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策略はどこまでも 8
2009-07-02-Thu  CATEGORY: 策略はどこまでも
得意先回りを終えて社に戻ったのは夜だった。暑さはあるものの、真夏のころのような日の長さはなく、すでに暗くなった時間帯で、定時を過ぎれば社に残る人間もほとんどいなくなっている。
入社時から自分を育ててくれた中條誠(なかじょう まこと)が事務所にあるパソコンと戦っていた。
フレームのない眼鏡をかけ、時折目をこすりつつもパソコンのディスプレイを凝視している。
事務処理にすっかり慣れた体は「最近ヤバイ」と本人は口に出しているものの、見た目は40代を目前にした体格とは思えないほど若々しいと思う。

中條はその昔、敏腕と言われるほどの営業マンだったが、那智が入った頃から、それまで受け持っていた得意先を後輩へと移り渡し、今では社内の事務作業に追われるようになっている。
販売部門の総合管理を任された忙しさは想像できるものではない。
後輩に渡した得意先はもちろんのこと、今まで関知しなかった営業先のフォローまで一手に引き受けているのだから、その苦労は計り知れない。

「帰りましたーぁ」
薄暗くなった事務所内に、帰った旨を伝える声を響かせれば、それまでパソコンの画面に気を取られていた中條の疲れたような視線が那智を仕留めた。
「おかえり、さくらちゃん。今日のコーヒーはさぞかし美味しかったでしょ」
『桜庭』という苗字をとって、中條は「さくらちゃん」という愛称をつけた。まるで女の子を呼ばれているようで那智は気に入らなかったが、上司に不平不満を言うのも躊躇われて、呼ばれるままにしている。
戻り次第、開口一番で言われた内容に、何のことだか分からず、小首をひねれば、中條からはため息が一つこぼれた。

「安住享利。会ったでしょ。来期から始まる榛名建設の工事現場で使われる機械の発注をうちにまかせてもいいって言われた」
那智はスチールデスクに投げかけたカバンの動きを止めた。
聞いたことのある名前だ。咄嗟に思い浮かばす、しばらく思考を巡らせていた那智の脳裏に、今日出会ったばかりの男が浮かんだ。

「えぇっっっ?!」
叫んだのは那智の隣に席をおく鈴原寛太(すずはら かんた)だった。那智の一つ年上ではあるが、見た目も仕草も行動も那智に劣らず子供っぽい。
「榛名建設って、あのっ!あの榛名っ?!」
覚えのある名前を連呼されれば、さすがの那智もその相手が大物だと気付く。
榛名建設とはこの業界でも10本の指に入る大手建設会社だった。ゼネコンとして名を馳せ、幾社ともつながりを持ち、大規模建造物を多く手がけている会社で、末端ではかろうじてつながりがあったとしても、直接の取引などしたことがない。
突然出た名前に呆然とするしかない那智に対して、中條は冷静にことの成り行きを説明した。
「安住が取り扱う取引先の中に榛名の名があったっていうだけのことなんだけど。さくらちゃんを窓口にするなら榛名を紹介するって言ってきた」
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