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BLの丘
七色の虹 13
2012-09-25-Tue  CATEGORY: 七色の虹
翌日の終業後、会社のロビーで高畠と待ち合わせた。
こんな風に故意に時間を合わせられることはとても新鮮で、由良は一日どこか上の空だったような気がする。
実のところ、今後の予定は由利にも新庄にも伝えていなかった。
高畠が『あつみには内緒にしておこう』と言ったことに、秘密を共有するようで、思わず口を閉じたのだった。
それこそ童心に返るようなワクワク感が生まれた。
由利はとっくに社屋を後にしているのだろう。
メンテナンスの日ではないから羽後を社内で見かけることはなかったが、この出口まで迎えに来たことは確かだろう。
由利を一人にしないでいてくれることは、由良にとって一番安心できること。
なんといっても、自分がずっと守ってきた存在なのだから…。

ロビーに降りるとすでに高畠が待っていたようだ。
思わず小走りになって寄る由良を視界に入れて、笑顔を浮かべてくれる。
「走って転ぶなよ」
「もうっ。ユーリじゃないんだからっ」
「あぁ、ユーリは間違いなく転びそうだな」
「それも馬鹿にしているよね」
「由良が言い出したことだろう」
どっちが先に言い出したんだと苦笑を向けられた。
別に由利のことを隠れてけなしているわけではなく、話題の一つなのだが、はっきりと言われては気分も良くないもの。
その辺りは高畠も理解できるのか、それ以上何も言ってはこなかった。
雰囲気はそれぞれに読めるところがある。

家に帰り、由良は高畠をバスルームに促した。
「着替え、持って来たんでしょ?その格好のままだと寛げないよ」
前回招いた時よりも、ずっと早い時間だった。
その分ゆっくりしてほしいからと、すでに申し合わせた話。
その間に由良は準備を進めることができる。
「先にいいの?由良は?」
「あとでいい。タオル、棚にあるやつ、適当に引っ張り出していいから」
押し問答をすれば由良が気遣ってしまうと思うのか、素直に従ってくれる高畠で、由良はホッと一息ついていたりした。
気を使わない、と捉えられることが精神的にも安らげるものになる。
醸し出される空気はより近くに寄れているような嬉しさを運んでくれた。
事前に話を通しておいたおかげで、実はある程度の準備はできていたりする。
タジン鍋に鶏肉と野菜、きのこを入れて蒸し料理を一品。アボカドとエビを味噌とマヨネーズで和えただけでチーズを乗せてグラタン。昨夜作っておいたレンコンのきんぴらと、残っていたアジの骨のからあげ。
自分でも驚くくらい豪華で手際がいいと思える作業だった。
何より、シャワーを浴びて出てきた高畠の驚く顔が…。
まだテーブルまで運んでいないものの、漂う香りに品数の多さを悟るのだろうか。
「由良、何、作ってんの?カップラーメンでも出されるかと思っていたのに…」
「それこそ、ユーリじゃないからっ」
これくらいできるのだと言いたくなりながら、剥れた由良の隣に高畠が立つ。
見慣れたスーツ姿とは一変。Tシャツにゆったりとしたパンツをあわせただけの軽装は、印象をガラリと変えてくれて、気を許されていると実感できて一拍の間ができたくらいだった。
また見慣れない姿は心臓を激しく刺激してくれる。
ほんのりと香る使い慣れたボディソープの匂いが鼻腔をくすぐった。
「あと何するの?」
「あ…、パスタでも茹でようかと…」
「じゃあ、やっておいてやるよ。由良も汗、流して来いよ」
用意しておいたペンネと市販のソースを見ては、残る作業は想像できるものだった。
高畠を呼んだのに、やらせてしまうのはどうかと戸惑いを浮かべれば、「ほら」と背中を押される。
今更…といった雰囲気バリバリで、由良もこれ以上の抵抗はできなかった。
本当に、どんどんと近付いていける甘い思いを抱けたのだ。

自分の部屋から着替えを掴んでは、慌てて一日の疲れを流した。
高畠が寛いでくれれば何よりも嬉しいし、特別な時間が持てる、普段にはないことが由良の感情を押し上げてくる。
濡れた髪を乾かすこともせず、タオルドライしただけでキッチンに戻っていけば、テーブルの上に料理が運ばれていた。
たった一度だけでも来たことがある余裕なのか、勝手に取りだされた皿やグラスなども並ぶ。
高畠はちょうど茹であがったペンネに『アラビアータの素』を絡ませている時だった。
「あ、高畠さん、冷蔵庫の中にビールあるよ。先に飲んでてよかったのに…」
待たせてしまった後ろめたさが過る。
チラッと注がれた視線が、一瞬驚いたように見開かれたが、すぐに反らされて鍋へと落ちた。
「いや、……」
なんとなくぎこちなさが漂った気がした。
こんなふうに間が開いたことは滅多にあることではなく、高気圧に覆われていた気分が急降下した。
やはり、やらせてしまったことが悪かったのだろうか…。
咄嗟に近付いては、「あの、ね…、座ってて…」と高畠を見上げたが、高畠は困惑の色を隠さず、視線を合わせようとしなかった。
「あぁ…」
小さく頷くにとめて、スッと由良の脇を通り抜けていく。
先程までとは全く異なった居心地の悪さだけが、部屋の中を包んでいた。

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コメント

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ようやくだな
コメントちー | URL | 2012-09-25-Tue 04:28 [編集]
高畠さん、実は何気なく振る舞ってた?
お風呂上がりの由良が色っぽかったんでしょ?
で、見られないと(笑)
そりゃ、雰囲気変わっちゃうよね。

由良、激しく誤解してるし。
由良ぁ、負けちゃダメだよ。大丈夫だから。
美味しそうなものたくさん作ったね。
勝負はこれからだから、ご飯食べて力つけないと。


けいったん奥さま、若い子がお好き?
そうですわねー、高校生くらいのひなちゃんとか?
かわらちゃんとか?俊介君もまだまだ可愛いけど。
でも、新庄さん、買いですわよ(笑)


リンリンリン、お電話ですよー♪

「隊長、隊長!お願いが」
『・・・』
「隊長?聞いてる?あのね、あのね、お金・・・」
『ダメだっ!私の旅行先にきえ刑事が来たぞ?こ、こ、怖かったんだぞ!』
「ヤベ、そりゃヤベっ!隊長~、またねっ」

Re: ようやくだな
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-25-Tue 07:14 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 高畠さん、実は何気なく振る舞ってた?
> お風呂上がりの由良が色っぽかったんでしょ?
> で、見られないと(笑)
> そりゃ、雰囲気変わっちゃうよね。

スルドイっ!!!
高畠、結構ためていたものがあったのでしょうかね。
平静を保っていても、どっかんっと突っ込まれた感じだったのでは?!
お風呂上がり、お互いに刺激を浴びちゃったようですね。

> 由良、激しく誤解してるし。
> 由良ぁ、負けちゃダメだよ。大丈夫だから。
> 美味しそうなものたくさん作ったね。
> 勝負はこれからだから、ご飯食べて力つけないと。

体力つけてどうするんでしょう(←)
由良は思いっきり動揺していますが…。
高畠、ここでこそ、フォローするものでしょう。
ご飯作って、必死でアピッている由良なの~~~。

> けいったん奥さま、若い子がお好き?
> そうですわねー、高校生くらいのひなちゃんとか?
> かわらちゃんとか?俊介君もまだまだ可愛いけど。
> でも、新庄さん、買いですわよ(笑)
>
>
> リンリンリン、お電話ですよー♪
>
> 「隊長、隊長!お願いが」
> 『・・・』
> 「隊長?聞いてる?あのね、あのね、お金・・・」
> 『ダメだっ!私の旅行先にきえ刑事が来たぞ?こ、こ、怖かったんだぞ!』
> 「ヤベ、そりゃヤベっ!隊長~、またねっ」

ちー様、電話じゃなくて、混浴で背中でもながしてあげなくちゃ♪
ちなみにきえ刑事は怖くはありませんよ~。
そこ、誤解しておりますよ~♡
きえ「いつまで温泉に浸かっているんだっヽ(`Д´)ノウワァァン!!さっさと仕事しやがれ~っっっ」
隊長『【荷物】……λ......トボトボ』
コメントありがとうございました。
温泉刑事のいい湯だなぁ~♪事件簿☆シリーズ
コメントけいったん | URL | 2012-09-25-Tue 10:05 [編集]
高畠も そうである様に スーツ姿じゃない由良も いつもと違って新鮮に映るよね♪
しかも お風呂上りで 上気した由良の肌が 薄桃色~♪ζ(//▽//)ζ
スーツという鎧を脱いだのだから 心の鎧も取って 素直になってちょうだいな、お2人さん♪(o^-^o) ウヒッ

トゥルトゥルトゥル♪
『ハニー!大変だぁ~!』by隊長
「どうしたの、ダーリン?」byけいったん
『刑事は来るし、ちー隊員から電話はあるし!何か変なんだ!?』
「ダーリン♪ そんな細かな事は気にしないの!じゃぁね♪」
「ごめんねぇ、ちー奥さん 話しが中断しちゃって~」
[ダーリン…?、隊長…??、刑事…!、隊員…!!]byちー奥さん(or隊員?)
「あら?ちー奥さん、どうなさったの?」

本編(只今 由良と高畠の2人だけ)よりコメ欄の方が、登場人物が多いって~(笑)
これって いいのでしょうか、きえ作者(or刑事)さん?
?ホェ?(o・ω・o)?ホェ?...byebye☆







Re: 温泉刑事のいい湯だなぁ~♪事件簿☆シリーズ
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-25-Tue 10:53 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 高畠も そうである様に スーツ姿じゃない由良も いつもと違って新鮮に映るよね♪
> しかも お風呂上りで 上気した由良の肌が 薄桃色~♪ζ(//▽//)ζ
> スーツという鎧を脱いだのだから 心の鎧も取って 素直になってちょうだいな、お2人さん♪(o^-^o) ウヒッ

新鮮です☆ピチピチ(←)
きっと、絶対に、風呂上がりの肌にヤられたのでしょうね。
桃色~ぴんく~。
今夜は時間もあることだし…(〃▽〃)ウヒッ

> トゥルトゥルトゥル♪
> 『ハニー!大変だぁ~!』by隊長
> 「どうしたの、ダーリン?」byけいったん
> 『刑事は来るし、ちー隊員から電話はあるし!何か変なんだ!?』
> 「ダーリン♪ そんな細かな事は気にしないの!じゃぁね♪」
> 「ごめんねぇ、ちー奥さん 話しが中断しちゃって~」
> [ダーリン…?、隊長…??、刑事…!、隊員…!!]byちー奥さん(or隊員?)
> 「あら?ちー奥さん、どうなさったの?」
>
> 本編(只今 由良と高畠の2人だけ)よりコメ欄の方が、登場人物が多いって~(笑)
> これって いいのでしょうか、きえ作者(or刑事)さん?
> ?ホェ?(o・ω・o)?ホェ?...byebye☆

シリーズですかっ?!
捜査する人は多いんですよ。
お気になさらず。
でもけいったん様、さすがですね。
キャッチホンでどこからの情報ももらさず受け止めるところは~~~。
ちょっと素っ気なくしては、「え~ん.・゜゜・(/□\*)・゜゜・」って泣きついてくる人を待っている…。
さりげなく買わされた隊長は…。
ちー奥様もその蜘蛛の糸にからめとられ…(いえ、なんでもありません…)
コメントありがとうございました。
No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-25-Tue 11:16 [編集]
拍手コメ フ様
こんにちは~。

>ゆらのふくそう ちょう きになります はーと むふ♪

何着ているんですかねぇ。
たぶんちょっと大きめの鎖骨丸見え、肩もずり落ちちゃいそうなゆったりなかぶり物のシャツじゃないでしょうか。
家で寛ぐ定番スタイル、そのまま。
由利の前では意識しなくて、それがこの場でも…。
無意識は由利だけではなく、由良にも宿っているのでしょう。
(人のこと言えない、困ったチャンです)
慌てているだけに意識しなかったんでしょうね。
色々想像してください(なんて無責任な作者…)
コメントありがとうございました。
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