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BLの丘
待っているよ 21
2012-06-18-Mon  CATEGORY: 待っているよ
店を知られた今、いつか顔を出すだろうとは感づいていた穂波のようだったが、まさか昨日の今日で…とは。
しかも兄のみならず担任までいる状況に飛びかかってきそうな勢いがある。
「浮羽さんっ、何言われてたのっ?!兄貴、学校のことはもういいって…っ」
大股で近付いてくる穂波に、すぐに立ち上がった浮羽が両手を胸の前で広げて制した。
「ホナっ、待って待って!!説明してたとこっ、ちゃんと承諾をもらおうって話してたところだからっ」
ふたりが並んで立つと、その身長差をはっきりと映し出す。
浮羽は筑穂とほとんど変わらないだろうし、筑穂も穂波と並ぶことは多々あって分かっていたことだが、こうして他人の目となって見た時に、自分たちがこう見られていたのかと改めて教えられているようだ。
穂波は部活でもダンクシュートを余裕で決める。
どちらが年上かも分からない体格差で、浮羽に手を伸ばした穂波は、全員の視線が向いているというのに、堂々とその場で抱き寄せた。
絶句する筑穂と店主とは対照的に、比較的落ち着いた態度で大野城が「まったく…」と小さく呟く。
そこはさすがに『最近の高校生』に慣れた違いだった。

「浮羽さんに迷惑かけちゃった。…ごめん…」
「俺はいいよ。もう少し俺たちで話をまとめてから報告しようって思ってたのが、すでに間違いだったんだから」
穂波にされるままになりながら浮羽が宥めると、店主がやはり声を荒げた。
「あたりまえだっ。事後報告でどうするっ。第一、穂波くんはまだ学生なんだぞっ。そこは浮羽がお兄さんたちに相談することを促してやるべきだろうっ。それをコソコソとっ」
「おじさん、ごめんなさい。俺が兄貴を説得するからって言ってたから…」
「いいから津屋崎、場所を考えろ」
人前で、しかも保護者の前での抱擁は控えろと諭す大野城に、さすがに気まずさが生まれたらしい。
背中から腕を離した穂波の横を浮羽がすり抜けて奥へと入っていく。それから丸い椅子を持って戻ってきた。
自分が座っていた隣に置いて、穂波にも座るよう招いた。
穂波が登場したことで浮羽の表情が明るくなったように思えるのは気のせいだろうか…。

「えぇと、じゃあ、お兄さん、改めて…」
「ダメですっ」
再び向き合った浮羽に筑穂は即答する。
燻る思いは筑穂を冷静になんてしてくれなかった。
目を見開く穂波と浮羽、店主は『あたりまえだ…』という肯定した顔でいる。
大野城は筑穂の出方を見守っているといった感じだ。
「兄貴っ!?」
「進学についてはどうにかこうにか認めたよっ。ここで反対したって、意外と根性座ってる穂波のことだ、家出もしかねないし。やる気があるのならそれを推してやるべきじゃないかって。だけど昨日も言ったように、それとこれは別問題っ。いきなり『穂波と一緒になりたい』って言われて、相手の親だって知らなかったことを『ハイ、どうぞ』って言えるかっ!」
「だから今っ」
「何でそんなに急がなきゃいけないっ?!おまえ、自分が高校生なんだって分かってるかっ?!これから色々なことを経験していくだろっ。一度や二度の恋で決める必要はないっ。しかも浮羽さん、幾つ?年上の入れ知恵とかしてないでしょうねっ」
「兄貴っ!!」
「筑穂、落ち着いて…」
この場で始まった兄弟喧嘩を、大野城が筑穂を、浮羽が穂波を抑えた。
どうして同年代の友人たちのように、年相応の考えが持てないのだろう。
しっかりと考えてくれているのはありがたいことだが、筑穂にはそれすらも無理をさせ、背伸びをさせているようにしか思えなかった。
浮羽が指摘を受けて、それもそうか…という態度で俯いた。
店主が腕組みをして浮羽に視線を向けた。
「俺も穂波くんが今の時点で決めるのは早いと思う。自分の素性も明かさないうちにお兄さんに認めてもらおうって、そりゃあ無理な話だ。俺は穂波くんが通ってくれて話をしてくれたから家の事情とかっていうものもある程度聞いたがな。その裏におまえとのことがあるとは思ってもいなかったが…」
「おじさん…」
シュンとした浮羽が、はぁ…と一つ溜め息を零した。
「そうだよね…。そう…。ホナがあんまりにもしっかりしているから…。七つも違えば…」
「七つぅっ?!ちょっと待てっ、おいっコラっ!!」
「筑穂…」
もういい大人のはずだ。物事の判別くらいつけられるだろう。
見た目の若さはさておき、その年齢で未成年に手を出していいはずがない。
しかも『同居』という話にまで持っていくなど…。
年齢差を聞いては、筑穂は完全に逆上した。
「穂波に何言いやがったっ?!純真な子なんだぞっ。うまく騙したつもりでいるかもしれないけどっ、絶対に認めないからなっ」
「兄貴っっ!!!」
「穂波っ、帰るぞっ。おまえに恋愛はまだ早いっ!!!」
「兄貴っ、そんな言い方っ…っ!!」
素早い動きで伸びてきた穂波の手が筑穂の頬を叩いた。あまりの衝撃に筑穂は椅子から転げ落ちたくらいだ。
「津屋崎っ!!…筑穂、大丈夫か?」
「ホナっ!!」
誰もが止めることができなかった動きに、怒号が飛び交う。
筑穂は痛みも感じられないくらい呆然とした。何が起こったのかも分からなかった。
膝をついて抱き起こしてくれる大野城の背中の向こう、悔しさを滲ませた穂波の表情が見えるだけだった。

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コメント

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兄ちゃん!
コメントちー | URL | 2012-06-18-Mon 03:41 [編集]
兄ちゃん、叩かれた・・・
穂波、手が早すぎだよー。

兄ちゃんも頭ごなしに反対しないの。
もう、高校生。
まだ、高校生って思ってるけどさあ。
案外、大人ですからね。
パン屋パパとは意気投合できそう(笑)


トゥルトゥルトゥル♪

「あ、隊長?兄ちゃん、穂波に叩かれて呆然としてますけど。センセー的にはオイシイかもな展開です。
え?なんですか?
穂波とパン屋さん、どっちが上か?
歳はー、パン屋が七つ・・・
え?え?そんなん聞けません!あ、福智だあ。じゃ、隊長!またねっ」
Re: 兄ちゃん!
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-18-Mon 07:27 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 兄ちゃん、叩かれた・・・
> 穂波、手が早すぎだよー。

血気盛んもここまでくると…。
お兄ちゃんの育て方は間違えていないはずなんだけど…。

> 兄ちゃんも頭ごなしに反対しないの。
> もう、高校生。
> まだ、高校生って思ってるけどさあ。
> 案外、大人ですからね。
> パン屋パパとは意気投合できそう(笑)

感情、むき出しにしたことは反感買いましたね。
大人と付き合って、自分は大人だと思いこんでいたところもあるでしょうし。
思考はお兄ちゃんを見ているからしっかりしていると思いますよ。
パン屋パパと秘密裏に何か結託するんですかね…。

> トゥルトゥルトゥル♪
>
> 「あ、隊長?兄ちゃん、穂波に叩かれて呆然としてますけど。センセー的にはオイシイかもな展開です。
> え?なんですか?
> 穂波とパン屋さん、どっちが上か?
> 歳はー、パン屋が七つ・・・
> え?え?そんなん聞けません!あ、福智だあ。じゃ、隊長!またねっ」

あっΣ (゚Д゚;) 福智…忘れてた…。
隊長は何を聞けと指令を出したんだろう…。
こめんとありがとうございました。
ほなみ…(-。-;
コメントはるるん | URL | 2012-06-18-Mon 07:49 [編集]
いつも楽しく読ませて頂いています(#^.^#)
初コメの為、何かお作法が違ってるかもしれませんが、暖かい目で見てくださいm(_ _)m

筑穂かわいい、って思ってる長女目線からいうと、穂波そりゃ反対されて当然だと思っちゃうよ~
「お前の決めたことなら」って許してくれる親はいないって~
愛情あるから、反対してくれてるのよ?
もう大人っていうなら、ちゃんと手順ふまなくちゃ~
かほちゃんのことお兄ちゃんに丸投げして家出てくのもどうかと思うよ~自分は浮羽さんとラブラブするのに、筑穂はあと5年は子育てだもん。大野城先生が同居してくれたとしても、それは結果オッケーなだけだもんね。
ちゃ~んと話し合いで筑穂納得させてね?
Re: ほなみ…(-。-;
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-18-Mon 10:20 [編集]
はるるん様
こんにちは。
初コメありがとうございます(*^_^*)

> いつも楽しく読ませて頂いています(#^.^#)
> 初コメの為、何かお作法が違ってるかもしれませんが、暖かい目で見てくださいm(_ _)m
>
> 筑穂かわいい、って思ってる長女目線からいうと、穂波そりゃ反対されて当然だと思っちゃうよ~
> 「お前の決めたことなら」って許してくれる親はいないって~
> 愛情あるから、反対してくれてるのよ?
> もう大人っていうなら、ちゃんと手順ふまなくちゃ~
> かほちゃんのことお兄ちゃんに丸投げして家出てくのもどうかと思うよ~自分は浮羽さんとラブラブするのに、筑穂はあと5年は子育てだもん。大野城先生が同居してくれたとしても、それは結果オッケーなだけだもんね。
> ちゃ~んと話し合いで筑穂納得させてね?

絶対に納得なんかしてもらえないですよね~。
筑穂にしたら、年が離れていて、親代わりに育てているんですから尚更。
突拍子もなく湧いた話に、ハイハイ、なんて二つ返事はできませんって。
そこを大野城先生、どうとりなしてくれるのかしら。
嘉穂の子育てに関しては…。きっと筑穂の性格からして、穂波には負担掛けたくないっていう長男根性があると思います。
家を出ていくことはすでに想定内(?)なのでしょうが…。
でもやっぱり三人で仲良く暮らしたい気持ちはあるんだろうね~。
自分の幸せを棚上げした筑穂だからこそ、すり寄って(?)くる人がいるのだと思います。
筑穂の納得を得られるでしょうかね。
コメントありがとうございました。
No title
コメントけいったん | URL | 2012-06-18-Mon 12:27 [編集]
『な・七つ上!あの容姿でか!!』
「でも な~んか、可愛いっすよね♪」
『で、筑穂とは幾つ違うんだ?』
「伊吹隊員の調査資料によりますと、筑穂の方が三つ上の27才だそうです」
『24才の浮羽もだが、筑穂も年齢の割には かわいいよなぁ~♪』
『所で 伊吹隊員は 今 何所に居るんだ?』
「はぁ...営業するって パン屋の前で ウロウロ~」
『そんな目立つの所にか!早く 呼び戻せぇーー!』
「「「隊長~アイツはムリっす」」」

年上の浮羽を しっかりと受け止めいる穂波
でも ・・・は、<攻め>でしょうねヾ(@▼ω▼@)イヒヒ・・
如何しても 親の立場で見ちゃうから 筑穂の味方になっちゃうなぁ~私。
ウロウロ~((( ̄ー ̄)))←営業中~ウロウロ...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-18-Mon 13:56 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 『な・七つ上!あの容姿でか!!』
> 「でも な~んか、可愛いっすよね♪」
> 『で、筑穂とは幾つ違うんだ?』
> 「伊吹隊員の調査資料によりますと、筑穂の方が三つ上の27才だそうです」
> 『24才の浮羽もだが、筑穂も年齢の割には かわいいよなぁ~♪』
> 『所で 伊吹隊員は 今 何所に居るんだ?』
> 「はぁ...営業するって パン屋の前で ウロウロ~」
> 『そんな目立つの所にか!早く 呼び戻せぇーー!』
> 「「「隊長~アイツはムリっす」」」

年がばれました~。
でも筑穂も浮羽も年齢を感じさせない若さをまとっているようです。
隊員も惑わされ…(←え)
そこに保険社員も加わってあれこれ…。

甲賀「っざけんなよ~っ、時間がい営業って」

> 年上の浮羽を しっかりと受け止めいる穂波
> でも ・・・は、<攻め>でしょうねヾ(@▼ω▼@)イヒヒ・・
> 如何しても 親の立場で見ちゃうから 筑穂の味方になっちゃうなぁ~私。
> ウロウロ~((( ̄ー ̄)))←営業中~ウロウロ...byebye☆

大きくなった穂波なんだけど…。
穂波は<攻め>なんでしょうね…。若さでがっつり…。
けいったん様までうろうろ~っ。
ル○バに盗聴器とかカメラはついていなけど…。
コメントありがとうございました。
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