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BLの丘
2012年 今年の夏の旅行の醍醐味なのだ♪
2012-08-03-Fri  CATEGORY: 『想』―sou―
案内人のエンジン付きボートに乗って辿り着いたバンガローは、波の音しか聞こえない。
暖色系の灯りに包まれた建物が迎えてくれた。
海の中に繋がる階段縁にボートを停めて、建物の中に入る。
まさに海の中に建っている”ホテル”だった。
個人的にも動き回れるようにと、そばには手漕ぎボートも繋がれていた。
ふたりを降ろして、ボートは去っていく。
ここからは完全に二人の世界になる。

海で泳いで、濡れたままで戻ってきてもいいように、一番手前にあるのがバスルームだった。
それも、浴槽の下、海が眺められる透明のバスタブ。
まるで海の中を泳いでいるような錯覚に見舞われる。
続いてソファのセットがあるリビングと、丸テーブルのダイニングがあり、食事も作れそうなキッチンも兼ね備えられていた。
もともとは”滞在型”のリゾート地である。
ベッドルームに関しては、床面が海の中を映している。
水族館の中に居るような…、いや、大自然に抱かれているような…。水面に浮かぶ空間に作り上げられていた。
蝋燭の柔らかな灯りがあったとしても…、月明かりに照らされる、水面から届く灯りは全く違った幻想的なものを生みだしてくれた。

「すっご…」
これまでも豪華な部屋に泊めさせてもらったことはあったけれど…。
こんなに”リゾート地”と思わせてくれるものはなかった。
絶句する瑛佑に、どこか照れくさそうな美琴が先に進んでいく。
どうしたものかと、瑛佑は後を追った。
すでに届けられていたスーツケースの荷物を片すように…、誤魔化す姿勢は瑛佑にすぐに伝わってくる。
ベッドルームの中に浮かぶ白い肌が、明るさを呼ぶようだった。
「美琴さん…?」
背後から話しかけ、背中を抱いて…、少しの抵抗はあったけれど、大人しくなってくれる。
床下を漂う波が月明かりを浴びて反射し、淡い光となって部屋へと届いてくる。
耳元で囁き、水辺で少し湿った肌を撫でた。
こんなふうに大人しくなってしまう美琴を見るのも珍しい。
振り向かせた顔に、戸惑いと照れくささが顕著に表れていた。
今更どうしたのかと思ってしまう。

「美琴さん?」
もう一度問いかけると伏せ目がちに現状の感想を聞いてきた。
「このような場所でよろしかったですか?」
「?」
言いたいことの意味が分からず、キョトンと見下ろし、それこそ、何か不満があったのかと伺ってしまった。
世界中を渡り歩いた美琴にとって、上を見たらきりがない。しかも『榛名』という世界の最高峰に勤務していては…。
だけど瑛佑にしてみたら、見るもの全てが新鮮で、贅沢の境地だった。
それも、下界から遮断された空間など、そうそう手に入れられるものではない。
これのどこに、満足がいかないというのだろうか…。

抱いた背中をひっくり返し、連れてベッドの上へと誘い込む。
聞こえるのは波の音ばかり。
僅かな、興奮を生む吐息が、首筋を撫でてくれた。
「美琴さん?何か不満なの?」
そこかしこに表れる不安のようなものを、瑛佑は感じてしまう。
ふたりきりの旅行だったはずなのに、出会ってしまった部外者のことだろうか。
気を回せばかわすこともできたとは、美琴自身が一番に思っていることだろう。
でも楽しんだのは瑛佑も一緒で。
特に責めることなど一つも浮かばなかった。
組み敷いた体は、そっと視線を反らす。
「このような場所を、私の一存で取ってしまって…」
「?」
ますます瑛佑は疑問に思った。
文句をつける要素がどこにあるのだろうか。
「俺、すごい満足しているよ。美琴さんがいなかったら、来られなかったし。だいたい、こういうリゾート地、知らなかったし…」
感謝しているのだと素直に伝える瑛佑に、美琴もどこか心の枷が外れたのだろうか…。
滅多に本音など晒しはしないが、今日ばかりは素直に心の内を吐露した。
これも旅先の解放感があるからか…。

「呆れられるかと思いました…。だって、こんな環境に…、わざわざ連れてくるなんて…」
美琴の答える意味が分からなくて、しばし脳裏を巡らせた瑛佑だった。
部屋に入ってからのよそよそしそうな態度。状況を説明しようともしない。
全ては”照れ”が生んだ、羞恥心を誤魔化そうとする手段。

自分が選択したものが、『乙女チック』だと、瑛佑にどう評価されるのか不安に思っていた結果が、この態度だったのだろう。
べつに男相手に選んだっていいじゃないか。
ロマンチックなムードに浸りたいとは、自分だって思うことであって、後ろめたさなんて抱えることはないのだ。
そんな心配など、ひとつもいらない。
「美琴さん…」
選んでくれた全てを評価するし、悦びは誰よりも増していく。
自分勝手な自惚れ…などと思う必要などない。
瑛佑だって、この瞬間を誰よりも望んでいたのだから…。

抱えた白い肌が、海に浮かぶベッド(そう見えるだけ)の上で開かれていく。
異国の地だからなのだろうか。
いつもよりも淫靡で優雅な肢体が奔放に振舞っているように見えた。
誰もいない、ふたりだけの空間は、お互いの心も解放してくれるのだろう。
すぐそばにいるかもしれない知人でも、ここは、海上の楽園で近付けない…。
…恥ずかしがることも、引け目に感じることも何もないんだよ…。
言い聞かせるように、瑛佑はくちづけという答えを返す。
ここまで運んでくれたのは、誰より、美琴なのだから。

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コメント

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みこっちゃん
コメントちー | URL | 2012-08-03-Fri 05:07 [編集]
なに、この人。スッゴい可愛くない?
普段、冷静で感情も出さなくて仕事は勿論できるのに。
恋人の前では不器用で素直になれなかったりするのにー。可愛いよ、みこっちゃん!

英佑さん、素直でテレテレのみこっちゃんとアッマァァイ夜を楽しんでねー。邪魔はしないからあ。

Re: みこっちゃん
コメントたつみきえ | URL | 2012-08-03-Fri 07:06 [編集]
ちー様
おはようございます。

> なに、この人。スッゴい可愛くない?
> 普段、冷静で感情も出さなくて仕事は勿論できるのに。
> 恋人の前では不器用で素直になれなかったりするのにー。可愛いよ、みこっちゃん!
>
> 英佑さん、素直でテレテレのみこっちゃんとアッマァァイ夜を楽しんでねー。邪魔はしないからあ。

たぶん、うちのキャラの中で一番ギャップがあるのがみこっちゃんじゃないでしょうか。
どんどんと改造されていっていますけれどね。
恋人の前では気弱になってしまうんですよ。
それを受け止めてくれる瑛佑と社長がいるから、ますます磨き(?)がかかっちゃうんでしょう。
幸せな夜を過ごしてくれることでしょう。
コメントありがとうございました。
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