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BLの丘
七色の虹 2
2012-09-12-Wed  CATEGORY: 七色の虹
由良は高畠を見送ってから再び由利の部屋に戻った。
外で酔いつぶれてくるなんて珍しすぎる光景だった。
「何があったんだか…」
理性を失うことのない由利の性格も判れば、ハメを外した原因も知りたいところだ。
心配にはなるけれど…。その反面で少しだけ感謝した。

…会うことができた…。

社内でも部署が違えば滅多に顔を合わせる存在ではない。
特に兄弟とはいっても由利と由良は距離を置いているために、由利が親しくする社員とも自然と接触がない。
その間があるのに、高畠には由利だけでなく由良も気遣ってくれる面を見せる。
入社した時から感じられる優しさが、由良には深く染み込んでくるのかもしれない。
「困ったサンだね…」
ベッドの端に腰かけて、絶対に届いていない言葉を由利に投げかけながら、たった数分の触れあいに悦びを表して、由良は眠っている由利にくちづけを落とす。
それこそ、感謝の表れだったのか…。

******

社屋のすぐ隣にあるコーヒー店で売られているカフェラテが由良のお気に入りだった。
昼食を済ませた後に一人で買いに行くことも多々ある。
食事はもっぱら食堂で取っていたし、そこでも飲み物はあり、また休憩室でも自販機は存在するが、由良は移動距離を考えてもこちらの店を利用することが多かった。
まだ入社して間もないころ、緊張の一つもあって、由良にとっては息抜きの一つだったのだと思う。

注文の順番待ちの列に並んでいると、いきなり背後から、「あれ、由良じゃん」と太い声が届いた。
後ろ姿だけで由良と由利を見分けられる人物がどれほどいるのかと、咄嗟に由良は振り返った。
見たことのある顔だ…と脳が反応すれば、同じ社の人間なのだと分かる。
しかも由利が親しくしていると知るから、判断は早かったが、すぐに名前が出てこなかった。
体格の良い男は親しげにスッと由良の隣に並んでしまった。
それから耳元に唇を寄せては小声で囁かれる。
「あ…」
「おごってやるから、ココ入れて」
割り込み、と周りに知られたくないせいだろう。
「…ん…、と…」
どう言葉にしようかと悩んだ時、雰囲気を感じた男が改めて自己紹介をしてくれる。
「ユーリんとこの高畠。ユーリに前から話題に出されて、あつみ(湯田川)にけしかけられて買いに来たんだけど、意外と混んでるのな…」
ここに由良がいてくれて良かった、と喜ばれてはそれ以上何も言えなくなる。
ただ一つだけの疑問があった。
「あの…、よく俺とユーリの違いが判りましたね」
サクサクとした性格の高畠はよどみなく会話を進めてくる。
滅多に出会う人間ではないといった雰囲気は全くない。それは由利と同等に扱われている証拠なのか…。
「正直、事務所にユーリとあつみを残してきたからね。ここにいるのは由良だって思うじゃん。ちょっとズル?」
首を傾げながらも微笑んでくる姿には、双子が混同されることの抵抗のようなものを知っているのだろう。
そんな裏話があったとしても、全く違う人間として見てくれる雰囲気だけは感じられた。
個人として見てくれること…。
「うん、ズル…」
一応、先輩なのだが、そんな口調も受け入れてくれる。
「コイツ…」
クスクスと笑われて、高畠が示す態度はコツンと軽く拳を由良の額に当ててくる。
上下関係を持たせない、また自然な態度に由良は好感を覚えた。
由利から聞いていた話だけでもその人の良さは理解できているが、実際に感じればまた印象も変わってくる。

高畠は順番が来ると、由良のお気に入りのカフェラテを4つ購入した。
「あ、俺の分は…」
財布を取り出す由良の手を、手のひらをかざされて止められる。
「いいから。順番譲ってくれたお礼。ユーリが『由良が好きなんだ』って教えてくれたの。近くでもなかなか外には出ないからな…」
社内に籠ってしまう人間を知るのだろう。
どんな事情があって高畠が買いに出たのかは知らないが、この情景を見れば確実に『買い出し』の足に使われたことは確かだろう。
それでも戸惑う由良に「ま、お近づきのしるしってことで」と茶化して、一緒に戻りながら社屋のロビーで別れた。
高畠と一緒にいたことで由利に間違われていたことは確かに伝わってくる。
どこまで高畠が違いを理解しているかは疑問だが、サッと由良の名前を呼んでくれたことが、この時の由良は嬉しかったのだ。
そのことはずっと由良の心の中に住みついている。


******

あの時に飲んだカフェラテは、とても甘かったな…と、眠りにつきながら由良は振り返っていた。
ズルなのか、カンなのか、あれ以降、高畠と顔を合わせても、他の社員のように間違われることはなかった。
ただ、近付けなかっただけ…。

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短くてすみませんが…。
それと予約できたらしますが、何もなかったらしばらく待ってください。
ちょっと出かけてきます。

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コメント

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ふふっ
コメントちー | URL | 2012-09-12-Wed 06:59 [編集]
何だ、由良の片想いから来てるのかあ。
意外だわあ。でも、そのツンデレが可愛い。
そして、高畠さんがネコタンなら面白いのに。
(違うのは知ってますよ)

あ、長くいると捕まっちゃうから逃げなくちゃ。
主犯は、ちーじゃないよー。
多分・・・
No title
コメントけいったん | URL | 2012-09-12-Wed 09:06 [編集]
由良は 片思い中~なんだ♪
すぐ 表情に表れる由利と違って ツンデレだからなぁ 
相手に気付いて貰えないかも…

とにかく!
ツンツンしてる由良も デレデレしてる由良も
寛容に しっかり受け止めてくれる人じゃないと、ダメだからね~
そこのとこ 宜しく~高畠!(*≧3≦)σ you


「あっ ちー容疑者が逃亡~~!」by刑事A
「って、きえ刑事は?」by刑事B
「…温泉旅行だそうです」by刑事C
「「えっと…」」by刑事AB

「勘弁してくれ~~(泣)」byけいったん容疑者
||Φ|(メ|▼|皿|▼|)|Φ|| ダセヤ!コラッ!!...byebye☆
Re: ふふっ
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-12-Wed 09:29 [編集]
ちー様
こんにちは。

> 何だ、由良の片想いから来てるのかあ。
> 意外だわあ。でも、そのツンデレが可愛い。
> そして、高畠さんがネコタンなら面白いのに。
> (違うのは知ってますよ)

高畠はネコたんにはなりません(笑)
出会いはこんなところから始まりますね。
今回はキッカケを書いてみました。
今後どう進むでしょうかね~。

> あ、長くいると捕まっちゃうから逃げなくちゃ。
> 主犯は、ちーじゃないよー。
> 多分・・・

ドコイクンダ( ̄ー ̄メ)~~~~~\(;ノT-T)ノ
同罪だ、同罪。
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-12-Wed 09:41 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 由良は 片思い中~なんだ♪
> すぐ 表情に表れる由利と違って ツンデレだからなぁ 
> 相手に気付いて貰えないかも…
>
> とにかく!
> ツンツンしてる由良も デレデレしてる由良も
> 寛容に しっかり受け止めてくれる人じゃないと、ダメだからね~
> そこのとこ 宜しく~高畠!(*≧3≦)σ you

ツンツンしている由良も可愛いかもね。
そこのとこも高畠は理解できるでしょうか。
どんなふうに受け止めてくれる高畠かしらねぇ。

> 「あっ ちー容疑者が逃亡~~!」by刑事A
> 「って、きえ刑事は?」by刑事B
> 「…温泉旅行だそうです」by刑事C
> 「「えっと…」」by刑事AB
>
> 「勘弁してくれ~~(泣)」byけいったん容疑者
> ||Φ|(メ|▼|皿|▼|)|Φ|| ダセヤ!コラッ!!...byebye☆

牢屋に一人閉じ込められるけいったん様も可哀想なので、ちー容疑者も捕まえてきましたヽ(゚∀゚)ノ
二人で仲良く過ごしててください。
ハイ、きえは温泉に行ってきますので~♪
コメントありがとうございました。
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