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BLの丘
乱反射 8
2012-10-14-Sun  CATEGORY: 乱反射
食の潤いとは生活を変えてくれるものなのだろうか…。
一か月を過ぎて、同じものが出てこなかったことにあつみはもちろん、瀬見も言葉がない。
冒険心がある若美は常に新しいものを求めているらしい。
食べてくれる人がいること…。そのことに若美は余計に張り切っているらしいとは、真室に聞いた話だった。
「おかげでうちも、品数増えたし~」
定番から解放されたことをそれとなく言われては、自分たちの存在は無駄ではないのかもしれないが…。

いずれ、自分の店を持ちたいとは、すでに聞いた話だった。
夢に向かって動き続ける姿勢は、どこまでも努力を続けるのだろう。
受け取る金額はどうでもよく、単に客としての素直な意見が聞きたいようだとも後から知れたこと。
家族二人で食べる分とは違って、食してくれる人がいるとは、作りがいがあるというものなのか。
もちろん、文句もないあつみと瀬見だっただけに、新しいものに取り組む力強さが漂ってくる。

一か月も過ぎた頃、萩生が食堂で「今日、一緒してもいい?」とトレーを持って尋ねてきた。
四名席の一つはあいている。
すでに由良との二人きりの休憩時間だと分かっているだけに、疑問が浮かぶ。
もちろん、困ることなど何一つなかったが…。
「由良は?」
問う声に、「ユーリがこっちに戻ってきているんだよ。二人して、ごはん食べるんだって」と追いだされた背景を語ってくれる。
羽後の勤務は色々とあるらしい。
久し振りの兄弟水入らず、気を使った萩生なのだろう。
…まぁ、兄弟とはいえ、イチャイチャぶりを見せられて気持ちいい恋人ではないだろうが…。

「ユーリ?来てんの?…あー、久し振りに見たかった、ツインズ」
あつみの呟きに瀬見は苦笑するにとどまり、真室は意味が分からないようで瞬きを繰り返す。
「我が社名物の双子」と茶化しても、実物を視野に入れるまでは実感が湧かないようで、それ以上誰も何も言わなかった。
今では関係のない存在なのだ。

萩生との初めての会食には真室も驚いていたようだ。
三人に分け与える弁当の存在に、萩生が目を剥く。
「おまえら、何、食ってんの…?」
「真室の兄ちゃんのメシ。美味いんだよ、マジで…」
「高畠は由良のご飯、食ってんだろ。可哀想な湯田川はこんな場所でしか家庭の味、口にできないからなぁ」
「せみぃっ、それ、余計っ」
手作り料理から無縁の生活を、わざとらしく語られなくてもいい。
三人して同じ料理を広げる光景に、萩生も何か思うものがあるのか…。
買いこんできた親子丼と天ぷらうどんは慣れたメニューだ。
「俺も弁当にしようかな…」
ボソッと呟かれた原点はどこにあるのか…。
相手の性格を知るだけに、由良が作ってくれるとは、微塵も思えなかったあつみと瀬見だった。
見つめた先で、萩生が肩を竦める。
「いや…。やっぱさぁ、食費、でかいじゃん。家計費の節約ってことで…」
普段どんなものを食しているのかは疑問だが、一緒に住んでいれば見えてくる何かがあるのだろうか。
それでも”東根家”の弁当工場だけは紹介できなかった。
もちろん、真室の兄にこれ以上の負担はかけたくなかったものがある。
お小遣いだけを求める真室の口を、咄嗟に封じたあつみだった。
「愛妻弁当、いいねぇ。由良の渾身の作は是非見てみたい」
「いや…、たぶん、あいつは作らない…」
続いた呟きは静かに飲み込んだ。
やっぱり一緒に住んでいるからこそ、見えてくるものがあるのだろう。
愛妻弁当ならぬ、主夫弁当は、どんな出来栄えになるのやら…。
私生活に必要以上踏み込まないところが、関係性の良さを保っている。

「由良…さんってご飯、作らないんですか?」
また、余計なことを…と思った時にはすでに遅く、真室は萩生に疑問をぶつけていた。
人懐っこい性格はすでに知っていることで、萩生も抵抗は見せない。
「いや、作るよ。でも、面倒は嫌うタイプ。相手がユーリだったら、寝不足だろうが早起きだろうが何でもするんだろうけどなあ」
萩生の発言には、あつみも瀬見も噴き出してしまった。
蔑ろにしているわけではないのだろうが、必要性の順位をつけてくる。
それは双子、お互いに変わらないのだろう。
萩生に甘えている…とも捉えられることだったが…。
鼻の下を伸ばす萩生に、それとなく状況を悟ったのか、真室はそれ以上言うこともなかった。

休憩時間も終わろうかという頃、萩生は、「カフェラテ飲む?」と聞いてきた。
たぶん、そこが短い休憩時間の終わりで、待ち合わせた場所なのだろう。
「いただきっ」
あつみは行ってくるように促した。
「俺の分もお願い」と瀬見も小銭を握らせている。
真室はやっぱり分からないようで、「カフェラテ?」と首を傾げた。
そこであつみは、ふと思考を巡らせた。
一度会うのもいいかもしれない…。
ふたりの違いに気付くだろうか…。
そんなささいな違い。今後も仕事に応用できるかもしれないと思えるもの。
発想力、企画力、色々なものが絡み合う世界だった。
たぶん、微々たる味の違いに似た、何かなのだろう。

「瀬見、一緒に行こうぜ。真室も。お兄ちゃんがおごってあげよう」
咄嗟に呟かれた心の底を、誰が探れたというのだろうか…。

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週末、ちょっと厳しいです。
強引に書いている…。
まとまりがなくてすみません。

余談:別宅に素朴な疑問。誰か返答プリーズ
別宅

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コメント

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あや?
コメントちー | URL | 2012-10-14-Sun 00:50 [編集]
な、なんですと?ユーリが、こっちに?
そりゃ、見に行かないと。
しかも、可愛い子、三人じゃないですか?
なんだ、そのパラダイスは。

・・・ハギーに、セミアツも?
まさに、イケパラ!ブラボー。
行かなきゃ!

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!あんねー」
「何だ?弁当の注文増えたか?」
「まだっ!明日、契約してくるからさあ(シメシメ)」
「こら、お前、小遣い増えるとか思ってるな?」
「え、やだなあ。大好きなお兄ちゃんの美味しいお弁当食べてもらいたいだけだよ?本当だって~」
「わかったわかった」

真室の本心を知りつつ騙されてあげるお兄ちゃん。
若くて背が高くて筋肉質で逞しくて、優しく、時に厳しくもある素敵なお兄ちゃん。
ええ、好みですけど?大好きですが、何か?

「師匠、せみちゃんは彼氏持ちですから」
「納得がいかないわ」
「せみちゃんのお相手も、お料理上手な美人さんですってー」
「・・・」
「師匠、それより若美さんでしょ?若美さん、きっと同じ職場で・・・」
「キラリっ!」

あ、きえさんのフォローのつもりが・・・
Re: あや?
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-14-Sun 06:20 [編集]
ちー様
おはようございます。

> な、なんですと?ユーリが、こっちに?
> そりゃ、見に行かないと。
> しかも、可愛い子、三人じゃないですか?
> なんだ、そのパラダイスは。

パラダイス(爆)
たまには由良も由利と一緒にご飯したいんですよ。
恋人・⌒ヾ( ゚⊿゚)ポイッだけど…。
雄和にくっついて働く由利でしたね。
(雄和は…ほら、懐かしい同僚とかと一緒にご飯してます、きっと)

> ・・・ハギーに、セミアツも?
> まさに、イケパラ!ブラボー。
> 行かなきゃ!
>
> 「お兄ちゃん、お兄ちゃん!あんねー」
> 「何だ?弁当の注文増えたか?」
> 「まだっ!明日、契約してくるからさあ(シメシメ)」
> 「こら、お前、小遣い増えるとか思ってるな?」
> 「え、やだなあ。大好きなお兄ちゃんの美味しいお弁当食べてもらいたいだけだよ?本当だって~」
> 「わかったわかった」
>
> 真室の本心を知りつつ騙されてあげるお兄ちゃん。
> 若くて背が高くて筋肉質で逞しくて、優しく、時に厳しくもある素敵なお兄ちゃん。
> ええ、好みですけど?大好きですが、何か?

真室…そんなに弁当契約は、お兄ちゃんが大変になるから…。
ハギーは主夫業、がんばりましょう。
素敵なお兄ちゃん、好きですよね~♪
私も大好き♡
昔、厨房で一緒に働いていたお兄ちゃんはスポーツクラブのインストラクターやっていた人で、
ベタベタ触りまくっていました。
胸筋が動くんだ、すごかったぁ(←脱がせた人)

> 「師匠、せみちゃんは彼氏持ちですから」
> 「納得がいかないわ」
> 「せみちゃんのお相手も、お料理上手な美人さんですってー」
> 「・・・」
> 「師匠、それより若美さんでしょ?若美さん、きっと同じ職場で・・・」
> 「キラリっ!」
>
> あ、きえさんのフォローのつもりが・・・

(/。\)ミザル<(‐‐)>キカザル(‐×‐)イワザル
同じ職場だったら瀬見ちゃんはお弁当を作ってもらっているのではないでしょうか。
あ、あれか。まだ新人さんの若い子なのか。
包丁持ったら指切っちゃうから(←どんなだっていうの…)やらせないのね。
妄想は自由ですよ~。
好きなだけしててくださいね~(←)
コメントありがとうございました。
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