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BLの丘
待っているよ 11
2012-06-08-Fri  CATEGORY: 待っているよ
新記事にあがったってことで…。このまま記事、上げときます。
って…今、気付いたんだけど。
何度足踏みさせた方には本当に申し訳ありませんでした。




「俺、出る」
立ち上がった穂波には、兄を気遣うのか、それともこの空気から逃げる意味もあったのだろうか。
ピンポンの音に、食べている最中でありながら穂波が席をたった。
筑穂も不安を抱えて視線を背中に投げ続けたが。
玄関を開けた途端に叫ばれた穂波の声に、どうしたのかと慌てて玄関口に走り寄った。
「てめーっ、何してんだよ―っっ」
「お兄さんと話をするためにな」
「あ、せんせ…」
穂波の後ろから寄ってしまった。
昼間、別れたはずの大野城がコンビニの袋を手にして立っていた。
わざわざ現れた存在そのものを怪しく思ってしまいたくなるのは確かだが…。

「話~っっっ?!」
訝しがる穂波を通り越して「こんばんは」と人付き合いの良い笑みが筑穂に届いた。
穂波の考える進路などは、大野城を介して筑穂を説得するとは聞いた話であったけれど…。
今日とは、筑穂も穂波も意外だったと言うしかない。善は急げ…なのかもしれないけれど…。
「はい…」
何とも味気ない答えが返されてしまったが、嫌うわけではない。
せっかく来てくれたのだとは充分なほど知れた。
いつまでも玄関に立たせるのはいかがなものかと思わず上がることを進めてしまう。
「あの…散らかっていますけど…どうぞ」
「いい匂いがしてますね。夕ご飯でしたか?」
突然現れた存在に、家庭訪問となってしまった今、納得がいかない穂波であったが、玄関先で済まされる内容ではないと了承している所もあるらしい。
筑穂が招き入れる態度に、続かれる文句はなかった。
突然の来客に驚くこともなく、嘉穂はマイペースでチキンを頬張っていた。
「ほらくんのおにぃちゃん?」
「ばかっ、先生だっ。挨拶しろっ」
先輩、という単語も知らないのか、言葉数の少なさに、そしてのんびりとした態度に筑穂が慌てて訂正の言葉を促すのだが、大野城は慣れた態度で「かまいませんよ」と全てを受け入れてくれた。
そのあたりは、いかようにも生徒を扱ったおおらかさなのか…。
何故、突然の家庭訪問なのかは、この際、胃袋を満たされた嘉穂にはどうでもいい件らしい。自分は関係ないことも多分にある。
大野城の持ってきてくれたコンビニの袋の中身は、ビールのパックだった。
さすがにそれを弟たちの前で出す気にもなれず、またそれは大野城も理解することのようである。
冷蔵庫の中にしまうよう、そっと促されて、食事風景を前に筑穂は尋ねていた。

もともと座卓は家族5人が座れる大きさがあるものだった。両親が亡くなって3人が使うスペースは真ん中だけで、広げたとしても充分足りている。
今は嘉穂と穂波が並んで、向かいに筑穂が座っている。
空いた筑穂の隣に大野城を進めた。
「先生、ご飯は…?」
「あぁ、実はまだでして…」
「タダメシ食いに来てんなよっ」
筑穂の問いかけに素直に答えられ、邪魔だと言わんばかりの最近の子らしい穂波の態度に、筑穂は咎める仕草を見せながら「今日は作り過ぎちゃったから」とそっと穂波を制する。
穂波も嫌味を言いつつ信頼があるのは会話の端々で感じられることだった。昼間見せたような、キツイ態度には出られなかったことでホッとしてもいた。
大野城に対して息をつくのがなんとなくしれてしまった。
素直に文句が言えるのも親しみがあるからだろう。
担任としても顧問としても、筑穂とは違った意味で、気を許せている存在なのだろう。
筑穂は何も気付かないふりをして、「たいしたものはありませんけれど、一緒にどうですか」と晩餐に誘った。
大皿によそった料理はそのまま。新しく用意したご飯と汁物を準備し、座卓を囲む。
「手料理なんていいなぁ」と素直に喜びを表してくれる態度に、筑穂も胸を撫で下ろしていた。

何か言いたい雰囲気はずっとあるけれど、やはり嘉穂の手前なのか、筑穂と穂波の合図があるまで世間話で誤魔化してくれた大野城だった。
話題の豊富さはさすが教師である。
バクバクと茶碗の中身を平らげていく姿に感心しつつ、まだ衰えていない肉体に目を見張った。
育ち盛りの弟だけでなく、気持ちいいほどに空っぽにしてくれる姿は、ある種の喜びである。
今日は手の込んだ料理だったからかもしれないが。
「センコーっ食い過ぎっ」
「あぁ、美味すぎてな…」
「ほなっ、先生にむかってっ」
「でも今日のにぃちゃん、なんでこんなうまいの?」
「おにぃちゃんだってやるときはやるんだよなぁ」
咎める筑穂は無視され。また今更気にしないといった受け答えで嘉穂とやりとりをする。
しっかり生徒との距離感を掴んで馴染んでいる人間関係には感服する。嫌味もなく溶け込んでくれていることに筑穂の冷や冷やした心も和んでいた。
全ての人間に対して褒め言葉を忘れないことも、聞いている方としては安らぎを持ってしまう。たとえどのような言葉でも自分の存在を認めてもらえる台詞は喜びになる。
硬かった家の中の緊張感が解けていった。

その時、嘉穂の携帯電話が鳴って、皆の会話が一時中断された。
「あ、かわらぁ。…え?問題5?…やってないからちょっとまってて。にぃちゃんに聞いて後で電話する~ぅ」
その内容は相変わらず宿題の確認のようだった。
周りを全く気にせず、バタバタと階段を駆け上がっていった存在は、その勢いで飛び降りてきた。
「にぃちゃん、問い5~ぉ」
どう見ても白紙の宿題プリントは宿題をやったようには見えない。
夕食の前に宿題をするように促しても、寝癖のあとから、ひと眠りしていたのは明らかな事実。
何より、自分で考えようという努力はないのか…。
「嘉穂っ、にぃちゃん、洗いものするから穂波に聞けっ」
「うるせーっ、自分の勉強くらい自力でやれよっ」
勉強嫌いな穂波が万が一間違えた時のプライドをかけて、大人しく教えるはずもなかったが…。
兄弟のみみっちい言い合いに、口を挟んできてくれた人物がいた。
「どこがわからないのかな」
現役教師に中学一年生の問題はひらがなを書くようなものだろう。

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堀を固める教師…( ゚ ▽ ゚ ;)エッ!?

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コメント

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やっぱり
コメントちー | URL | 2012-06-08-Fri 21:02 [編集]
ほらくんのおにぃちゃん?
(この話し方可愛くて一気に末っ子ファン)

兄ちゃんの恋路より、可愛いかわらちゃんと末っ子の恋路が気にな・・・
いやいや、きえさんの負担を増やす気はな、ないからっ。

兄ちゃん、何となくセンセーになついてる気がする。
ね?兄ちゃん。
これで、センセーが穂波狙いなら楽しいなあ。
で、落ち込んでる兄ちゃんを同僚二人が奪い合う。
まあ、違うだろうけどねえ。

今日は、ラッキー。
(きえさん、アンラッキー?)
二回も読めた。
占いは、最悪のちーでした。

Re: やっぱり
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-09-Sat 05:25 [編集]
ちー様
おはようございます。

> ほらくんのおにぃちゃん?
> (この話し方可愛くて一気に末っ子ファン)

舌足らずっぽい嘉穂です。
図体だけはデカくなっているんですけどね~。

> 兄ちゃんの恋路より、可愛いかわらちゃんと末っ子の恋路が気にな・・・
> いやいや、きえさんの負担を増やす気はな、ないからっ。

あぁ、三兄弟シリーズねぇ…(汗)
いろいろ、考えてはいるんですけれどねぇ。
脳みそと手がついてきません…。

> 兄ちゃん、何となくセンセーになついてる気がする。
> ね?兄ちゃん。
> これで、センセーが穂波狙いなら楽しいなあ。
> で、落ち込んでる兄ちゃんを同僚二人が奪い合う。
> まあ、違うだろうけどねえ。
>
> 今日は、ラッキー。
> (きえさん、アンラッキー?)
> 二回も読めた。
> 占いは、最悪のちーでした。

ホントにアンラッキーでした。
一話、どこに行っちゃったんだろう…と。
ちー様の頭の中、すごいなぁ。
センセーの狙いは穂波なのかぁ。
そして失恋しちゃう筑穂?!
えぇ、違いますね(断言)
一日でこんなに引っ張ってるのに~っっっ。
コメントありがとうございました。

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