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BLの丘
淋しい夜に泣く声 41
2009-10-03-Sat  CATEGORY: 淋しい夜
英人は絶望の淵に立たされていた。
過去に数えきれないほどの男を相手に暮らしてきた。そのツケが今、回っている。
やっと掴み掛けた未来がすぐそこにあるのに、この瞬間にも過去の自分に堕ちていく。
この男は英人の『過去』を知っていた。「逃さない」と、確実な証拠を持って英人を拘束しようとしている。

英人は目の前が真っ暗になった。
榛名以外の男に抱かれるのは耐えられないし、体を許したと知られれば次は榛名からどんな仕打ちが待っているのかと怯える。
それよりも完全に見放されるかもしれない。手酷く扱われる罰よりも、榛名から捨てられるほうが辛いと感じた。
未来がなくなるとかそんなことよりも、榛名を裏切り傷つけ、呆れられて蔑まされたくはなかった。
いずれ榛名の傍から姿を消そうと思っていたのに、まだ自分は榛名の腕の中にいたいのだと嫌というほど知った。

どうにかこの場をまとめる策がないものだろうかと必死で頭を巡らせたが解決策など浮かびはしなかった。
英人はガクガクと震えながら男にされるままだった。
自分が無謀にも晒した醜態のことを思うと、目の前の男に逆らう気持ちも沸かない。
口から吐き出される湿った息が気持ち悪くて鳥肌がたった。全身を撫でまわす掌に悪寒が走り嫌な汗が背中を伝っていった。
ボトムの上から触れられた股間だって、昔のように欲情して反応することなどなかった。

…どうしよう…どうしよう…

気持ちだけが焦るのに身動き一つ取れない。
榛名に買ってもらったシャツのボタンを、厭らしさを見せた男の手が一つ二つと外した。
白い肌が露わになるのに、英人は声もあげられず、ぎゅっと目を閉じた。これまで生きてきた人生を呪った。
画像が世に出たって、この男に抱かれたって、自分は榛名を裏切ることに変わりはない。
それだったらどちらを選べばいいんだろう。
耳にふぅと息を吐きかけられた時、もう自分など死んでしまえと本気で思った。たとえ抱いてもらえなくったって、こんなに汚らわしい体を榛名の前に晒せるわけがない…。
どこまでも高貴で知性に溢れ富と権力を自在に操る男。
…二度と逢えない…。
未来も希望も、所詮自分にはなかったのだ…。


コンコンと静かにドアをノックされた。部屋に入ってすぐの場所に佇んでいたから、ノックの音ははっきりと聞こえた。
目の前にいた男が何事かと英人から離れた。
小窓から一度確認をしたようだが、細くドアを開ける。チェーンはかかっていなかった。
ドアを支える男の力などものともせず、ドアが大きく開いた。そこには仕事を終えてまだ着替えていない榛名が立っていた。

「おまえは何度言えば分かるんだ?」
榛名は男の顔を全く見ることなく存在していないかのように、英人の姿だけを捕らえた。鋭く厳しい目でだけど静かに英人を見据える。
大きく胸のはだけたシャツに、完全に誤解されていることを知って、突然の訪問客を迎えた男よりも英人の方が慌てた。襟元を両手でぎゅっと合わせる。
「ち、ちが…、違うの」
人の部屋に入っているというだけで充分なほど自分に落ち度があった。加えてこんな姿では言い訳のしようなどあるわけがない。
鋭い視線に怯えるように榛名に一瞬目を向けたが、英人はどうしようもなく足元に視線を落とした。

「へぇ、この人なんだ。見るからに羽振りが良さそうじゃん。いくらでも支払ってくれるって?アンタ、いいの捕まえたな」
脇に立っていた男が榛名の全身を眺めてから英人に向き直った。先程英人が安易に金額の話をしてしまったことを持ち出された。
上から下まで眺めれば一部の隙もない整えられた榛名の姿に誰だってそう思うだろう。だけど脅迫に対する交渉を榛名に知られたくもない。
榛名が、どういうことだ?と疑問を持って初めて男に視線を流した。
悪びれた様子もなく、男は榛名に交渉を持ちかけた。
英人は両手で顔を覆うしかなかった。榛名を巻き込みたくなかったのに自分では解決の一つもできない。
「すっげー、いいの、あるぜ。けど、見せていいのかな。大金払ってくれるってコイツは言ってたけど」
男が携帯電話を取り出すと、榛名の前で操作した。
英人は男が何をしようとしているのかが分かって一気に青ざめた。

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