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BLの丘
乱反射 6
2012-10-12-Fri  CATEGORY: 乱反射
仕事中、どう真室が兄を言いくるめたのかは知らないが…。
調理師という仕事は、一般人とは異なる時間帯に休憩時間がやってくるせいか、帰り際に明るい声で真室から、「明日からオッケーでーす♡」と返事がきた。
はしゃぐ真室の声には、室内の皆が振り向いてくる。
萩生も「どうしたの?」と突然の真室との近付き方に疑問を宿す。
さすがにこれ以上の”弁当工場”は真室も考えたのか、「ナイショ~」と意味深な笑みと返答でその場を和ませる。
…いや、その返答だけで充分疑惑を買っているだろう…。
たった一度の食事でも、これまでとは違った居心地の良さを覚えてくれたことは、同じく働く人間として嬉しくもあるが。
明らかに距離感は縮まっていた。
お兄さんに何と挨拶をすればいいんだ…と考えては、瀬見に任せようと丸投げしたくなるあつみだった。

真室のおかげ…というのか、瀬見の策略というのか…。
翌日から萩生と由良からは完璧に離れた休憩時間になった。
後輩が会社の中に溶け込んでくれることは嬉しい出来事である。
真室の性格か、怖気づいたところもないし、瀬見とも友好的な態度で接する。
どこから用意されたのか、ピンクとか黄色の、可愛いキャラクターのいくつもの弁当箱は、正直開けるのに戸惑った初日だったが…。
「あ、それ、お姉ちゃんが置いていったお弁当箱なんです。買うだけ買って使いもしない…ってお兄ちゃん、ぼやいてましたけれど。『日の目見る機会ができて良かったなぁ』って不気味なくらい笑顔で呟きながら詰めてました」
ここまで急いた疑問点もあったが、それは自分の料理の自慢か、真室が促した、考えありの結果なのか…と詮索したくない内容が広がっていた。
年頃の女の子がその時代ごとに購入した備品が家の中に埋まっていて、ここぞとばかりに出されたのだろうか…。
それを利用されることもどうなのだろうと思われるが…。
器を気にしなければ、今日も豪華な品揃えで、あつみは声を失う。
真室はひたすら”残り物”というが、この倍量を出されても文句はない味付けの良さで、初日にして価値の高さを味わってしまった。
これが『300円』と言われて断る気にはならない。
とにかくバランスが良い。
調理師だけでなく、栄養士の資格も持つ兄の存在は偉大だった。

「おまえ、毎日、何食ってんの~?」
思わず漏れてしまう愚痴。
これらを作ってもらって不平不満があることが納得できない。
最近の子は、どこまで贅沢に育っているのだ…と、文句を並べる真室を一喝してしまう。
目の前では相変わらず苦笑する瀬見がいたけれど…。

瀬見がケツを叩いてくれなければありつけなかったものでもあった。
あつみが喜ぶ表情に、素直に悦びを表してくれる真室で、「契約?契約?」とお小遣いの行方を探ってくる。
真室にとって、料理の味、どうこうよりは、懐の具合なのが難点だったが…。
「お兄ちゃんにとっても臨時収入になるんですよ~」
促す声は生き生きとしていた。

「瀬見…、どうすんのよ…」
共に食していた瀬見に最終意見を聞けば、難なく作ってくれたことで兄の了解が得られたと判断されたのか、「即契約~♪」と、真室を喜ばせる答えに出た。
手料理に飢えていた…のは瀬見も同じか、社食に飽きていた…のかは疑問だが、口にはあったらしい。
こうなればどんな心情があったとしても同調せざるを得ない。
万遍の笑みを浮かべた真室が、「わーいっ、一万円♪」と万歳をした。
どこか金額がおかしくないか…?と思考が働いたのは、瀬見と顔を合わせた後だ。

ふたり揃って真室に視線を送れば、ペロッと舌を出した悪戯っ子がいた。
「『材料費は工面してやるから一万円は真室の運び賃でいいよ』ってお兄ちゃんがぁ~」
どこまで弟に甘い兄貴なのかと、今更言う気にはなれず。
つまりのところ、二人分合わせて2000円で一カ月分の弁当を作ることを強制(?)された兄貴らしい…。
『運び賃』もなにも…。
製作費に対して随分高くついている移動弁当代ではないだろうか…。
間違いなく兄のお小遣いにはならないだろう。

がっくりと項垂れた。
あまりにも申し訳なさすぎて、別支払を真面目に考えてしまう。
そもそもこの”幕の内弁当”は、指定された金額ではどこの弁当屋でも食べられない代物だった。
家族の大量生産とは素晴らしいものだと思って唸る。
「えーと、東根君。支払は月末の一括、とかでもいいのかな」
瀬見もその価値を見出していた。
早速瀬見が契約内容(?)を確認すると、「はいっ!」と元気な声が上がる。
「いつでもどんな支払方法でもいいですよ~」
喜々とした声に、何故か、一度真室の手に渡ったら、兄には届けられないような不安が過った。
言いくるめるのだろう、きっと…。
やっぱり、直接兄と話すべきだと脳内に警告音を発したのは、あつみだけではなかった。
どれほど甘い兄だったとしても、…その先の金銭のやり取りは家族内に任せても…。
自分たちで確実な金額を収めていることだけは知っておいてほしい。
何とも心許ない…、そして強かな後輩を持った、とあつみは複雑な気分に覆われた。

保冷バッグ2
食べつくすのね…。

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コメント

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末っ子
コメントちー | URL | 2012-10-12-Fri 05:04 [編集]
真室くん、きっと可愛がられて育ったんだろうねえ。
歳も違うし、お兄ちゃん、お姉ちゃん、父、母。
そりゃ、素直でちょっとワガママだけど可愛い弟にもなるわよね。
お金、お兄ちゃんの口座に振り込むのが確実と(笑)
セミアツ~、お兄ちゃんとちゃんとお話してねっ。

「あーん」
「ほら、次は?」

「師匠、何かムカつく程仲良しなんすけどー。」
「ん?由良たち?まあ、そのうち嵐とか来るよ♪それより、真室兄でしょ?」
「そうそう。きえさん、マジで出さないみたいですよ」
(今回の行間に決意を感じるちー)
「真室兄って~←聞いてない」
「歳の離れた弟を可愛がっているけど、怒るときは怒るって感じ?で、ママが『お兄ちゃんに言いつけるよ!』って、言うと泣いて謝るみたいな。」
「普段、怒らない人が怒ると怖いもんね」

「萩生~、次はねー」
「これか?これだな?」
「違うーっ!もう、萩生のばかぁ」
ブー、ブー、ブー、ブー・・・(ハギーにマナーモードにされた)
『由良ぁ。出ないの?』
Re: 末っ子
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-12-Fri 07:06 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 真室くん、きっと可愛がられて育ったんだろうねえ。
> 歳も違うし、お兄ちゃん、お姉ちゃん、父、母。
> そりゃ、素直でちょっとワガママだけど可愛い弟にもなるわよね。
> お金、お兄ちゃんの口座に振り込むのが確実と(笑)
> セミアツ~、お兄ちゃんとちゃんとお話してねっ。

年が離れていると甘やかされるんですかねぇ。
パパママはもちろん、お兄ちゃんもお姉ちゃんもお人形の代わり(←)に可愛がったことでしょう。
そして言いたい放題(爆)
どうやって支払うのかしら。

> 「あーん」
> 「ほら、次は?」
>
> 「師匠、何かムカつく程仲良しなんすけどー。」
> 「ん?由良たち?まあ、そのうち嵐とか来るよ♪それより、真室兄でしょ?」
> 「そうそう。きえさん、マジで出さないみたいですよ」
> (今回の行間に決意を感じるちー)
> 「真室兄って~←聞いてない」
> 「歳の離れた弟を可愛がっているけど、怒るときは怒るって感じ?で、ママが『お兄ちゃんに言いつけるよ!』って、言うと泣いて謝るみたいな。」
> 「普段、怒らない人が怒ると怖いもんね」
>
> 「萩生~、次はねー」
> 「これか?これだな?」
> 「違うーっ!もう、萩生のばかぁ」
> ブー、ブー、ブー、ブー・・・(ハギーにマナーモードにされた)
> 『由良ぁ。出ないの?』

由利が…由利が淋しがっているよ~。
察してよ、お兄ちゃん(*゚ロ゚)ハッ!!
「あ、なんか響いている…」
「(クソっ、電源切っておくんだった…)(←心の声)」
(真室兄はやっぱり無視)
コメントありがとうございました。
真室と 真室兄の昨晩のお話し←妄想です((^┰^))ゞ テヘヘ
コメントけいったん | URL | 2012-10-12-Fri 16:41 [編集]
真室と真室兄の間で どんな話しをしたのかは 推測(妄想?)ですが、
「お兄ちゃん!お兄ちゃん”手作り”のお弁当が、先輩に すっごい好評なんだよ~♪」
『おぉ~そうか、そうか♪(喜)』
「一口あげたら とっても美味しい(←ココ強調)ってぇ~ニコッ♪)」
『アハハハ それは~それは~♪(大喜)』
「でね、先輩たちにも お弁当を作ってあげてよ~ニコッニコッ♪」
『えっ!』
「もちろん、お弁当代は しっかり貰うからさぁ~いいよね、お兄ちゃん♪エヘヘ」
『んー、…まっいいか!』
「やった~ お兄ちゃん、大好き~♡」
『真室っ~♡デレデレ♡』

自分の妄想のハンパなさに 呆れてながらも 妄想が止められない~~!
ちーさんも 同じ症状の様ですが、これって いつか治るのかしら?
ィャ------冫.....φ(-ω-。`*)ノ。o 0【照】...byebye☆

P.S.ちょっと家の用事で バタバタしております。早く片付いて ゆっくりBLの世界に浸りた~い!
Re: 真室と 真室兄の昨晩のお話し←妄想です((^┰^))ゞ テヘヘ
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-13-Sat 05:55 [編集]
けいったん様
おはようございます。
お忙しい中、駄文を読みに来てくださってありがとうございます。
その上、妄想劇まで繰り広げてくれて…。
私の頭もより一層かっせ、かっせい、活性化…されていく模様です。

> 真室と真室兄の間で どんな話しをしたのかは 推測(妄想?)ですが、
> 「お兄ちゃん!お兄ちゃん”手作り”のお弁当が、先輩に すっごい好評なんだよ~♪」
> 『おぉ~そうか、そうか♪(喜)』
> 「一口あげたら とっても美味しい(←ココ強調)ってぇ~ニコッ♪)」
> 『アハハハ それは~それは~♪(大喜)』
> 「でね、先輩たちにも お弁当を作ってあげてよ~ニコッニコッ♪」
> 『えっ!』
> 「もちろん、お弁当代は しっかり貰うからさぁ~いいよね、お兄ちゃん♪エヘヘ」
> 『んー、…まっいいか!』
> 「やった~ お兄ちゃん、大好き~♡」
> 『真室っ~♡デレデレ♡』
>
> 自分の妄想のハンパなさに 呆れてながらも 妄想が止められない~~!
> ちーさんも 同じ症状の様ですが、これって いつか治るのかしら?
> ィャ------冫.....φ(-ω-。`*)ノ。o 0【照】...byebye☆
>
> P.S.ちょっと家の用事で バタバタしております。早く片付いて ゆっくりBLの世界に浸りた~い!

その妄想劇、もっと聞きたいです。
なんか、裏番組見ているみたいで楽しい~♪
えぇ、絶対にそんなことがあったんでしょうね。
きっと真室は、お風呂上がりにソファに座っているお兄ちゃんの背後から首つかまえて、胸の前で手を合わせて、「ねぇねぇねぇ~」って背中を揺すぶっていたことでしょう。
それからお兄ちゃんは、褒められて悪い気はせず。
「うん、分かったよ」って真室を引き寄せて膝のうえで抱っこ、いーこいーこって頭撫でて…。
楽屋裏、楽しそうですね。
どうぞ、ご無理されませんように。
コメントありがとうございました。
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