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BLの丘
待っているよ 16
2012-06-13-Wed  CATEGORY: 待っているよ
翌朝、穂波はいつもの時間に出た。
個人的に連絡を取ったのかどうかまで聞く時間は…、慌ただしくかきこんでいく時間にはなかった。
朝練に戻ったのだと、ホッと一息ついた筑穂だったけど…。

翌日、社員のみんなに迷惑をかけたことを謝罪し、そしてまた今日も諸事情ありで早く帰ることを詫びると、「心配ごとがなくなったほうが良い仕事ができるよ」と励まされたくらいだ。
皆の温かさに、心底、悩み事の早期解決を誓った。
休憩時間、福智と一緒に社員食堂で食事を摂りながら、昨日起こった出来事の愚痴をもらした。
福智は「パン屋?いーんじゃね。何を反対する理由がある」とやはり筑穂を咎めてくる。
「筑穂だってプログラム好きが高じて今の仕事じゃなかった?」
「そうなんだけどさ…」
「ほーんと筑穂って細かいことにこだわるよなぁ。まぁ、仕事の上ではその細かさに助けられてるけど」
「進学してくれるだけ良いって受け止めるべきなのかなぁ」
溜め息混じりにポツリポツリ呟く筑穂に、正面からもっと盛大な溜め息が吐き出される。
「あのさぁ、世の中で働いている全部の職業の人間、馬鹿にしてる?」
「え?」
「どんだけの人間が誇り持って働いてると思ってんの。そこに学歴、関係ありかよ。親心も混じっているのかもしれないけどさ。歳が離れているのもあるんだろうけど、干渉しすぎじゃね?もう、高校生だろ」
「まだ高校生だよ…」
「そこがさぁ…。自分の過去を思い出せよ。進路決めたのはいつだよ。高校生の時だろうが。好きな学部に進んだんだろうが」
「あー…」
思いっきり真実を突き付けられて、忘れていた時代を振り返った。
両親は筑穂の意見に反対することはなかった。それこそ、希望通り進ませてくれたのだ。
筑穂はしみじみと自分の言動を反省した。親が生きていたなら、筑穂の時と同じように、何も言わず見守ってくれたことだろう。
やりたいと思うことを見つけられたことは喜ばしい出来事であり、歓迎することだったのだろうか。
だから大野城も香春の母も、筑穂の考えを否定した。
その件は筑穂も今更蒸し返したいわけではなく、この場では単なる愚痴だったのだが…。

「ま、ちゃんと話してさ。納得いくように解決しろよ」
福智にまで説得をされて、一番の問題はまだ他にあると、相談…というか意見を求めるものが続いた。
「卒業したら学校以外でも修行したいから家を出るって、どう思うよ…?」
「勉強熱心だねぇ。マジ、真剣に考えてる証拠じゃん」
「真剣に考えている相手が違ってるんだけどな…」
「は?」
筑穂の意味あり発言に、福智がなんのことだと更なる詳細を求めてくる。
同い年ということもあって、普段から仕事以外の会話も多くて、恋愛事情も話しやすいのかもしれない。
「なーんか、想う人に触発されたらしい。その人の影響。一緒に住むって今から息まいているよ」
「うわっ、すげっ。ってことは社会人かよ。積極的だね~。奥手な筑穂とは対照的だな」
目を見開いた福智に評価された筑穂は、少々納得いかない発言に眉間を寄せる。
学生時代は機械に溺れ、就職して間もなくして両親を亡くしたことで、生活に追われて確かに恋愛ごとは無縁だったかもしれないけれど…。『奥手』とは違うだろう。
そして思い出した大野城の存在。
今後、どんな付き合いになるのか…。大野城は「子育てを一緒にしていこう」と言っていた。
いわゆるプロポーズであり、頷いた筑穂はそれを受け入れたことになる。まさに超高速で。

「別にそんなことないと思うけど…」
「えー、そうだろー。筑穂から色恋沙汰の話なんて聞いたこともねぇけど」
「……」
黙ってしまった筑穂に、どこか噛み合っていない会話のズレを感じ取られてしまう。正確には動揺を浮かべておろおろした筑穂のいつもと違う反応に、福智が知っていた筑穂の生活に変化があったのだと悟られたのだが。
明らかに驚愕した態度で筑穂に詰めよってきた。
「えーっ?!何、それっ?!いつからっ?!」
「い、いつ…って…」
もっと慌てふためく筑穂を見ては、確信を得ていた。今更隠して引き下がってくれる性格ではない。
大野城のことを伝えてしまってもいいのだろうか…。
それも一日の出来事として…。
確実に相手がいると勘繰られた筑穂はますます口籠って福智の不満を買った。
「ふざけんなよーっ。家族のこと考える筑穂に負担かけないように黙ってきたっていうのにっ。もう少し落ち着くまでって待ってたのにっ」
「へっ?!」
思いがけない発言には筑穂のほうが目を見開いた。
福智の爆弾発言は止まらない。
「筑穂っ、そいつに会わせろっ。納得いかねぇ。…あーっ、くそぉ。昨日、そいつに泣きついたのかよっ?!やっぱ一緒に帰れば良かった~っ」
社内にいたとき、真っ先に弱音を吐いたのは福智だった。福智にしてみたら優先順位は自分にあると思っていたのか。
まるで見ていたかのように筑穂の行動を振り返られて、甘えた一面を思い出せば赤面もする。
そこは筑穂の性格を良く知りつくしている。
より一層福智の機嫌を悪くするだけだった。
「どこのどいつだっ?!”癒して”オーラ撒き散らして、騙されてるんじゃねーのかよっ」
そんな話は昨日も話題に上りはしたが…。筑穂は結局福智たちがいう自分の違いを理解できていなかった。
そのオーラとやらをいつから福智たちに感じさせていたのかも謎である。
いつもと変わらない、普段通りの自分だと思っているのに…。
福智のほうが何か勘違いしているのではないだろうか。
「とにかく、会わせろっ。真実を見極めてやるっ」
「そんなこと…。大丈夫だよ、学校の先生だし…。騙したりとかは…」
「先生っ?!それも昨日からっ?!筑穂、それこそ一時の気の迷いだっ。目ぇ覚ませっ!!」
言葉の端々から状況を読みとられ、筑穂は返せる言葉を思い浮かべられなかった。
学校の先生との接触などそう多くあるものではなく、急に態度が変わった筑穂を見れば、昨日の一件が多大なる影響を及ぼしているのだと察知するのは当然のことなのか…。
でも『お付き合い』とは突然始まるものなのではないか…などと思っていた筑穂は、やはり恋愛事情には疎い頭なのかもしれない。

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コメント

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ふふふ
コメントちー | URL | 2012-06-13-Wed 04:57 [編集]
兄ちゃん・・・
やはり、モテるんだね( ̄ー ̄)

福智が逆転ホームラン打てる日は来るのだろうか?
余裕なセンセー(なのかな?)を焦らす存在になってくれ~。

それにしても、兄ちゃんの周りは良い人ばかりだね。
悪いことは悪い、良いことは良いって言ってくれるような人達。
きっと、パン屋さんも良い人だよ、兄ちゃん。

隊長!兄ちゃんの同僚くんも兄ちゃんが好きな様子です。
三角関係になるのか引き続き監視します♪
Re: ふふふ
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-13-Wed 07:43 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 兄ちゃん・・・
> やはり、モテるんだね( ̄ー ̄)

にぃちゃん、モテますよ~。
"癒し系"ですからね。
そんでもって自分も振りまいて、放っておけない存在に位置付けてしまう…。

> 福智が逆転ホームラン打てる日は来るのだろうか?
> 余裕なセンセー(なのかな?)を焦らす存在になってくれ~。

先生はどっしり構えている感じですからね。
そこに寄りそっちゃった筑穂を知っては、福智も焦るのでしょう。
どっちが先に踏み込んだかの違いがあったとしても…。
こちらも対照的なふたりですね~。

> それにしても、兄ちゃんの周りは良い人ばかりだね。
> 悪いことは悪い、良いことは良いって言ってくれるような人達。
> きっと、パン屋さんも良い人だよ、兄ちゃん。
>
> 隊長!兄ちゃんの同僚くんも兄ちゃんが好きな様子です。
> 三角関係になるのか引き続き監視します♪

筑穂の性格もあるんでしょう。寄ってくる人の良さって。
それは確実に弟にも受け継がれていると思います。
となれば、穂波に寄ってくる(寄られた?)パン屋さんも良い人だよね~。
シークレット部隊、ふぁいとー♪
コメントありがとうございました。

No title
コメントけいったん | URL | 2012-06-13-Wed 10:34 [編集]
ライバル、キタ ━━━ヽ(´ω`)ノ ━━━!!
そうこなくっちゃ面白くない♪
大野城より筑穂を知っている(?)福智の方が有利か!?

「隊長!ちー隊員から報告が!」
『おぉ~あの優秀な隊員か♪』
「福智が名乗りを上げた模様です!」
『筑穂はモテルなぁ~儂だって 若い頃は・・・』
「隊長?」
『...(* = =) トオイメ。o〇○ポワァーン♪』
「「「隊長~~っ!」」」

(-ω- )o< フムフム、ナルホド♪
さぁ 掃除の続きを・・・何これ?
イラネッ(゚Д゚=)ノ⌒□←表札...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-13-Wed 13:46 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> ライバル、キタ ━━━ヽ(´ω`)ノ ━━━!!
> そうこなくっちゃ面白くない♪
> 大野城より筑穂を知っている(?)福智の方が有利か!?

来ました~。
一緒に働いていっぱいお話もしてきた仲だもんね~。
長いこと気づかなかった筑穂が悪い(←)
疎い筑穂が比べるところはどこでしょうか~。

> 「隊長!ちー隊員から報告が!」
> 『おぉ~あの優秀な隊員か♪』
> 「福智が名乗りを上げた模様です!」
> 『筑穂はモテルなぁ~儂だって 若い頃は・・・』
> 「隊長?」
> 『...(* = =) トオイメ。o〇○ポワァーン♪』
> 「「「隊長~~っ!」」」
>
> (-ω- )o< フムフム、ナルホド♪
> さぁ 掃除の続きを・・・何これ?
> イラネッ(゚Д゚=)ノ⌒□←表札...byebye☆

「「「隊長は今も現役ですから~~っo(^-^)o」」」
『おうっ。じゃあ、今夜は出かけてくるか~』
「「「ちー隊員だけに任せず調査ですか?」」」
『…いや…、俺だけで…。"現役"なんでナ…』
「「「現役隊長?どちらへ?」」」
「隊長~っ、俺も一緒に行きます~」(←書類どっさり)
「ざけんなーっ。何時まで営業する気だ―っコッチコッチィ ヽ(*゚□゚*)-C<ミ:O)ノノ-<…マッテヨォ」

表札、捨てられちゃったからね。
新しい営業先、探すんですかね…。
コメントありがとうございました。
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