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BLの丘
原色の誘惑 12
2012-08-23-Thu  CATEGORY: 原色の誘惑
僅かだけ、戸惑った空気が流れた。
それはもちろん、最初に出会った時の行為が被さってのことなのだろう。
逃げ出されてもおかしくない状況なのに由利はここに座っている。そのことは雄和を安堵させるものにもなるのかもしれない。
「コーヒー、飲む?」
食後の飲み物を促されて、うん…と頷きながら、「あ、紅茶…」と慌てた。
苦い飲み物は好きではなかった。
ここに由良がいたなら、好みを知っている由良は決して間違わないオーダーをしてくれるから、自分で注文する手間などなかった。
違いを比べたら悪いだけなのだけれど…。
生まれた時から一緒と、ついこの前出会った人間の幅はあり過ぎる。
それなのに、由良と同じような…それ以上の居心地の良さを感じる…というか、求めてしまうのは何故だろう。
また、その特別感を、責められることもなくて、余計に安堵してしまう。
「由利は紅茶の方が好きなんだ」
発言の意味を理解しては確認するように覗きこまれた。
肘をついて手の甲に顎を乗せた姿は、やっぱり抱いていた軽薄なものがない。
「うん…」
どこに焦点を当てていいのかと戸惑っては、伏せた視線の中に雄和の手が流れ込んでくる。

「ごめんな…」
一瞬何に対しての謝罪なのか分からなかった。
長くなった髪をかき上げるように指先が潜り込む。
はっきりと見えた雄和の視線は、切なそうに、だけど嬉しそうに眦を下げていた。
「電話なんかじゃなくて、ちゃんと謝りたかったんだ。今日、本荘さんに無理言ったのは俺…。『ふたりにしてやるけれど、ユーリ泣かせたらぶっ殺す』って脅されてきた」
クスクスと笑う雄和だった。
最初から仕組まれたこと。
なんとなくそんな感じはしていたのかもしれないけれど、ここでも完全に由良に甘えた形の由利だった。
由良の甘えてくる仕草が嬉しかったのもあったけれど…。
最終的には自分たちの関係と、この先に生む必要性を見せつけたのだろう。
仲の良過ぎるふたり…とは散々に言われたことだけに、いつも通りの姿を見せてしまったことを、少しだけ申し訳なく思う。
高畠たちが言ったように、行きすぎた何かがあるかもしれないとは…、重ねた肌を雄和に置き換えた時に、居た堪れなさをはっきりと感じたから…。
由良とは”普通”でも他人とは”特別”になる。

「あ…、あの時のことは…」
どれだけ憎たらしかったか…。
その本人を前にしているのに文句の一つも出てこないのが不思議でもある。
「でも、俺のことを思って酔い潰れてくれたって聞けたのは、ちょっと嬉しかったかな…。そこにいられなかったのが残念だったけれど」
もう一度親指の腹が唇の上を撫でて、その指先を雄和の唇が吸った。
間接キスをするような卑猥さが見て取れて、ゾクッと背筋が張る。
しっとりとした声は、ふたりだけの空間で聞こえる程度のもので…。
耳に唇を近付けられるたびに吐息の熱さがみぞおちへと下った。
軽薄な印象があるのに、秘められた部分には真剣なものが漂う。
それが分かるから、由利もきちんとした目線で向き合おうと思える。
「あんなんじゃなくて、ちゃんと言うよ。最初見た時から、由利に囚われていたんだ。再会できたことは、本当に奇跡とも言えるかもしれないけれど、だからこそこの出会いを無駄にしたくない。本荘さんに縋っていく姿も可愛いけれど…。本音言ったら、俺だけにしてほしいかな。絶対に可愛がってやれる自信、あるよ」
…同じにはなれない…。なれないけれど…。
人前でのチューも本当はイケナイことなのだとなんとなく分かりつつ、由良の胸に甘えていた。
たぶんどこかで由利も悟る部分があったのではないかと胸の内を過るものを感じた。

由良を、解放しなければいけないのだ…。

由利の胸を問わずに、己の気持ちをぶつけてくることで、”一方的”という手段に出てくれた雄和は、短時間のうちに由利と由良の関係性まで読み解いていたのだろう。
さらに由良から受けた指令のようなもの…。
見放されるわけではない。ただ、見守ってくれる人が…、一番近くの人が変わる…というだけのこと…。

改めてその真実を知って、由利は混み上がってくる涙が押さえられなくなっていた。
一つ踏み切れなかった由利の背を、この形で完全に由良は押したのだった。
手を伸ばしてきた雄和の指先が、はらはらと落ちていく由利の涙を掬った。
「由利。もう嫌だって思われるようなことはしないから…。俺を見て…。俺だけを見て…」
兄と切り離されるわけではない。だけどそこに込められた意味は…。

気になった存在に、雄和が正直に思いをぶつけてきたように、由利も素直に表せばいいと…。
「ゆら…っ」
淋しさの中で思わず呟いてしまった声を、優しく抱きしめてくれた腕があった。
兄弟の二人とも、全てを受け止めるから…と…。

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でも3Pはないよ~(黙れオラァ(p゚ロ゚)==p)`д)グハッ)
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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-08-23-Thu 09:34 [編集]
由利を心から委ねて貰えるのは、少しずつ時間をかけないとね。

雄和、中々 根気の要る事だけど それだけ由利にとって由良は大きくて大切な存在なんですから!

それに まだ由利は、由良ほど覚悟を決めてない気がするしね~
(`・ω・´)ノ ァィ、オトコ デスカラ!...byebye☆
まあまあ
コメントちー | URL | 2012-08-23-Thu 10:20 [編集]
ユーリちゃん?焦っても仕方ないわよ。
お兄ちゃんはお兄ちゃんなんだし。
いくら、双子でも人生は重ならないのよ。
お互い違う人と思い思われていかなきゃ。

由良もさっさとカムアウトしちゃえば、甘ったれユーリも諦めがつくんじゃないの?
雄和、こうなったら押し切れ!
(少し前と意見の違う人)

うちのパソコンももうダメみたいっす。
スマホに浮気してたからか?

マックとWindows。どっちにしよ?

隊長~。ちーのパソコン買って?
きえ様、横レスごめんなさい(o*。_。)oペコリ
コメントけいったん | URL | 2012-08-23-Thu 17:51 [編集]
ちーさんのPCも そろそろ寿命なの?

私のPCは、使用中8年の間 修理に出したのが4~5回
その内 無料が2回位かな?
今になって考えれば (PCは高い)修理代で とっくに新PCを買えたのにね!(笑)

以前 バックアップが面倒で先送りにしてたら 急にPCがダウンして ドエライ事になった経験ありです。
お早目のバックアップを忘れずに!

まだ 使い慣れてなくて 時々ミスるけど 新PCは、サクサク動くから気持ちいいよ~♪
家計が全焼の覚悟がおありなら お買いなされ~~
((苦笑い…))○o。(;゚∇゚)ノ_彡☆ハハハッ...byebye☆ 



Re: きえ様、横レスごめんなさい(o*。_。)oペコリ
コメントたつみきえ | URL | 2012-08-23-Thu 18:11 [編集]
けいったん様、ちー様
まとめレス、本当にごめんなさい。
横レスでもなんでも書きこみOKです。好きにいじってね♪

> ちーさんのPCも そろそろ寿命なの?
>
> 私のPCは、使用中8年の間 修理に出したのが4~5回
> その内 無料が2回位かな?
> 今になって考えれば (PCは高い)修理代で とっくに新PCを買えたのにね!(笑)

私の以前のパソコンは雷でやられましたよ~。
注文して、いざ商品が届いたら、回線、そのものがやられていた…と気付いたものです。
しかも設置人を呼んで、そこで気付かれ、「大元がぶっ壊れている」と言われてネットは先送り~~~という。
さっさと買い替えたはいいが、付属品まで気がまわりませんでした~(←おバカ)

> 以前 バックアップが面倒で先送りにしてたら 急にPCがダウンして ドエライ事になった経験ありです。
> お早目のバックアップを忘れずに!
>
> まだ 使い慣れてなくて 時々ミスるけど 新PCは、サクサク動くから気持ちいいよ~♪
> 家計が全焼の覚悟がおありなら お買いなされ~~
> ((苦笑い…))○o。(;゚∇゚)ノ_彡☆ハハハッ...byebye☆ 

バックアップは絶対に大事ですね~。
私、死んだら大変なくらいあちこちにアヤシイ小説が隠れています。
死んだときには中身を確かめずに丸ごと一緒に焼いてくれって感じです。
(USB2本とHDとかいうのにフォルダがありますよ)
そしてスマフォデビューしたよ~♪
明日取りに行くの。
新しいPCよりスマホかも~♪(/ー\*)(詳しいことは別宅)

でね、ユーリね。
今までいっぱい色々とあったけれど、ユーリより格段に的確に判断してくれる周りの人がいましたね。
ユーリをひとつも責めることなく、"あたりまえ"のこととして促してくれます。
だからこそ、ユーリも、これでいいんだ…って思うことができることでしょう。

「夏休み版」はまぁ、いたずら書きだったったということで、スルーしてください。

コメントありがとうございました。
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