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BLの丘
七色の虹 1
2012-09-11-Tue  CATEGORY: 七色の虹
本荘由良(ほんじょう ゆら)は会社の事務所で携帯に届いたメールを読んだ。
送り主は双子の弟の由利(ゆり)からで、今夜は会社の同僚と飲みに行く、というものだった。
同じ会社に勤めていたが、双子が揃うと何かと話題性が高いおかげで、社内ではあまり関わることはない。
もっとも部署が違うのだから、そう簡単に出会うこともなかったのだが…。
故意的に避けていた部分もある。
…今夜の夕飯は一人か…と少しばかりの淋しさを含ませた。
そんな光景を見ていた一つ年上の新庄瀬見(しんじょう せみ)が気付いて話しかけてくる。
背は高いしがっしりとした体つきは頼りがいを生みだしてくれるけれど…。
そして慕っているのも確かだったが、あくまでも仕事から繋がる付き合いに限られていた。
色々と面倒を見てくれることはありがたくもある。
「由良、どうしたの?なんか落ち込んでいるみたい」
文具メーカーに勤めて、由良が所属するのは在庫管理室であり、いつも膨大な数字に追われていた。
パソコンの画面を見ての溜め息ではないことを新庄は読み取ってしまった。

「あー、いや…。ユーリが飲みに行ってくるってメール寄越して…」
人に対しての気遣いが深い新庄には由良も懐いていた。
何かあるごとに相談に乗ってくれるし、由良の生活、感情状況も理解してくれている。
溜め息の先にあったものがこの一夜にある淋しさなのだとは、簡単に分かるのだろう。
宥めるように、「じゃあ、俺たちも出掛ける?」と声をかけられた。
それでもいいが…と由良は一瞬考えた。
遅くならなければ何の問題もないだろう。
その辺りも新庄はわきまえているし、嫌がることはしてこない。
「う…ん…。一時間くらい…二時間くらいなら…」
「本荘君が帰ってくる時間までには…ってことか…」
「だって暗い家に帰ってくると不安がるから…」
由利の性格は知り過ぎるほど知っていた。
いつも一緒にいただけに、ちょっとしたことで恐怖心を表す。
甘やかしてきたのは由良自身の責任なのかもしれないが。
同じ顔が脅える姿は、できるだけ見たくない。
由良の意見に苦笑を浮かべながらも、由良がアルコールを飲まないことを悟ってくれる。
社内で本荘兄弟が近付くことはなくても、一歩出れば誰よりも親しい存在に変わる。
時々、帰り道を一緒にする光景を晒すが、その時に詳しい連絡などなく、周りの人に「どんなテレパシーだ?」と驚かれていた。

新庄とお好み焼きと焼きそばを楽しんで、希望通りの帰宅時間になった。
強制はされなかったけれど、目の前で仕事上がりのビールジョッキを喉越し良く煽られては、少しばかり不貞腐れていたのか、由良もグラスを傾けた。
そんな姿に新庄は何も口出しすることなく、見守ってくれている。
由良が帰宅しても、案の定、由利はまだ帰ってきていなくて、リビングの照明を煌々と付けて待っていた。
それなのに…。

普段から深酒をすることのない由利で安心していたところもあったのに、由良が連絡をもらったのは由利の同僚の高畠萩生(たかはた はぎお)だった。
由利との会話の中で数多く登場する人物名だったし、由良自身、何度も顔を合わせている。
由利が気を許せば由良も…というところもあって、新庄同様、面倒見の良さに安心していた。
『由良、住所、教えて。ユーリ、送っていくから…』
電話越しの声にどうしたのかと訝る。
「え?ユーリ、どうしたの?」
心配する声に、呆れたような、困ったような返事が届いた。
『酔いつぶれた…。もう、今、爆睡中』
そんなことは普段ありえることではなくて、由良は瞠目してしまう。
理性を保とうとする性格も由良は知っていたから、酔い潰れたという事実が理解できなかった。
とにかく帰してもらわなければならないのは確かで…。
すぐに住所を伝えれば、三十分も立たずにマンション前にタクシーが着いてくれた。
到着時間を聞いては、マンションのエントランスで待つ由良に、高畠が労いの言葉をかけてくれた。
それこそ、こちらが言うべきものなのだろうが…。

「迷惑でなければ部屋まで運んでやるけれど…」
タクシーの中で完全に撃沈している由利は揺さぶろうが叩こうが目を覚まそうとしない。
そんな由利をここで放置されても由良が運べるはずがなかった。
「迷惑どころか…。お願いしたいよ…」
情けない声を出した由良に、微笑んでくれた男はタクシーを待たせて、由利を横抱きにして由良の後をついてきてくれた。
勝手に入る由利の部屋ではあるけれど、今更文句なんて言われたくない。
ベッドに横たえてくれて、肌掛けをかけて、由利の部屋を出た。
すぐに玄関口に戻る高畠は、タクシーを待たせていることもあるのだろう。
「高畠さん、ありがとう…」
由良が玄関で謝礼を述べれば、やっぱりクスリと笑ってくれた。
手を伸ばしてくしゃっと由良の髪を撫でる。
「いいよ。由良もユーリを待っていたんだろう。早目に寝ろよ」
温かな手が状況を的確に指摘してくる。
それは普段由利に対して取っている態度と変わらないだろう。
でも由良には思い出深いものがあった。
まだ入社したばかりの頃、高畠は後ろ姿だけで由良に「由良?」と声をかけてきたことがあった。
単なる偶然だったのだが。
何かと注目を集めた双子の入社に、完全に戸惑いを覚えていた時、由良には間違われないそれが嬉しい出来事だったのだ。

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言わずと知れたスピンオフです。
書く気はなかったのに書けと脅されて(←)みこっちゃん書きながら考え込んでいました。
でも今週から来週明けにかけてちょっと忙しいので余韻残して止まります。
気長に待っていてくださいね~。

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トラックバック0 コメント4
コメント

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わーい
コメントちー | URL | 2012-09-11-Tue 04:26 [編集]
これがスピンオフと言うものですね?←まだ、言うか

由良、どっちと付き合うんだろう?
どっちの人も良さそうなんだけど。
(それとも、第三者が来るか?いや、来ないですね)

由良お兄ちゃんの気持ちがわかると、またユーリのお話も楽しめそうですね。
きっと、どこかの兄貴とは違う・・・まあ、良いや。

きえさん、ありがとうございます。
脅迫されても書いてくださって。
けいったんさんも脅迫した甲斐がありますよね。
丸投げかっ。
Re: わーい
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-11-Tue 07:47 [編集]
ちー様
おはようございます。

> これがスピンオフと言うものですね?←まだ、言うか

はい、すぴんおふ…。

> 由良、どっちと付き合うんだろう?
> どっちの人も良さそうなんだけど。
> (それとも、第三者が来るか?いや、来ないですね)

いい人だと思いますよ~。
どっちも面倒見が良いので、心揺れるところでしょうかね。
え? 第三者…? (頭が薄くなりかけている赤倉サンとか?! ←)

> 由良お兄ちゃんの気持ちがわかると、またユーリのお話も楽しめそうですね。
> きっと、どこかの兄貴とは違う・・・まあ、良いや。

視点が変わると何を考えていたか…っていうのも見えてきますからね。
暇があったら読み返してみてください。
(つか…どこまで兄弟物語を書いているのか…)

> きえさん、ありがとうございます。
> 脅迫されても書いてくださって。
> けいったんさんも脅迫した甲斐がありますよね。
> 丸投げかっ。

皆さんの脳内を覗き見たいですね。
色々とご意見いただいて私の頭も刺激を受けております。
自分で考えない…私こそ丸投げですね~。
コメントありがとうございました。
No title
コメントけいったん | URL | 2012-09-11-Tue 09:29 [編集]
何もかも委ね甘える由利より(←可愛いけどね♪) 
「しっかりしなきゃ!(`・ω・´)シャキーン」と、
精一杯 兄の役割を務めようと頑張っている由良の方が好みです。(* ̄ω ̄*) ポッ

その 力が入り過ぎて強張った肩を モミモミ~して 
その 気を張り詰め過ぎた心を ナデナデ~してあげたいわ♪(*゚∀゚)=3ハァハァ
って、私は エロオヤジか!(笑) 


-ある取調室にて-
『オマエが、主犯なんだな!』byきえ刑事
「ダンナ~勘弁して下さいよ~」by容疑者けいったん
『もう一人の容疑者ちー(敬称省略)が、言ってたぞ!』
「えぇーー!アイツが主犯で オレは片棒を担いだだけですぜぇーー!」
『あれ…そうなのか? まぁ 調べれば 直ぐに分かる事だがな』
「ダンナ~しっかり調べて下さいよ~~」
…取り調べは続く…

きえ様、旅行に行かれるんだね~♪
紅葉を見ながらの温泉ですか?
あっでも まだ紅葉には 早いかな?
-----(*//∇//)( ̄ω ̄*)------、混浴♪...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-09-11-Tue 12:20 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 何もかも委ね甘える由利より(←可愛いけどね♪) 
> 「しっかりしなきゃ!(`・ω・´)シャキーン」と、
> 精一杯 兄の役割を務めようと頑張っている由良の方が好みです。(* ̄ω ̄*) ポッ

そうか~。気の強そうなところが好きなのね~。
そんなところも恋愛に表れることでしょう。
ハイ、ツンデルちゃんですから。

> その 力が入り過ぎて強張った肩を モミモミ~して 
> その 気を張り詰め過ぎた心を ナデナデ~してあげたいわ♪(*゚∀゚)=3ハァハァ
> って、私は エロオヤジか!(笑) 

エロオヤジ(爆)
色々理由つけて、めいっぱい触ってね。
触りたいのか~(←)

> -ある取調室にて-
> 『オマエが、主犯なんだな!』byきえ刑事
> 「ダンナ~勘弁して下さいよ~」by容疑者けいったん
> 『もう一人の容疑者ちー(敬称省略)が、言ってたぞ!』
> 「えぇーー!アイツが主犯で オレは片棒を担いだだけですぜぇーー!」
> 『あれ…そうなのか? まぁ 調べれば 直ぐに分かる事だがな』
> 「ダンナ~しっかり調べて下さいよ~~」
> …取り調べは続く…

―取調室―
『調べてきたぞ~。共犯じゃないか~ヽ(`Д´)ノ』byきえ
「あれ(@_@;)???」

> きえ様、旅行に行かれるんだね~♪
> 紅葉を見ながらの温泉ですか?
> あっでも まだ紅葉には 早いかな?
> -----(*//∇//)( ̄ω ̄*)------、混浴♪...byebye☆

はーい。紅葉には早いんですけれど出かけられるのでひとっ走り行ってきます。
白い温泉に入ってきま~す♪
(運動不足の体は観光より温泉三昧?!)
そう。混浴に(/ー\*)
コメントありがとうございました。
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