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BLの丘
見ていた場所 7(最終話)
2012-07-27-Fri  CATEGORY: 見下ろせる場所
翌朝、リビングで再び顔を合わせたが、後ろめたさのようなものを抱えているのは志木だけのようだった。
皆野も慎弥も充分な睡眠をとったといった爽やかな表情である。
すぐに表情や態度に出る慎弥を見ても何もなかった一夜だったのだなと判断することができた。
征司が『眠っている』と言った読みは当たっていたわけだ。
とはいえ、皆野のポーカーフェイスは筋金入りだ。
こちらもどこまで感づかれているのかは謎だった。

二人は朝食のルームサービスを食べ終えて帰っていった。
顔合わせが目的であり、それを昨夜のうちに済ませてしまえば、すでに用がなくなる。
皆野にしてみれば、昔の職場であり、急遽退社する過去があっただけに、居辛さもあったのだろうか。
征司とふたり残された部屋で、その広さを改めて実感する。
リビングのソファで、新しく淹れてもらったコーヒーを飲みながら、隣の征司に本音が零れる。
「なーんか、こうやって見ると無駄に広い感じがして、もったいないって思っちゃうね」
征司とはこれまでも暮らす空間が違っていたから受け止め方が違うのは承知しているけれど…。
一泊はした。スィートルームというものを体験した…という結果になる。
そこにもう一泊する理由が志木には見つけられなかったのだ。
それが『もったいない』という台詞に表れた。

志木に向き合った征司が小首を傾げて見せた。
「そう?じゃあ俺たちも帰る?」
仕事の調整がつけられるのであれば、どこに宿泊しても変わらない…といった様子だ。
志木と征司が新しく住まいを構えた場所から、とても遠い、という距離でもない。
興味本位で泊まってみた…というのが正しい。
それにたぶん…、征司に頼めばいつでも機会を作ってくれるだろう。
昨夜の態度や言われた台詞を思い返しても…。
その機会を作ってくれるごとに、愛されていると実感するのかもしれない。

「そうだね…」
志木の返事を聞いては、フッと笑った征司が、志木の腰に腕を回して抱えた。
こんなふうに、あからさまにスキンシップをとる生活習慣はなくなっている昨今だ。
どうしたのかと訝しく思ってしまうのと同時に、照れに襲われた。
「でも『もったいない』からチェックアウトの、ギリギリまで居させてもらおう」
「え?」
軽くくちづけられて、その後にニヤっとした笑みが視界に飛び込んでくる。
先程の志木の台詞を拾って、発された内容には、”これから”というものが含まれている。
「い、今から?!」
もちろん驚いてひっくり返ったような声を上げてしまったのは志木で…。
あたりまえ…なのか、普段の生活に、日が高くなる時間から性行為に突入するような若さはなかった。
まさかと思うが…。ここまで理解して早々に立ち去った皆野だったのだろうか…。
ホテル側に居た人間だったら察することができるものなのか、想像しただけで次に合わせる顔がなくなる。
付き合いを知られている内容だとは分かっても、年上の自分たちがどんな風に見られるのか…。
朝からサカる人間性を冷静に考えてしまうのは、やはり年齢の関係があるのかもしれない。

「志木」
耳朶を甘噛みされながら囁かれる声に、反応してしまう自分も浅ましい…と思ってしまうのだが…。
「本気?」
「もちろん。昨日のアレだけじゃ、支払った対価に値しないと思ってるし。環境が変わるって、志木も普段感じられない刺激があるんじゃない?」
「もぅ…」
いつもと違うこと…。
反応が違っていたとは、見つめてくれる征司が一番良く感じていたのか…。
更に新たな発見を、今でもしたい気持ちがあるのか…。
征司に甘えられることなどそう多いものではないし、時間的なことを考慮したらグズグズもしていられない。
本当だ…。環境が変わるって、気分も大きく変えてくれる。

「二度寝しないようにしなきゃ…」
「そしたら本当に連泊だな」
「頼むから皆野だけには知られないように、裏手配とっておいてよ」
志木の提言に征司は苦笑する。
「何、そのプライドみたいなのは…。ホテル側の守秘義務ってかなりしっかりしているはずだけど」
「皆野を見ていれば分かるよ。腹の底で何思われているのかと思うと、その秘密主義が怖いよ」
「まぁまぁ。こっちも”大人の余裕”でかわしていればいいんだよ」
この余裕な態度は、経営者としての実力が見せるものなのだろうか。
そしていつも皆野に触れあっている気持ちの通じ合いの違いなのか。
ずっと見ていた征司のことは誰よりも理解していると自負はあるけれど、まだ知らないことは多い。

征司が見ているもの…。
同じように見られる日が来たのかと、この一泊で感じられるのかもしれない…。

―完―

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ぽちっとしていただけると嬉しいです。
視点が変わったりして、読みづらかった所、多々あったと思います。
以前書き残していた謎の人たち、今回書けて良かったです。
読了ありがとうございました。

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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-07-27-Fri 11:55 [編集]
場所が変われば 2人の間に漂う雰囲気も変わり、志木の反応も変わる。
そして 征司自身も!
んーこの感じだと、これから ちょくちょく利用しそうですね。

その時はまた 慎弥と皆野を呼ぶだろうなぁ~
だって スリルと興奮度がアップするもんね♪ヾ(@▼ω▼@)イヒヒ・・

征司と志木は、きえ様が気になってた2人なんですね!
これで スッキリとなりましたか?
一日2作品の更新を有り難う御座います。そして お疲れ様です┏○ペコ
くれぐれも無理のない更新をなさって下さいませ。
(*゚▽゚)b☆・゚:*☆ 糸色 女子 言周 ☆・゚:*☆d(゚▽゚*)...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-28-Sat 09:11 [編集]
けいったん様
おはようございます。

> 場所が変われば 2人の間に漂う雰囲気も変わり、志木の反応も変わる。
> そして 征司自身も!
> んーこの感じだと、これから ちょくちょく利用しそうですね。
>
> その時はまた 慎弥と皆野を呼ぶだろうなぁ~
> だって スリルと興奮度がアップするもんね♪ヾ(@▼ω▼@)イヒヒ・・

場所が変わると気持ちの入れ方も変わりますよね。
熟年カップルも新婚さんに\(\◇ ̄ )ヘン~(  ̄▽/)ゝシン!!! \(○ `O´ ○)/トゥーー!!
今度は皆野たちも張り切ろう!!
だって皆野、二回泊まったのに、お預けくらってばかりだもん(T_T)
慎弥、すんなり寝ちゃうからね。

> 征司と志木は、きえ様が気になってた2人なんですね!
> これで スッキリとなりましたか?
> 一日2作品の更新を有り難う御座います。そして お疲れ様です┏○ペコ
> くれぐれも無理のない更新をなさって下さいませ。
> (*゚▽゚)b☆・゚:*☆ 糸色 女子 言周 ☆・゚:*☆d(゚▽゚*)...byebye☆

以前、カップルという形で登場させておきながら、背景が何もなかったので、ちょっと心残りでした。
はーい。スッキリしましたよ。
これで思い残すことはない(笑)
思いついては勢いでupしちゃうから、途中で詰まっちゃったりするんですよね。
絶好調とは言えないかもです。
計画性アリで書けたら本当はいいんですけれど。
コメントありがとうございました。
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