんた、連絡先知ってんの・・・って、電話してるし」
「もしもし?あー、私だけど。こっそり・・・うん、そう、うん、うん。え、隊長?隊長、まだ温泉でしょ!わからないよ。はい、じゃ、よろしく♪」

「ちー、何を・・・?」
「あはっ。師匠、飲みますよ!由良由利!師匠にお酌してっ!」
「俺たち、ホストじゃねーって、ユーリ?」
「はい、由利ちゃん。これ食べる?」
「ユーリ、何好き?何飲む?」

素直にお酌してくれたユーリには、激甘な二人でありました。

Re: あっちゃん
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-16-Tue 07:12 [編集]
ちー様
おはようございます。

> あらあ、そう来たか・・・
> せみちゃん、真室君が気に入ったって事?
> それにしても、手の早い。
> せみちゃんが早いのか真室君が早いのか。
> まあ、結果は同じですね。

そうきました。
瀬見と真室、何があったんですかね。
どちらにしても手が早かった結果です。
何も知らないあつみ…。

> あっちゃん、私も何だか胸がギューってなった。
> 実は、あっちゃん、ずっと一人で良いんじゃん?
> それ、楽しいかもって思った私を許してね。
> 思ったより、あっちゃんが好きみたい。

それも酷いような…。
あっちゃんも幸せになりたいよね~。
一人身は淋しいんだよって思っているんだし。

> 「しくしく、しくしく・・・」
> 「ちー、何泣いてんの?」
> 「だって、せみちゃんがせみちゃんが真室とー」
> 「あー、キスしてたから?」
> 「浮気者~!言いつけてやるっ。あの可愛くて美人な彼氏に言いつけてやるっ。」
> 「あんた、連絡先知ってんの・・・って、電話してるし」
> 「もしもし?あー、私だけど。こっそり・・・うん、そう、うん、うん。え、隊長?隊長、まだ温泉でしょ!わからないよ。はい、じゃ、よろしく♪」
>
> 「ちー、何を・・・?」
> 「あはっ。師匠、飲みますよ!由良由利!師匠にお酌してっ!」
> 「俺たち、ホストじゃねーって、ユーリ?」
> 「はい、由利ちゃん。これ食べる?」
> 「ユーリ、何好き?何飲む?」
>
> 素直にお酌してくれたユーリには、激甘な二人でありました。

瀬見はすでに恋人がいると確定されている(笑)
隊長はまだ温泉に…。ふやけているんじゃないのか?!
そしてまたやけ酒ですか。
可愛い子たちを肴に飲み過ぎないようにね。
コメントありがとうございました。

No title
コメントけいったん | URL | 2012-10-16-Tue 10:18 [編集]
そ・そう来たかぁーーΣ(*゚д゚*)!!!
私は てっきり瀬見は 兄の若美狙いかと…

えっ!
瀬見と若美は、攻め同士ぽいだから 変って?
瀬見は 絶対 ”攻め”だけど、案外 若美って受けもOKかと、思っているのよね!
がっしり系の”受け”って 意外性があって 萌えると思いませんか♪(*゚∀゚)=3ハァハァ

しかし 幾ら考えても 瀬見と真室って 違和感があるなぁ
``σ( ̄^` ̄;) エットォ~これには 何か理由が?

結局 オレ、一人ぼっち…なのね…シクシク(TΩT)ボォ----by湯田川
ヨシヨシ( ,,´・ω・)ノ"(´っω・`。)...byebye☆」



Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-16-Tue 12:05 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> そ・そう来たかぁーーΣ(*゚д゚*)!!!
> 私は てっきり瀬見は 兄の若美狙いかと…
>
> えっ!
> 瀬見と若美は、攻め同士ぽいだから 変って?
> 瀬見は 絶対 ”攻め”だけど、案外 若美って受けもOKかと、思っているのよね!
> がっしり系の”受け”って 意外性があって 萌えると思いませんか♪(*゚∀゚)=3ハァハァ

瀬見と若美Σ (゚Д゚;)
うーん、まぁ、包容力はあるお兄ちゃんだと思います。
アリかとは思うけれど…。
私的には想像できないので妄想していてください。
お兄ちゃんが真室を抱っこしているところしか想像できない…。
だってずっと同じ部屋で寝ていた兄弟なんだもん。

> しかし 幾ら考えても 瀬見と真室って 違和感があるなぁ
> ``σ( ̄^` ̄;) エットォ~これには 何か理由が?

びくっ 口封じっ(ノ ̄ー ̄(; ̄X )ゝモゴモゴ

> 結局 オレ、一人ぼっち…なのね…シクシク(TΩT)ボォ----by湯田川
> ヨシヨシ( ,,´・ω・)ノ"(´っω・`。)...byebye☆」

あつみちゃーん。
きっと君も幸せになれるはずだよ。
一人ぼっちじゃないよ~。
また是非ヤケ酒を…。
でも酔っ払って痴漢してはいけないよ。
コメントありがとうございました。
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