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BLの丘
見ていた場所 3
2012-07-23-Mon  CATEGORY: 見下ろせる場所
~志木sideになります~


出会いは高校生の時だった。
県内でも屈指の進学校、更にその中で五本の指に入る成績を収めれば、嫌でも耳に入ってくる存在となる。
男子校だったから、女ほど浮ついた噂話はなかったとしても、その当時の興味の対象は、大きく変わるものではないだろう。
越生志木(おごせ しき)が岩槻征司の名前を聞いたのも、そんな展開からだった。
高校一年の夏休み前、見事トップに出た岩槻の名前と風貌は、志木の視線を釘づけにしてくれた。
同級生とは違って大人っぽい雰囲気があった。
もちろん育てられた環境もあったのだろう。学生というよりは、事業に精通したような、大人びたもの。
家柄がすでに事業を展開するものだったのだから、知識も違っていて当然だったのかもしれない。
ブレザーの制服はスーツにも見立てられたし、きゅっと結ばれたネクタイの喉元が凛々しかった。
生きている世界が違うのだな…となんとなしに思わせてくれた時代だった。
近寄れるものではないといった雰囲気も…。

二年になり、クラス替えで同じ教室になった。
運の良さなのか、最初に並べられた席順は五十音順によるもの。
隣に並んだ席を見た時、岩槻征司の風貌に再び目を奪われる。
だけど、そんな動揺のようなものは見せたくもなくて…。志木は突っぱねた態度を取ってしまった。
後々、「冷たかった…」と征司に嫌味を言われるくらい、素っ気ない態度を振舞っていたらしい。
志木にも多少なりともプライドがあった。
それは、成績が優秀と言われることに対してなのか、見栄えの良さなのか…はっきりとはしなかったけれど…。
対照的に余裕があったのは、やはり征司のほうだったのだろう。
全てを受け止める、全体を見渡せる精神の余裕…。

一目置かれる存在に、志木は早々簡単に近付いてなどいけなかった。
下の学年から一緒に連れ添った仲間がいて、どうしてもそちらに寄ってしまう。
征司には征司の付き合いがある…といったように、あちらも、慣れた連中を相手にしていた。

修学旅行の、班分けの時…、志木を襲うものがあった。
行き先の北海道、函館は、基本的に生徒の好きにさせてもらえる。
ホテルだけは同じだったが、朝市に出向こうが、山に登ろうが、グループごとで好き好きに決めて、その感想文を提出すれば良い…観光ルートになった。
生徒を信頼してくれているからこそ、できるプランだとも思える。
だが、その中で、志木は歴史をたどるものを見たかったのだが、同行する人間は揃って”観光”を申し出た。
そこにレポートで書けるものがあるのかと訝る志木に、「おまえ、硬過ぎ」と初めて反論が漏れたのだ。

仲が良いと思っていたものに、綻びが生じる。
その波に巻かれても良かったのかもしれない。
だけど、征司は自分が組んでいた班を抜けてきた。
「見たいものがあるんだろ。別に二人でも文句、言われないから」
大概は5~6名で班を組む。
それを少人数で移動するとは、教師の許可も得づらいものとなった。
だけど、征司の品行の良さなのだろう。確実に実行できる計画書を、征司は作り上げて教師の反論を受けなかった。

逞しさを、今まで以上にはっきりと知らしめられた。
すでに身につけた知識はあるのだろうに、初めて見る志木に同調してくれる。
同じように感動して、感想を言い合った。
落ち着いた雰囲気に飲み込まれていくのを、志木は確実に感じていた。

…この男のそばにいたい…。

見える世界ははっきりとしている。
征司には迎える未来があったから…。
将来を展望する力強さは、そんなところからも浮かぶのだろうか。
せめて並べるように…。
志木が”影ながら”でもと未来を見据えた時…。

その年…、征司に『弟』ができた。
一度は向きかけた視線を、…寄り添いたい場所を、簡単に奪ってくれた人…。
差し伸べられるはずだった手は、スッと引っ込められ、再び志木を”一人”にした。

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いじめ問題が色々と言われている昨今ですが、それとは全く違いますので…。
もう少し先まで温かい目で見守ってください。
展開、ちゃんと作っていきたいと思います。
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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-07-23-Mon 15:44 [編集]
志木の征司への態度は、
憧憬と羨望と妬みが入り混じって 冷たいものとなったのかもしれませんね。

だけど 高校の中で注目されていた征司は、同学年のタメとは違う何かを 既に備え持った男だったのでしょう
志木が、側に居たいと思うほどに‥
「弟」の出現で それがねぇ~(。´・ω・)(・ω・`。)ネー

きえ様、
この作品を読んだ筈なのに 志木の印象が薄くて~~!
キャンキャンと煩い慎弥の強いキャラで霞んだのかな?
who are you?( ゚ェ゚)σ‥エッ!ボク?б(´・ω・`;)...byebye☆

P.S.キリリク作品「保育士救済計画編」、楽しみにしてま~す_φ(゚ω^* )♪


 
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-23-Mon 16:31 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 志木の征司への態度は、
> 憧憬と羨望と妬みが入り混じって 冷たいものとなったのかもしれませんね。
>
> だけど 高校の中で注目されていた征司は、同学年のタメとは違う何かを 既に備え持った男だったのでしょう
> 志木が、側に居たいと思うほどに‥
> 「弟」の出現で それがねぇ~(。´・ω・)(・ω・`。)ネー

ちょっと変わるものになっちゃいましたねぇ。
志木が抱えるもの、征司が思うものってちがっているのでしょう。
征司って同年代とは違いすぎる何かをまとっていたから、志木も惹かれ…。
また他の人も納得できたのではないでしょうか。

野放しにできない志木の想いとか、感じているんだよねぇ。

> きえ様、
> この作品を読んだ筈なのに 志木の印象が薄くて~~!
> キャンキャンと煩い慎弥の強いキャラで霞んだのかな?
> who are you?( ゚ェ゚)σ‥エッ!ボク?б(´・ω・`;)...byebye☆
>
> P.S.キリリク作品「保育士救済計画編」、楽しみにしてま~す_φ(゚ω^* )♪

キャラ、薄くて当然だと思いますよ。
だってあの頃、我が儘弟(慎弥)のほうがイメージ強かったはずだもん。
隠れキャラ的に思い出させてくれるリクエスト様がいたので思い返しました。
よく気付いてくれたものだ…。
ボク…誰だろうね。(すでに分かっているだろうねぇ…。これが一葉だったらひっくり返られるでしょう)

…あ、え…、で、保育士ですね…。
可哀想なくらい虐め(いじめていないっ、可愛がったのっ)られた保育士、救済編…。
頑張って書くね~っ。
コメントありがとうございました。

 
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