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BLの丘
待っているよ 43
2012-07-10-Tue  CATEGORY: 待っているよ
寝不足の朝を迎えた。
いつもはアルコールを飲んだりして、比較的安眠に誘われるのだが、昨夜はどうしたものだろう。胎内に一度宿った熱はそう簡単に抜けてはくれなくて、そっと寝がえりをうって、少しでも福智から離れようとした。
その行為は福智にも伝わり、いつか嫌われるのではないかという焦りすら生む、落ち着きのなさが、眠りには導いてくれなかった。
いつもと同じように過ごしているつもりでも、福智はすぐに違いを嗅ぎ取ってしまう。
もしかしたら、一晩中の蠢きすらも…。
「筑穂?調子悪いの?」
まだ弟分が起きてこないこの時間、台所には筑穂と福智の会話と、やりかけの動作を続ける物音しか響かない。
モンモンとしたのは筑穂だったし、この爽やかな朝に、夜の内容を口にするほど酔狂な人間でもない。
静かに首を振って、「何も変わらない」とアピールすれば、盛大な溜め息が零れた気がした。
でも福智はそれ以上、何も言ってこなかった。

こうやって、波風を立てずにまた一日が無事終わればいい…のだろうか…。
心の奥底でおもったことは、さりげなく福智を無視するような会話で進められた。
弟の面倒まで気に掛けさせてしまって…。これ以上の我が儘は贅沢だと思った。
福智がどう捉えて、どう考えているのかは、まだ良く分からないのかもしれないけれど…。
甘え過ぎてしまいそうで、顔が合わせられなかった。

訝しく思うところはあるのだろう。
でも福智はそれからも口にすることなく、さりげなく伺われながら、”いつもの朝”の支度を整える。
匂いが漂えば真っ先に穂波が階段を飛び降りてくるし、今までの筑穂に代わって、福智が嘉穂を起こしに行くこともある。
食事を流し込んでは時間だと玄関に向かい、また、迎えが来ては慌てて駆け寄る姿も、毎日のことで変わらなかった。
変わらない光景が、筑穂には単純に、嬉しかったけれど…。
変わってほしいものがあったのも確かだったのだろうか…。

福智が家族のことも思ってくれる。その甘えも充分にある。だから筑穂は何も言えず…。
また弟を守る態度に出てしまおうとするのだろうか。…一つの虚勢として…。

その日の帰宅時間は定時で筑穂と福智は同じだった。
今からであれば、夕寝の最中の嘉穂の時間に辿り着けるし、余裕をもって夕食の支度も済ますことができる。
穂波が夜遊びせず帰ってきてくれるかは疑問だった。福智が移り住んだことで、今まで以上に奔放になった気がしなくもない筑穂だ。
筑穂が早くに帰れると、連絡がなければ遊び歩く、現代っ子になった。
福智は何かにつけて、「まぁまぁ」と逆に筑穂を宥めてくる。

『家にいる』と連絡すれば帰ってくるだろう。
オフィスを出て、そんなことを思いながら携帯電話を開く筑穂に、福智は隣から、「穂波に今日、残業になる、って言っとけよ」と、行動の分からない発言をしてきた。
訳が分からなく動きすら止まろうとする筑穂の腕をとって、駅に向かうとは反対側の裏路地の方へと向かっていく。
「ふ、福智?!」
焦りに聞いても返される言葉もないまま、だけどやはり焦る内情を抱えたような福智は答えることもなく、一つの建物の前に立った。
その一角は、『ラブホテル隣接地帯』と呼ばれる…、夜にはとても賑わう場所であって…。
『アフターファイブ、今の時間、これから、もう?!』みたいな状況に大きくうろたえた。
「ふ、ふ、くち…」
かける声すら、囁きを通り越して喉奥で消えているものは喜びという震えではないだろうか…。

福智が肩を抱きながら、そっと囁く。
「俺も、もう限界なんだけど…。毎日筑穂と一緒にいて…。宣言した以上、何もできないけどさ…。いつ、覆いかぶさろうかって葛藤の日々…。昨日の夜、筑穂も身体硬くしてたって、期待されているって思っても良い?」
筑穂が抱えていた燻るものを、やはり肌ごしに感じていた福智だった。
だけど言い出せなかった…、耐えさせたのは、最初に言った台詞と、筑穂を家族の前で守るからこそ…。
どこまで筑穂のことを考えて気遣ってくれるのだろうか…。

“熱”を感じられるのだという喜びも筑穂の中に湧いていた。
こんな形で、見知らぬところでお互いの愛情や喜悦を味わえる現実を改めて知る。

一度体の中に湧いた興奮は、簡単には消えていかない。
それだけ…どれだけ…、もう一度求められる日を追い求めていたのかと、これまでなかった浅ましさも噴き上がったが、なにもかもが興奮剤となっていた。

あたりまえだが、利用するのは初めての筑穂だ。
よどみなく動く福智に感心しながら、鍵を受け取って連れ込まれた部屋の綺麗さに驚いた。
何かのドキュメンタリー番組でモザイクで映し出された部屋とは雲泥の差がある。
広い部屋の中央はダークブラウンのカバーがかけられたベッドと、隣にラブチェアがあり、正面に大型テレビが鎮座している。
“ワンルーム”と言われれば、頷ける仕様だとも思えた。
すぐ隣にバスルームへと続く木製の扉、くぐれば、その先が全てガラス扉の浴室とトイレだったのだから驚きだ。
ここに入られたら、全てが丸見え…ということになる。
そこは、さすがに、『ラブホ』仕様なのだろうか…。

だけど福智は真っ先にそこを使わせてはくれなかった。
部屋に入るなり、筑穂の上着を剥ぎ取り、ネクタイに指をかける。
ベッドの足もとに腰かけさせては、あっという間に下半身の衣類を下着ごとひんむいていた。
「ちょっ、ちょっ、ちょっ…っっっ、福智っ」
安心感もあるのだろうか。家の中では決して上げられない無防備な声が、ここに響き渡った。
脱がされた衣類は、皺になってもおかしくない勢いで、ラブチェアに放り投げられていく。
床でないだけ、マシだと思うべきなのだろうか…。
しかし、福智も慌てた形相で肌を晒してきたなら、抵抗の声はすぐにおさまってしまう。
この、布越しでない、肉体を感じるのはいつぶりか…。ある意味、待ち望んでいたものに、知らずとゴクリと唾液が飲みこまれた。

「筑穂…」
耳元で囁かれる声が、何よりの媚薬のような気がした。
こんな甘ったるい声で、呼ばれて、大事にされたいという潜在意識が働き出す。

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目指せ45話終了(`・ω・´)ノ…(←希望…。…家に帰りました。穂波に「残業?」嫌味言われました…的展開じゃダメかな…)
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コメント

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行っちゃった
コメントちー | URL | 2012-07-10-Tue 05:15 [編集]
流石、フクちゃん。
わかってるねー。良い仕事するぅ(笑)

あれ?きえさん、脱がして終わりとかしたいの?
みんな怒るってばぁ。
ダメよ、可愛い兄ちゃんも下だけ脱がされて待ってるよ?
シャツ一枚・・・やらしい。



ルルルルルル~。
ルルルルルル~。

「はいはい?ちー、今日からお休みですよ?え?え?えー?マジっすか、先輩!じ、上官が休みの間に、兄ちゃんを?やだやだやだ!だって、海外で閲覧するとパケ代ハンパナイ・・・上官!まだ、兄ちゃんとフクちゃんをイチャイチャさせといてくださぁい!掃除腐さん、掃除腐さん、よろしくお願いします。あ、シークレット隊員の皆さまもね」
Re: 行っちゃった
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-10-Tue 07:15 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 流石、フクちゃん。
> わかってるねー。良い仕事するぅ(笑)

フクちゃんの観察眼もすごいね~。
愛おしいから余計に伝わっちゃうんだよ。
フクちゃんも我慢していたから、筑穂の変化は嬉しかったでしょうね。

> あれ?きえさん、脱がして終わりとかしたいの?
> みんな怒るってばぁ。
> ダメよ、可愛い兄ちゃんも下だけ脱がされて待ってるよ?
> シャツ一枚・・・やらしい。

やっぱり爆弾、投げられちゃうか…。
無駄なことばっか書いているから延びるんだよね…。
お兄ちゃんもフクちゃんも溜まっていたものを吐き出したいんだよね、きっと。

> ルルルルルル~。
> ルルルルルル~。
>
> 「はいはい?ちー、今日からお休みですよ?え?え?えー?マジっすか、先輩!じ、上官が休みの間に、兄ちゃんを?やだやだやだ!だって、海外で閲覧するとパケ代ハンパナイ・・・上官!まだ、兄ちゃんとフクちゃんをイチャイチャさせといてくださぁい!掃除腐さん、掃除腐さん、よろしくお願いします。あ、シークレット隊員の皆さまもね」

ちー隊員がお休み中に終わりにしておこうかなと思ったのに、無理そうかな。
パケ代…ってそんなお金かけて読むものじゃないですから~っ。
一族を満喫してきてください。そっちを楽しんで。
コメントありがとうございました。
No title
コメントけいったん | URL | 2012-07-10-Tue 09:27 [編集]
筑穂が何も言わなくても その雰囲気から感じ取れるでしょ。
それに 福智も同じ気持ちのはずだから!
初ラブホゥ~♪
2人だけの時間と場所、どれだけ大きな声で喘ごうか どれだけエロい姿態をしようが お気兼ねなく~
ハイ (★ノ_ _)ノドゥゾー♪

「先輩、ちー隊員から 筑穂と福智のXxXXを帰るまで延ばせと!」
「いやぁ~それは、無理だろう!」
「そうだよなぁー もう受け入れ、出動態勢もバッチリだしなー」
「そうっす!そんな事すれば、俺たち 福智に殺されっす~~!」
「ゲッ!き・聞かなかった事に...!」
「「「ちー隊員、ミアン(ごめんっ)~~!」」」

旅行いいなぁ~...( _ _)σ イジイジ...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-10-Tue 11:19 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 筑穂が何も言わなくても その雰囲気から感じ取れるでしょ。
> それに 福智も同じ気持ちのはずだから!
> 初ラブホゥ~♪
> 2人だけの時間と場所、どれだけ大きな声で喘ごうか どれだけエロい姿態をしようが お気兼ねなく~
> ハイ (★ノ_ _)ノドゥゾー♪

えぇ、もう二人の仲で感じとっちゃいますよ~。
福智も耐えていたのよね~。
このチャンスをきっかけに、今後に繋げていくことでしょう。
「周りに気兼ねなく…(なかなかいいなぁ…)」by筑穂

> 「先輩、ちー隊員から 筑穂と福智のXxXXを帰るまで延ばせと!」
> 「いやぁ~それは、無理だろう!」
> 「そうだよなぁー もう受け入れ、出動態勢もバッチリだしなー」
> 「そうっす!そんな事すれば、俺たち 福智に殺されっす~~!」
> 「ゲッ!き・聞かなかった事に...!」
> 「「「ちー隊員、ミアン(ごめんっ)~~!」」」

後で追いかけてくるようお願いしなくちゃね。
隊員が危険な目に合うのは避けなければなりませんし。
(ちー隊員の発言は無視φ(..)メモメモ)

> 旅行いいなぁ~...( _ _)σ イジイジ...byebye☆

ねぇ、いいよねぇ。しかもパスポート使えるっていうところが…。
私のは、もうただの紙切れになってる。・゚・(ノД`)・゚・。
コメントありがとうございました。

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