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BLの丘
七色の虹 12
2012-09-24-Mon  CATEGORY: 七色の虹
新庄が由良の思いを察してからは、日頃の扱いが少しずつ変わった。
…とはいえ、食堂での出来事であったのだが…。
触れあえるのはそこでしかない…のは言わずと知れたこと。
その時間を新庄は大切にしてくれる。

先に席に着いていた由良と新庄は、向かい合わせに座っていた。
「本荘君、限定品の肉巻きサラダ、買えたよ~」と新庄がさりげなく由利に隣の席を促す。
湯田川が「あ、うらやましーっ」と唸っている隙に、由良は高畠に目配せを送った。
今まで決まっていたかのような着席風景だったが、それが少しずつ変化していく。
とはいえ、一つのテーブルに着いていれば、特別な違和感にはならない。
もちろん周りの人間は、何が変わったかなど気付いてないのだろうが…。
由利に恋人ができた一件は、確実に由良への依存度を下げていた。
更に追い打ちをかけているのが新庄の存在だったのだが。
自然な態度でありながら、新庄は故意的に接する。
新庄にしてみたら、由良に接するのと同じ感覚である為に、ぎこちなさの一つも見当たらなかった。
由利ももう慣れたもので、由良の隣の席を強請ることはしない。
由良の隣に高畠が腰を下ろし、その隣に湯田川が座る。日常はそんなふうに変わった。

一つの皿の料理を分けあうこともある。
これまでそういった時は遠慮がちに待つ由利であり、由良が率先して由利の分を取り分けていた役を新庄がさりげなく奪っていた。
一抹の淋しさはあったが、それが『離れていく』ことに繋がるのだろう。
もちろんその光景は、羽後に見せられたものではないが…。
そして時が経てば、冗談半分で新庄がフォークの先にクルクルと巻いたナポリタンを由利に寄せ、「食べる?」と問いかけて、素直に頷いた由利がパクリと食べてしまったことには、一瞬全員が黙ってしまった。
誰よりも驚いていたのは新庄のようだったが…。
そこまで気を許した存在になったのか…。
ますます周りの人間は、二人の違いを見つけることが困難になるというもの。
「ユーリ、躾け直したほうがいいんじゃねーの?」
呆れかえったようにボソッと高畠が呟いた言葉には、由良も笑ってしまった。
無防備さもここまでくれば困ったものであり、心配を誘うだけだ。

カフェへの買い出しも自然と任されるようになった。
新庄は先輩特権を振りかざしているし、湯田川は自ら動くような性格でもない。
当たり前のように由利は新庄から足止めをくらって、結局は高畠が付き合ってくれる結果となる。
高畠にしてみたら迷惑ではないのかな、と心配する気持ちも湧くが、そういった雰囲気を見せる高畠ではないので、由良としては嬉しさが前面にたち、素直に貴重な時間を楽しんでいた。
「高畠さん、明日の夜、暇?」
「明日?」
「うん…。仕事終わった後…」
週末を前にして、それだけで何を意味するのか、高畠には伝わってしまっている。
最近、双子の接触が極端に減ったことは、そばにいる人間なら誰でも知れていることだった。
また誤解を生むものかもしれないけれど…。
理由として、他の手が考えられない由良でもあった。
卑怯なのは分かっているが…。
「おまえたち、何かあったの?まぁ、悪いことじゃないけれどさ。ユーリは以前より明るくなった雰囲気があるけれど、逆に由良は考え事をする時間が多くなっただろ」
「え…」
「それが分かってユーリにまで気が回らないから、新庄さんが代わりにユーリにちょっかいかけてるのかと思ってたけれど。どっちにしてもユーリ絡みなんだろ。ユーリに気を使いすぎて自己を隠すのは昔からだもんな」
高畠の大きな手がいつものように頭上を撫でた。
知っていてくれている人、という感覚はあったけれど、近くにいなくてもこんなにも分析できてしまうものなのだろうか。
心がほわんと浮いていくようだ。
考えているのは高畠のことだったが、繋がるのはやはり由利のこともある。
片想いが片想いのままで終わってしまった時、同じ職場の人は何と思うのだろうか…。
由利の性格を知るからこそ、好きだった同僚を責め、由良のために泣くのだろう。
新庄は背を押してくれるが、やはりまだ由利に勇気はない。
僅かな、こういった時間を楽しむことに満足を得ようとしている。
「別に考え事なんか…」
「そうやって強がっちゃうところがなぁ…。由良らしいって言っちゃえばそれまでだけれど。ま、そんな由良からの『一人で淋しいの』って言ってくるところに、お付き合いさせていただきましょう」
茶化した高畠は、先程の由良の誘いに応じてくれる。
クスクスと笑って見つめてくれる態度は、いつもと変わらない。
由良の悩みを無理に聞きださないところも、高畠なりの優しさなのだ。
「『淋しい』なんて言ってないじゃんっ。ただ、週末の食材、余っちゃうから…っ」
「お。また手料理?いいねぇ。あつみには内緒にしておいてやろう」
唇を尖らせ、睨み見た高畠は相変わらずの調子良さを醸し出してくれる。
どこまで本気なのか。
でも喜んでくれる表情が分かれば、誘えたことに、また受けてくれたことに、『期待』という言葉が浮かんだ。
「じゃ、由良の手料理の”前金”ってことで、今日はお兄さんがおごってあげよう」
「この一杯っ?!なんか割に合わなくない?」
「どんなゲテモノを出されても完食してやるってことで」
「ひどーっっっっ」
賑やかに進められる会話に、心が躍る。

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コメント

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新庄さん!
コメントちー | URL | 2012-09-24-Mon 04:20 [編集]
あー、新庄さん、もうもう!
なんて、あなたは素敵なんでしょうね?
さりげなく、ユーリを隔離する事に成功して、餌付けまで完成させるなんて。
株価、急上昇です。

奥さま、買いですわよ?チョー優良株ですわよー!
けいったん奥さまなんて、買い込むそうですわよ?
(あんた、すぐに巻き込むの止めなさい)


「セミちゃん、セミちゃん!ちょ、こっちこっち」
「!!!(セミちゃんは止めろっ)何、高畠さん」
「高畠さんて、他人行儀だなぁ。同期だろ」
「で、何?話あんでしょ?(由良がオツカイ行ってるんだよっ!)」
「由良さあ・・・」
「由良なら、隣のカフェに行って・・・」
「あ、俺も行って来ようっと♪じゃな、セミちゃん!」

高畠兄貴は自分の気持ちには疎いの?
それとも、由良の好き好きビームが届かないの?
Re: 新庄さん!
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-24-Mon 07:03 [編集]
ちー様
おはようございます。

> あー、新庄さん、もうもう!
> なんて、あなたは素敵なんでしょうね?
> さりげなく、ユーリを隔離する事に成功して、餌付けまで完成させるなんて。
> 株価、急上昇です。

いろいろ画策するお方ですね。
由良のためにアレコレと手を差し伸べるのです。
由利の中にまで入り込んでいきましたね~。
由利のダーリンは卒倒ものでしょうが(笑)

> 奥さま、買いですわよ?チョー優良株ですわよー!
> けいったん奥さまなんて、買い込むそうですわよ?
> (あんた、すぐに巻き込むの止めなさい)

お買い得(爆)
人気者になりそうな新庄さんです。
いい人なんですよね~。

> 「セミちゃん、セミちゃん!ちょ、こっちこっち」
> 「!!!(セミちゃんは止めろっ)何、高畠さん」
> 「高畠さんて、他人行儀だなぁ。同期だろ」
> 「で、何?話あんでしょ?(由良がオツカイ行ってるんだよっ!)」
> 「由良さあ・・・」
> 「由良なら、隣のカフェに行って・・・」
> 「あ、俺も行って来ようっと♪じゃな、セミちゃん!」
>
> 高畠兄貴は自分の気持ちには疎いの?
> それとも、由良の好き好きビームが届かないの?

鈍チンなのかしらねぇ。
新庄はすぐに気付いちゃったのにねぇ。
同期同士、仲良くやってくれればいいですよ。
名前で呼び合えれば親しみも湧くってものです。
…っていうことは、由良が『高畠さん』から抜けられるのはいつのことなのでしょうか。
コメントありがとうございました。
No title
コメントけいったん | URL | 2012-09-24-Mon 08:53 [編集]
前回は、突発的なお誘い、でも今回のお誘いは…
色々と 考えているんでしょ、由良♪(oゝ艸・)b
強力な助っ人新庄さんが、外堀を埋めてくれてるんだからねぇ~(o ̄∀ ̄)ノ”ぁぃ、お任せを♪
 
ねぇ、ちー奥さん。
気配り上手で頼り甲斐ある新庄さんは”買い”だけど 買うなら私 もっと若い子が…
若い子なら 思いのままに育てられると思いませんこと?
女版光源氏…(〃▽〃)。o ○...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-24-Mon 11:36 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 前回は、突発的なお誘い、でも今回のお誘いは…
> 色々と 考えているんでしょ、由良♪(oゝ艸・)b
> 強力な助っ人新庄さんが、外堀を埋めてくれてるんだからねぇ~(o ̄∀ ̄)ノ”ぁぃ、お任せを♪

新庄、力強いよね~。
計画的犯行(?)に出た由良です。
いや、でもまだまだね…。
由良にしてみたらきっかけの一つだったのでしょう。

> ねぇ、ちー奥さん。
> 気配り上手で頼り甲斐ある新庄さんは”買い”だけど 買うなら私 もっと若い子が…
> 若い子なら 思いのままに育てられると思いませんこと?
> 女版光源氏…(〃▽〃)。o ○...byebye☆

もっと若い子?!
あぁ、ひなみたいにね。
それか嘉穂か…?!(←香春ではないところが…)
是非素敵に育ててください。

刑事A「きえ刑事(←勝手に)~、けいったん(敬称略)、獲物を狙っているっぽいです」
きえ「なにっ?!誘拐かっ?!」
刑事B「ちー(やっぱり敬称略)は"買い"のために資金繰りに走っているようです」
きえ「なにっ?!強盗かっ?!」
刑事C「代表は誰だったか…」
隊長「【~~~(´▽`A)~~~】 イイユダナ~♪...」(まだ温泉に居座っているのか?!部下無視)
コメントありがとうございました。
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