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BLの丘
待っているよ 25
2012-06-22-Fri  CATEGORY: 待っているよ
いつもの調子が保てて、筑穂はどこかでホッとしていた。
それは恥じらいを消すものでもあったのだが…。
成長した弟は、並んで寝た大人の結果をどこかで気付いているのだろうか…。
羞恥もあって逃げる意味もあったのかもしれない。
堂々とした大野城に、ある意味感心していたけれど…。
大人としての見栄は穂波に突き付けられるものだったのだろうか。
そんな余裕さはおしえてほしくないものだったけれど。
大野城と穂波の朝食を準備して、一番手間のかかる嘉穂を起こしにかかる。
階段を駆け上がり、「嘉穂っ~っ」と怒鳴りつけるのもいつものこと。
寝起きの悪い弟に声をあげることも、家族の在り方を晒してしまっても許してくれる大野城をすでに知った。
ありのままを受け止めてくれる姿勢は、筑穂の心を解している。
緊張感をほどかせてくれる雰囲気を持つから、日常をそのまま続けられた。
それも大野城の性格や人格からくるものなのだろう。
自分の恥ずかしい部分も見られたからなのだろうか…。
張り詰めたような空気から逃げ出したような感じも、まだ慣れなくて強いのかもしれない。

相変わらず嘉穂を起こすことに手間取っている真っ最中、玄関の呼び鈴が鳴った。
いつもやってくる存在とは違う、明らかに早い時間に、家の中にいた全員が眉根を寄せた。
二階にいた筑穂に変わって、穂波が玄関口に出てくれたようだった。
チャイムの音には一応反応してくれるらしい嘉穂がいて目覚めてくれた。
寝ぼけていようがなんだろうが、香春の存在は本当に感謝するところだ。

「兄貴~っ、会社の人~ぉっ」
玄関先から響き渡る声に、筑穂は何事かと思った。
二日間、迷惑をかけた、何かがあったのだろうか…。
「嘉穂っ、起きろ、ほらっ」
一叩きしてから、筑穂は慌てて階段を降りて玄関に向かった。
すっかり出勤の態勢を整えた福智が立っていて、どうしたのかと目を見開いた。
他の社員が何時に出社するかは知らないが…。明らかに早い時間だろう…。

「ど、したの…?」
呆然と尋ねる筑穂に、『そりゃないだろーっ』と憂いの表情が見えた。
「昨日、あの後、筑穂に電話したって繋がんないしさーっ。家族で話し合いしてるのかと思えば俺なんかが来るのは失礼だろうし。だから、話聞きながら、一緒に会社行こうって思って来たのに~」
そこまで言われて、パン屋の前までついてきてくれた福智を放り出したことを思い出した。
仕事のことも家族のことも心配してくれて頼れる存在だったのは、ずっと変わらない。
「あ…、ごめん…。電源落としっぱなしだったかな…。福智、こんな早く…。ご飯は…?」
「食べられるの?筑穂のメシ、チョー、うれしーっ」
その態度は、空腹であることを表している。
大野城の分を考えても作り過ぎたような朝食は、今更追加を気にしていなかった。
さっさと上がってくるよううながしたのは、筑穂自身、嘉穂の準備をしたかったからだ。
喜ぶ福智は居間まで上がって、いてほしくない人物に巡り合った。
「あ…っんた…っ」
当たり前のように居座る姿に声が出ない。
あいむかいに座った穂波が、「あ、メシっすか?よそりましょうか」と一応(←)の気遣いを見せてくれた。
「いいよ、俺、やるから」
まったくやる気のない穂波が分かるのか、制して、大野城の方が先に動きだす。
その、家の中を知ったような余裕ぶりに、福智だけではなく、穂波も口を開けていた。
立ちあがった大野城と、座る前の福智に火花が散った。
「なんであんたがいるんだよーっ」
「センコー、図々しすぎだろっ」
「筑穂の負担は減らしてやるものだろ」
まさか朝一番に迎えられる存在だとは思っていない。
それは福智にかぎらず、穂波もおもうところがあったが、大野城の返事はあまりにも平然として、堂々と答えてくれた。
「昨夜は筑穂が情緒不安定だったからな。一晩ついていてやったんだ」
それが何を表すのか…。
一部の負担を背負わせたと思う穂波は即座に口を閉じてしまった。
もちろんそれ以上、大野城は穂波に何かを言うことはなかったが。
やはり筑穂を宥めたのだという態度は勝ち誇った風情にしか見えなかった。
自分がずっと一緒にいたら違うのだろう…とは、福智が強く思い唇を噛むところだった。

一度は中断されたが、まだ起きない嘉穂の寝姿に向かう。
「にぃちゃん、かわらは~?」
「香春くんはまだ来ていないっ」
『ピンポーン』の存在を間違えた嘉穂は、またクタリとなりそうだった。
「じゃあ、もうちょっと寝る…」
「嘉穂っっっっっっ」
香春がいなければ動かないこの性格もどうなのか…。
教科書や携帯電話を詰め込んだカバンがまた体の上に落ちていきそうだ。
責任感…というものを持っているのだろうか。
「てめーが迎えに行けっ。それくらいの余裕を持てっ。うちに来るまでに誘拐されたらどうするんだーっ」
ありえない極端な話に、ピクリと起き上がられた時、筑穂はやはり頭を抱えたくなった。
「誘拐っ?!」
基準は香春にあるらしい…。
こちらこそ、高校生に上がりながら『同居』(そこは香春の家なのだろうが)言い出さないだろうかと不安が走る。
遅刻しない点は、悪いことではないとは思うけれど…。

というか…。同じ高校に通えるレベルを持てるのだろうか…。

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福智、押しかけ…、迎えられ…。
子育ては、センセー、教育を…っ
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コメント

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福智が!
コメントちー | URL | 2012-06-22-Fri 03:20 [編集]
おー、福智だっ。
おはよ、福智。今日も頑張って兄ちゃんを口説こうね♪
(脇役だけどね、フクちゃん)

センセー、旦那か?
旦那になったつもりなのか?お?
許しませんよっ。お兄ちゃんには、可愛いお嫁さんを貰うんですっ!
(・・・それは、BLちゃうやん)

末っ子ちゃんは、相変わらずかわらちゃん大好きですね。
かわらちゃんと同じ学校に行く為に、頑張りそうだ。
て、事は?センセー・・・

センセー、嫌いじゃ無いけど~。
オクテな兄ちゃんに考える暇も与えず、押し掛け旦那になったのがヤダッ!
(だからなのはわかるけど)
兄ちゃんはセンセー、好きなの?
兄ちゃ~ん。
息子を取られた母親の心境かな?うん。
センセー、兄ちゃんを幸せにしないとぶっ飛ばすからねっ。

Re: 福智が!
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-22-Fri 07:46 [編集]
ちー様
おはようございます。連コメありがと~♪

> おー、福智だっ。
> おはよ、福智。今日も頑張って兄ちゃんを口説こうね♪
> (脇役だけどね、フクちゃん)

フクちゃん(爆)(子役の子のように可愛くはないけど)
毎日一生懸命口説いているのに、全く見向きされていなかったらしい。
美味しい油揚げ、気付いたらトンビが飛んでいた…のフクちゃん。

> センセー、旦那か?
> 旦那になったつもりなのか?お?
> 許しませんよっ。お兄ちゃんには、可愛いお嫁さんを貰うんですっ!
> (・・・それは、BLちゃうやん)

家族も呆然…状態ですね。
すっかり、えぇ。
筑穂の、そして弟の保護者になった模様。
お兄ちゃんにお嫁さんですか~。
お兄ちゃんはいっぱいデキる人だからね~。お嫁さんが委縮しちゃうかも。
(コブつきだし)

> 末っ子ちゃんは、相変わらずかわらちゃん大好きですね。
> かわらちゃんと同じ学校に行く為に、頑張りそうだ。
> て、事は?センセー・・・
>
> センセー、嫌いじゃ無いけど~。
> オクテな兄ちゃんに考える暇も与えず、押し掛け旦那になったのがヤダッ!
> (だからなのはわかるけど)
> 兄ちゃんはセンセー、好きなの?
> 兄ちゃ~ん。
> 息子を取られた母親の心境かな?うん。
> センセー、兄ちゃんを幸せにしないとぶっ飛ばすからねっ。

筑穂の気持ちはどうなんでしょうかね~。
どっちかが動かなきゃ進展しない話なので、まぁ、仕方ない押しかけ旦那?!になるのかな。
あれよあれよといううちに、巻きこまれ(?)ていった筑穂ですので、本当のところは?!
なんか、洗脳させている状態かも。
そりゃ、福地も慌てますよね。
末っ子もすっかり手懐けられたし。
センセー、大人の悪知恵(?!)フル稼働させてます。
コメントありがとうございました。

No title
コメントけいったん | URL | 2012-06-22-Fri 09:26 [編集]
フクちゃん(ちーさんに倣って)は、きっと昨晩は眠れず、今朝は 満持して 筑穂の所に来たんだろうなぁ~

あぁ~なのに そこには 急に現れた恋敵ヤローが、ダンナの様に振る舞う姿がぁー
!!衝―∵(ii゚∀゚ii)∵―撃ッ!!

大野城と フクちゃんが、視線バチバチの中 頂く食事って~ う・上手いかぁ~!?
いや 筑穂が作ったんだから 不味い訳がないけど・・・
( →_→)ジロ →バチッ!☆ バチッ!←ジロ ( ←_←)ジロ!...byebye☆

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-22-Fri 12:15 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> フクちゃん(ちーさんに倣って)は、きっと昨晩は眠れず、今朝は 満持して 筑穂の所に来たんだろうなぁ~
>
> あぁ~なのに そこには 急に現れた恋敵ヤローが、ダンナの様に振る舞う姿がぁー
> !!衝―∵(ii゚∀゚ii)∵―撃ッ!!

パン屋の前で、シッシッと追い払われて、筑穂にも家庭の問題だからと離されちゃって…。
地団太踏んで帰ったからね。
そりゃ、眠れなかったよね。
そして出迎えられたさわやかな朝のはずなのに~。
しかも、弟ですらびっくりするお父さん(大黒柱)のような態度。
そこは『お父さん、お嫁にください』って言うところでしょう(←)

> 大野城と フクちゃんが、視線バチバチの中 頂く食事って~ う・上手いかぁ~!?
> いや 筑穂が作ったんだから 不味い訳がないけど・・・
> ( →_→)ジロ →バチッ!☆ バチッ!←ジロ ( ←_←)ジロ!...byebye☆

美味しいご飯のはずなんですけれどね~。
緊張とか嫉妬とかいろいろな感情が混じってるからね。
素直に味わえないかも。
そして穂波も「こいつもか~っ」と内心で睨みつけているかもね。(←ませた弟)
コメントありがとうございました。
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