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BLの丘
七色の虹 4
2012-09-14-Fri  CATEGORY: 七色の虹
由利と企画部の人と、由良たちの食風景はお馴染みのものとなり、時が過ぎれば興味深げに見てくる人間も減った。
時々由利はいなくなったけれど、それすらも誰もが受け入れ、改めて口に出すこともない。
双子の片方がいなくなれば、そこにいるのが由良だと判断もされる。
すっかり馴染んだ環境が由良には心地良くもある。
何より、高畠と共に過ごせる時間が少しでも持てることが、毎日の活力に繋がっているようだった。

帰るエレベーターを降り、ロビーに出ると、偶然にも見慣れた姿が視界に入った。
「高畠さんっ」
由良は思わず一人でいる後ろ姿に声をかける。
その声に振り返られ、ふわりと笑みを浮かべられては由良の気も良くなる。
「おぉ、由良。ユーリならもうとっくに帰ったぞ」
「知ってる。今日、羽後さんが来ていたから」
「あぁ、そうか。なんだ。デートだったんだ」
詳しい連絡なんて取り合っていなかったけれど、月のメンテナンスに表れた羽後を見ては、今後の予定など想像ができるというものだ。
雰囲気だけで悟れることに、最近は羽後も由利も『恥ずかしがる』今後を言葉で伝えてくることはなくなった。
改めて伝えられないことで由良にも見守るような余裕が生まれる…というところだろうか。
二人には二人の生きていく道がある…。

「なんだ、じゃあ、由良は今日は一人なのか」
高畠から気遣われる声が聞こえると、その反応に甘えたくなる。
「そうそう。高畠さん、付き合ってくれるの~っ?」
いたずらに声をかけたのに、本気か冗談か返ってくる声があった。
「しょうがないな~。…と言いたいところだけれど、ごめん。月末で金がないんだよ」
それは、『奢りたい』という年上だからこその気遣い。
誰もそんなことは期待していないと由良は唇を尖らせた。
「声、かけるたびに『奢れ』って言っているんじゃないんだけど」
「そう?由良からの誘いはそうだと思っちゃうなぁ」
クスクスと笑ってくる態度はどこまで本気か。
冗談で返してくれる口調はやっぱり馴染む。
「じゃあ、俺んち、来る?簡単なものだったら夕飯、作るし」
「由良の?…毒とか盛られないだろうな…」
「もぅ…っ。どんな料理だよ~っ」
気軽に腕も叩くことができる。
その雰囲気ですら楽しい。
由良があげる態度、何一つ嫌がれないことに、由良の気持ちは益々浮き上がっていくのを感じた。

どんな理由であれ、自宅に来てくれるとは予想外な出来事でもあった。
ふざけた口調で会話が進められても、こんな風に触れあえることは心に悦びを運んでくる。
…家で何が作れたかな…。
冷蔵庫の中身を思い浮かべながら、高畠の気が変わらないうちに、とその腕を引っ張った。
「いつも、おごってもらってばっかりだし…」
「本気で?」
訝る高畠に素直に頷く。
「嫌?」
小首を傾げた由良には核心的な狙いが込められている。
見目の良さは狙われた数だけに、由良の方が知るのだろうか。
そこに釣られてくれればいいのだろうが…。

「嫌って言えるわけないだろう。由良に誘われて断る奴がどこにいるんだよ」
いつものように頭上に手のひらが乗せられた。
たったそれだけのことが嬉しい。
どこまで真実かは分からないけれど、近付ける状況にただ浸った。
「作れるの…、チャーハンとかしかないよ」
一応、前もって伝えれば「充分」と微笑んでくれる。
それから「俺、ラッキー」と悦びを表してくれた。
その反応だけで心が躍ってしまうのだ。
由利がいない日の夜。こんな偶然が訪れてくれるのなら、淋しさも当然薄れた。

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コメント

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好き好き
コメントちー | URL | 2012-09-14-Fri 05:27 [編集]
由良、スゴく好き~。
小悪魔ちゃんみたいに誘うけど、中身はきっと良いこちゃんなんだろうなあ。

由利の面倒を見なくて良くなったから、由良も本来は持ってる甘えたいって気持ちが出てきたのかな?
まあ、一番上って素直に甘えられなくなるもんですけどね。高畠さんは、さりげなく甘えさせてくれそうだし。
今後の展開に期待してます!

ところで、もう逃げなくて平気?
ナニゲニ (/・。\) チラッ
コメントけいったん | URL | 2012-09-14-Fri 08:48 [編集]
甘えちゃうし、誘うし、と、結構積極的な行動を取るんだね、由良って!
それだけ 高畠を好きなんだね(*^-')b

で、肝心の高畠は 由良を 如何思っているのでしょうね。
優しいのは優しいけど…(´・ω・`)モキュ?


ちーさん、もう逃げてなくて平気でしょ! 
今こそ 鬼の…いえ、きえ様が居ぬ間の~で
ここで まったりとお茶でもしながら 由良と高畠の今後の展開を話そうよ♪
+。:.(*・ω・)o旦 旦o(・ω・*).:。+゚ しみじみ茶...byebye☆
今後の展開♪
コメントちー | URL | 2012-09-15-Sat 05:22 [編集]
けいったんさん、おはよー。

鬼刑事・・・いやいや、きえさんいないからお話するですよ、うふ。

私、三角になるんじゃないかと思ってたんですよね。
由良の先輩と高畠さんで。
由良、二人の間で悩む~。みたいの。
でも、実は高畠さんは由良が弟みたいに可愛がってただけって言うのも、由良が片想いに悩む姿がヨチヨチしたくなりません?

そうそう、某所でまたまた素敵な詩を拝見しましたよ。
本当にため息出ちゃう位でしたよ。
ちーさん、( ・ω・)ノオハ♪
コメントけいったん | URL | 2012-09-15-Sat 09:43 [編集]
由良を取り巻く今後の展開を予想(妄想?)する ちーさんの鋭い読みに ”パチッ☆-(^ー'=)bナルホドニャ♪”と!

新庄先輩ですね!
彼は、由良にとって 身近過ぎて 恋愛対象として見てない様だけど...
高畠も新庄も 皆が優しい
優しい人には 自然に心は擦り寄ってしまいますもんね~


ちーさん、お褒めに預かり有り難う御座います(o*。_。)oペコリ
何故か 主役よりサブキャラが気になって 惹かれちゃうの私。(*⌒∇⌒*)テヘ♪

温泉旅行でリフレッシュした作者(刑事)きえ様が、由良を如何するか楽しみですよね♪
【~~~(´▽`A)~~~】 イイユダナ~♪...byebye☆
No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-16-Sun 10:11 [編集]
けいったん様 ちー様
こんにちは~♪
まとめレス、お許しくださいm(__)m

不在の間中、コメント欄を賑わせていただいてとても感謝してますよ~。
きっと他の読者様もそちらを読みに来られていたのではないでしょうか。
私が書く話より楽しいんだもん♪
まったりとここを社交場として活用してくれたようで嬉しいです。

由良の本性(?!)がそろそろ出てくるでしょうか。

今後の展開…。
…だから、その想像力逞しい頭脳を私のカラッポ頭と交換していただきたいです。

温泉旅行、リフレッシュしたんだか、ストレス溜めてきたんだか…(毎度のことですが)
詳細はあちらに後で飾っておきます。
コメントありがとうございました。
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