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BLの丘
原色の誘惑 6
2012-08-18-Sat  CATEGORY: 原色の誘惑
その後、由良がどうあの男に話をつけたのかは、由利が知ることはなかった。
食堂で湯田川が「デザートも食べる?」なんて、人の意見も聞かずに三人分のティラミスを購入していた。
いつもであれば食べ終わればさっさと立ち去ってしまう食堂のはずなのに、そんなおかげで長居をすることになる。
想像力の逞しい企画室の人間は、簡単に、先日の酔い潰れた由利と先程の男の繋がりを理解していた。
さらに繋がってくる、兄弟の在り方。
常に共にいた人間の心情を把握できるから、由利は本音が晒せないのだろうということも。
素直に”惹かれた”という感情すら隠そうとする。
それは”兄”のためなのか、傷つきたくない自分のためなのか…。
軽い男なのだな…とは、出会っただけで悟れた先輩たちだった。
たぶん、由良にまで声をかけていたと分かった時点で…。

「ユーリ、味わって食えよぉ」
「おまえが食いたかっただけだろ」
「人におごらせておいて、良く言うわっ」
人を和ませる会話が温かい。
クスクスと由利は笑みを浮かべたが、心の底は再会してしまった人間に引き寄せられていた。
人を平気で傷付けるような、嫌な人だったはずなのに…。
まるで初めて出会ったような印象の違いがあった。
その顔や態度を見ては、弾んでしまった心がある。
否定も言い訳もできない、湧き上がるものがなんなのか、溺れていくような恐怖が立ちはだかってあの場所から逃げ出した。
由良と一緒に向かう時は、与えられた屈辱を返してやろうという意気込みまであったはずなのに。
なにもかもが弾け飛んだ…とはこのことを言うのだろうか…。
顔を見た瞬間から、あの人は”別人”だったのだ。

双子が揃った…という噂から、社内はどこか騒然としていた。
空気がいつもと全く違う。向けられる視線の数も違う…と、肌で感じるのが由利だった。
気にさせないようにと高畠と湯田川がフォローに回ってくれていたけれど、収まることのない雰囲気は一種の興奮を纏っていた。
そこに由良が現れてしまったものだから、もう抑えられるものは何もない。

剣呑な雰囲気を漂わせながら、由利の隣にドカッと座りこむ。
自分の隠した感情を悟られているのは知れることだった。
「ユーリ、あの男に何感じてんの?ねぇ、自分が何されたか、わかってる?」
こんな場所で話題にされたいことではないが、由良の怒りも収まらないのだろう。
やっぱり感情など気付かれてしまっていたことに対して、隠し事もできない不甲斐なさも由利を落ち込ませた。
もちろん”護りたい”と大事にされる気持ちも伝わってくる。
「べつに…」
ドギマギと視線を伏せてしまった由利を庇うように、目の前に座った高畠が由良を宥めた。
「まぁまぁ。由良、メシ、まだなんじゃないの?何がいい?買ってきてやるよ」
「食う気なくした…。はぁぁ……、会わせたらもっと嫌うと思ったのに、なんだよ、この結果…」
やはり物事を見極めているのは由良のほうなのだろうか。
盛大な溜め息のあとに呟かれた独り言は、誰に向けられて意味を理解しろというものなのか…。
由良は由利が握っていたフォークを取り上げると、食べかけていたティラミスを頬張る。
今更反対する人間もいない。
どこか諦めの境地を迎えた由良を高畠と湯田川は認めてしまう。
反感はあっても最終的に選ぶのは、『由利の幸せ』という言葉なのだろうか。

由良は一枚の名刺を出した。
「絶対に渡せって脅されてきたから。最初こそ間違えても、あの一瞬で俺とユーリの違い、ちゃんと把握できてるんだよ。びっくりした。そのことで叩きのめしてやろうと思ってたのに…」
由良の策略にははまらなかったことに感心している点も、ここに繋がることになるのだろう。
違いを見極められない人間に惹かれることなどない。その考えは由良も同じだったようだ。
『羽後雄和(うご ゆうわ)』
渡された名刺の名前を繰り返し読む。
ナンパ男だ、痴漢男だと散々に言われ、だけど改めて本人を前にした時、またその思いがどんなふうに由良の目にかなったのか…。
「ゆら…」
「門限10時。守れなかったら一カ月、全室の部屋の掃除と食事当番」
由利の隠した気持ちをさりげなくでも汲み取ってくれることはありがたいけれど…。
そうやって護ってくれる存在も大きいけれど…。
むくれた由良の台詞に目の前の二人は大爆笑だった。
「今時、どこの人間が『門限』だよっ」
「いっそのこと、帰らなきゃ、掃除も食事もしなくていいんじゃない」
半ば煽ってくれる湯田川の言葉には、ますます機嫌が悪くなっていく由良だ。

いやいやいや、まだまだそんな急展開はないんだって…っ。
焦る由利の心情など丸ごと無視。
だけどなぜか、ふわんと浮き上がるような感情に出会った。
軽薄な男かもしれないけれど、待っていてくれる…そんな気持ちが伝わってきたような気がしたから…。
たぶん、由良がこの名刺を預けたことだけでも、認められた何かがあったのだろう。
人を見る目は、きっと由良の方が確かなのだろうから…。

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成パパが追いかけてきた意味が分からない…(←やっぱり不明な人気順…)
すみません、だれか、コメント欄に、一言入れてくれませんか。
本当にカラッポすぎる頭なんです…。(成パパ、何もコメントがなくて…。何を希望されているのかしら。)
みこっちゃんでも充分なくらい悩まされているのに、みっちゃんまで追加ですか~~~。
どーしよー。
もうこの際、安住と光也の禁断の恋でも書くか~(←ありえねぇぇぇぇぇ。これこそありえない。全く想像できない)
安住とみこっちゃんのほうがまだ可能性ありだなぁ…。(←いえ…)

次の追い上げ…って栗本なんですか…。冷汗…

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コメント

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えっと、えっと
コメントちー | URL | 2012-08-17-Fri 21:26 [編集]
もしかして、間違えて記事UPしたのかなあ?
日にち、明日だしなあ。
でも、コメントしちゃう私。

由良、やっぱり弟思いだね。三角にはならないのか。
つか、彼氏がいそうだけどさあ、由良。

由利、お泊まりはまだ早いからね?
フクちゃんだって、我慢して我慢したから痴漢くんに・・・いやいや、雄和にも我慢させてやるっ!
監視強化(笑)


「隊長~。隊員増やしてくださいよー。ちー、あっちけこっちも大変なんっすよね。しかもー、由良兄さんも気になるじゃん?何か、安住さんがダントツ一位だと思ってたらさあ、野崎さんだし。クソーって頑張ってたら成パパが二位だし。成パパ、好きだから良いけどさあ。多分、成視さんとの恋愛が読みたいのかも。イケパラ行って、安住さんに頑張ってって言ったら気にしないからだってさ。美琴さんは、相変わらずだし、成パパは捕まんないし~。いっそ、みんな書いちゃえよ的な?あ、何か黒いオーラを感じるー。ちー、巡回に行ってきまぁす!」

『・・・新隊員募集中(T-T)』
Re: えっと、えっと
コメントたつみきえ | URL | 2012-08-18-Sat 01:16 [編集]
ちー様
おはようございます。ちが…こんばんわ…。
はい、そうです、なんか間違ってupされているらしいです。(←もう分からないから放ったらかし)

> もしかして、間違えて記事UPしたのかなあ?
> 日にち、明日だしなあ。
> でも、コメントしちゃう私。
>
> 由良、やっぱり弟思いだね。三角にはならないのか。
> つか、彼氏がいそうだけどさあ、由良。

由良っ。彼氏っ。
そーゆースルドイところが怖いです。
い、いるんですかね~、いたんでしょうねぇ。
ねぇ、高畠くん…(Σ (゚Д゚;))
ははは…ん

> 由利、お泊まりはまだ早いからね?
> フクちゃんだって、我慢して我慢したから痴漢くんに・・・いやいや、雄和にも我慢させてやるっ!
> 監視強化(笑)
>

おとまりは…。
アレ、見ちゃってる人だしねぇ。
我慢はどこまできくんでしょうか。
そう…フクちゃん、がまんしたねぇ。

> 「隊長~。隊員増やしてくださいよー。ちー、あっちけこっちも大変なんっすよね。しかもー、由良兄さんも気になるじゃん?何か、安住さんがダントツ一位だと思ってたらさあ、野崎さんだし。クソーって頑張ってたら成パパが二位だし。成パパ、好きだから良いけどさあ。多分、成視さんとの恋愛が読みたいのかも。イケパラ行って、安住さんに頑張ってって言ったら気にしないからだってさ。美琴さんは、相変わらずだし、成パパは捕まんないし~。いっそ、みんな書いちゃえよ的な?あ、何か黒いオーラを感じるー。ちー、巡回に行ってきまぁす!」
>
> 『・・・新隊員募集中(T-T)』

隊員募集ですかっ。
忙しいよね~。
巡回しなくても…(←作者がどうでもいい状態)
いや、ほんとに佐貫、分かんない…、
そか…成視との恋かぁ。
現代版と違うっていう点ではありだよね~
コメントありがとうございました。
No title
コメントきえ | URL | 2012-08-18-Sat 10:21 [編集]
拍手コメs様
こんにちは。

>展開についていけてるかな(^^ゞ。双子の話に、興味津々?(漢字がわららない…。間違ってたらごめんなさいm(__)m。恥ずかしい~)

漢字は私も難しい課題です。
適当に読んでいてください(←)
双子ちゃん、ちょっと意味深い所で繋げたかったんですけれど、あっという間に挫折しそうです。
その雰囲気が描けない(- -;)
まぁ、適当になんとなく書いていきます。
コメントありがとうございました。
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