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BLの丘
待っているよ 10
2012-06-08-Fri  CATEGORY: 待っているよ
筑穂は大野城に宥められて、先に家に帰ることにした。
大野城は勝手に動く筑穂を心配するのか、『浮羽』についての詳細を教えてくれなかった。
だが、見せてくれる表情は、深く心配することはないと告げてくる。
「またゆっくり話しましょう」
大野城は筑穂の背中を見送ってくれた。
他人事…にしてはいないのだろうが、『他人』であることに変わりはない。信頼したいがどこまで見守ってくれる”教師”なのだろう。
今、頼れるものが大野城しかない筑穂には、受け入れるしかないような気がしている。

穂波が真面目に授業を受けている今、ここにいる理由がない。
遅刻の原因も、穂波が何を考えているのかも知れて、納得がいかない部分がありはするものの、あとは話しあいに任せられる。
穂波が帰ってくるまでに、自分の考えをまとめて、冷静に話し合える状況を作らなければならないと思った。
穂波が筑穂や嘉穂を気遣ってくれるのはありがたいが、どうしても筑穂が望むものが優先されてしまう。
何の心配もなく、伸び伸びと学生生活を送ってほしい、とは、自分がそう育ってしまったからだろう。
自分だけが…、両親の愛情を無限に浴びて好き放題やってきた。
成人するときですら親がいた。
でも、弟たちは…。見守ってくれる安心できる存在がいない…。自分が代わりにはなれない…。

決して口にはしなかったが、穂波の胸の内に抱えているものは大きく、筑穂以上にあれこれと考えていた現実を知る。
弟ふたりともそうだったのだろうか。
その第一陣が穂波だったわけだ。
まだ子供だと思っていても、成長していく姿がある。
嘉穂の性問題はまた別として…。
そんなことを考えながら、穂波が『浮羽のために』と言ったことは、”師匠”以上の深い意味があるのだろうか…と辿り着いた。
それこそ、まだ高校生なのに…。
あまりにも早すぎる決断を、早々受け入れ許せるはずがない。それも含めて、穂波が言い出せなかった理由になるのか…。
筑穂の硬い性格を考慮したら、必ず反対されるとは、知り過ぎた兄弟の疎通で分かっていたのだろう。
自分が特定の相手を持っていないぶん、先を越された悔しさも混じっているのかもしれないが…。

「はぁぁぁぁ…」
大きな溜め息をつきながら、夕食作りまでの時間に余裕ができた本日、胃袋を掴むのは自分だ、と変な対抗意識が芽生えて、筑穂はスーパーの片隅に置いてあるメニューカードを手に取り、その通りの食材をこれでもかと買いあさった。
メニューカードは見た目、とても豪華な料理として写っている。
いつも忙しく、手早く作れるものばかりで、見栄えも悪かったし、手の込んだものも作っていない。
残業のある日には穂波に連絡をして、適当に作れるものを指示していたりもした。
塩と胡椒があれば、どうにか味付けができる、と教えたのは筑穂だったけれど…。
何でもいいから食べられればいい連中は、たまごかけご飯で飢えをしのいでいたのか…。そんな悲しい状況すら思い浮かんだ。
穂波が『パン屋』という、食べ物関係に興味を示すのもなんだか分かるような気がしてきた。
その技術を身につけた時、食いっぱぐれることはないのだろう。
などと思いながら、まさかとは思うが…まさかとは思うが…と思考がマイナス方面へと落ちていく。
全ての原因は筑穂の料理の腕のなさ…なのだろうか…。考えれば考えるほど悪い方へと進み、落ち込み度が増していく。
穂波の意識を取り戻すためにも、料理の腕を上げるべきだろうか(←また何か一人勝手な思い込み)。

家に帰って、筑穂は今まで知らなかった食材の仕込みと料理を作りはじめた。
HPの制作など色々と関わったことはあったが、じっくりと料理ページを見たこともなかった気がする。
意外と簡単にできる料理などもあって、主婦のすごさを見せつけられた感じだった。
そして作っていけば、なかなか面白いものなのだと気付いたりもする。もともと、プログラム用語を見つめる、や、バグを探すなどといった細かい作業が好きな性格がある。
弟たちの面倒見の良さも、そんな性格故か…。

滅多に…というより、まず出てこなかったオープンまで飛び出した。
じっくりと焼き上げる行為は、家中に香ばしい香りを漂わせてくれる。
夕方に帰宅した嘉穂は、その香りだけで、何が起こったのかと目を見開いて台所に飛び込んできたくらいだ。
「にぃちゃーんっ、今日早いね~っ」
いつもは一番に鍵を開ける役が、出迎えてくれる存在があることに嬉しさを全開で表してきた。不憫な思いをさせていたのだとは、こんな仕草でも感じてしまう。
半分は料理の香りだろうが…。
それでも侘しい家に帰るより人の温かさがある家のほうが休まるものだろう。
両親が亡くなった頃は、筑穂も家にいた。
そのあと、鍵と携帯電話を持たせたが、淋しい思いをさせたのは嘉穂にも当てはまるのだろうか。
無邪気に笑顔を浮かべる姿に、やはり自分の考えが間違っていたのかと後悔が襲った。
「ご飯は穂波が帰ってきてからな」
「え~~~っ、ほらくん、いつ帰ってくるの~っ?!」
筑穂の提案を聞いては、目の前ですぐにでも食べたい態度を示す嘉穂が少しばかり膨れる。
揃ってから、と言い含めて宿題をするよう、自室に追い出した。
でも家族が揃うことの嬉しさも嘉穂にはあるのだろうか。筑穂の言葉に頷いてくれてホッとしていたりもする。
ところで、穂波は帰ってくるのだろうか…。
一番の心配点である。
大野城は、『平気だ』と見送ってくれたけれど…。

部活で遅くなれば、当然先に嘉穂の食事を済ませた。自分が遅くなれば弟たちは先に終わらせている。
皆が揃っての食事は、もう、最近なかったことなのだと、ふと気付いてしまう。
同じ空間にいながら、時間差で食することは多々あるが、『同じ時間』を味わっているのとは違っている。

筑穂の心配をよそに、穂波は早い時間に帰宅した。
たぶん、大野城のはからいもあるのだろう。
物別れに終わっている兄弟だが、心を割って話せば通じないことはないと…。
自分の意見を押し付けるだけでなく、相手の意見をきちんと聞くことだと教えられていたが…。
硬い表情の穂波にどう声をかけていいのか、筑穂は分からずにいた。

穂波の帰宅に気付いては、ダダダッと階段を駆け下りてきた嘉穂がいた。
「ほらく~んっ。にぃちゃん、なんか、すごいもの、作ったらしいよ~。内緒にして見せてくれないの~っ」
部屋着に着替えた姿には寝癖が見られる。
嘉穂に促されるのか、それとも筑穂の内心を知るのか、穂波はいつもと変わらない平然とした姿で「着替えてくる」とだけ言った。
これが、筑穂の知らない、穂波と嘉穂の二人の姿なのかと、改めて教えられたようで、余計に疎外感が浮かんでくる。
筑穂が仕事でいない間、ふたりの絆はどうあったのだろう…。

朝からの出来事を、嘉穂の前で改めて口にしたくはなかった。
話をしなければならないことは充分承知していながら、どこかで、夢の中の出来事だったのではないかと、逃げたくなっている精神がある。
穂波が家に帰ってきた…。もうそれで充分ではないだろうか…。などと家族の危機を思ってしまう。
釜いっぱいに炊いた混ぜご飯と鍋いっぱいの豚汁、オープンで焼いたタンドリーチキンや蒸した野菜、酢の物や根野菜の煮物。
滅多に出ない腕をふるった証拠は、筑穂の考え込む気持ちを穂波も意味あるものとして感じているはずだ。
だがやはり、嘉穂の手前、口にしないだけだろう。
基本的に料理は大皿に盛られる。
仲睦まじい家族の食風景の中、隠れたピリピリ感があった。
「にぃちゃん、すげぇぇぇ」
唯一、嘉穂の口いっぱいに頬張る元気な声が、その空気をかき消してくれる。

その中、「ピンポーン」と来客を告げる音が、家の中に響いた。

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~ナントカ教室~

久志「えーと、まずは寝技(受身)だけどぉ」(←体育会系頑張る)
佐貫「あぁ、こうだろう」(←なんかプロがいる…)
成俊「…(ぱたん 倒されキョトン)…」
一葉「すごっ…(絶句)」
安住「僕はあんな荒業、使わないけどね」
英人「だからさいしょっから乗っちゃえばいいんだよ」
日野「てめーっなぁっ」
那智「強い…かっこいい…(←変な所に感動した)」
久志「那智~、俺、覚えるから」
那智「速攻)いや、いい。帰ってくんなっ」
久志「シュン。・゚・(ノД`)・゚・。(さっきかっこいって言ったのに…)」
日野「まあまあヾ(- -;)」
穂波「おれぇぇ…(何かを学びたい高校生)」
全員「保護者の許可をとってからにしろっ」(←未成年に少々抵抗がある)
千城「寝技から責めるあたり、心得ているな」(←何をだ)
神戸「特別教室、ひらいてあげるよ~」(←若さに抵抗がない人)
久志「あ、俺も協力するし」(←若者育成に積極的)
日野「やめてくれ~っヽ(‘Д´)ノウワァァン!!」(うちの店の存在価値がぁ…)

ナニ教室?!
穂波、ぜったいにいらないこと教えられるからね…。
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コメント

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No title
コメントmiki | URL | 2012-06-08-Fri 03:33 [編集]
1つ疑問なんですが『想』って何のお店でしたっけ(笑)
確か、最初は普通のバーだった様な気が…。いつから色々な教室へと変更したのか←させられた、という方が正しい?(^。^)

まあ、とりあえず今は穂波がこの教室に入っていらぬ知識(失礼)を教えられない事を祈ってます^_^;
兄ちゃん・・・
コメントちー | URL | 2012-06-08-Fri 04:04 [編集]
兄ちゃん、頑張ってるね。
弟達にも気楽に学生生活を送って欲しいんだよね、兄ちゃんは。

穂波は穂波で、兄ちゃんの負担を減らしたい。パン屋さんの傍で働きたい。←こっちがメインか?

どっちにしろお互いを思っての事。
よーく、話し合ってね。

末っ子の無邪気さが可愛い!
ご飯、美味しい?って聞きたくなる。
頭、ナデナデしたい。いや、すぐ止めろって言われるか(笑)


本当に、『想』っていつから何でも屋さんに?日野君が何でも屋さんだから、仕方ないのかなあ?
で、今回は何の教室?正しい押し倒しかた?なんて(^-^)
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-08-Fri 07:06 [編集]
miki様
おはようございます。

> 1つ疑問なんですが『想』って何のお店でしたっけ(笑)
> 確か、最初は普通のバーだった様な気が…。いつから色々な教室へと変更したのか←させられた、という方が正しい?(^。^)
>
> まあ、とりあえず今は穂波がこの教室に入っていらぬ知識(失礼)を教えられない事を祈ってます^_^;

何のお店でしたっけ~(笑)
いろいろ展開しておりますねぇ。
バーですよ、バー。お酒を出す(知ってるって)ところです。
一葉が入ったので昼間、喫茶店もやってますけど。
いろんな人間が出入りしていますけど、お酒出すところですからね~。
未成年は基本的に出入り禁止でしょう。
神戸と久志にかかったら絶対にいらぬ知識を植え付けられるでしょうね。
お兄ちゃん、間違いなく泡吹いて倒れます。
良い子の穂波ですから~。
コメントありがとうございました。

Re: 兄ちゃん・・・
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-08-Fri 07:20 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 兄ちゃん、頑張ってるね。
> 弟達にも気楽に学生生活を送って欲しいんだよね、兄ちゃんは。
>
> 穂波は穂波で、兄ちゃんの負担を減らしたい。パン屋さんの傍で働きたい。←こっちがメインか?

筑穂は自分だけが親の愛情をあびて成人してしまったことを、重りのように思っているんですよね。
だから弟たちにも、考えることなく過ごしてほしいと願うのです。
好きなように生きたら、穂波はパン屋さんにいきついたのですが…。
お兄ちゃん、納得できていない様子。

> どっちにしろお互いを思っての事。
> よーく、話し合ってね。
>
> 末っ子の無邪気さが可愛い!
> ご飯、美味しい?って聞きたくなる。
> 頭、ナデナデしたい。いや、すぐ止めろって言われるか(笑)

末っ子、コイツも本能のままに生きていますね~。
緊張感のかけらもないって感じで、兄たちを和ませてくれるでしょう。
ナデナデしてやってください。
こっちも心の底では愛情に飢えているかもしれませんので。

> 本当に、『想』っていつから何でも屋さんに?日野君が何でも屋さんだから、仕方ないのかなあ?
> で、今回は何の教室?正しい押し倒しかた?なんて(^-^)

都合良く使われている日野ですが…。何でもできるのか?
でも押し倒し方教室は…。
未来ある未成年に余計なことは教えてはいけませんよね~。
コメントありがとうございました。

No title
コメントけいったん | URL | 2012-06-08-Fri 09:44 [編集]
穂波は ある程度を知ってから 筑穂に話すつもりだったのかもしれませんね。
若いから 思い込んだら 一直線に突き進んでしまったんだろうなぁ~
ただ 朝練だと嘘吐いてたし、遅刻して学業を疎かにしては ダメ!( ̄× ̄)b゙NG!!

筑穂、穂波、そして きっと嘉穂も 思い遣り過ぎて 自身も相手も 知らず知らずに縛っていたのかも・・・
今回の穂波の事で 改めて兄弟の在り方を考え直す時期では?
久し振りに まともにコメを書いた気がするなぁ~(笑)

『-想-』
月曜日・・・お絵かき教室(英人以外はぬり絵?)
火曜日・・・料理教室(日野の邪魔するだけ?)
水曜日・・・陶芸教室(粘土コネコネ~が気持ちいいから♪)
木曜日・・・ファッションショー(着ぐるみパジャマの新作お披露目!?)
金曜日・・・お話し会(恋人との土日の過ごし方を話すだけ?)
なお 月間の行事予定表も毎月末に配られる。

きえ様、↑は合ってる~?
(⌒_⌒)ノ はーい先生♪...byebye☆

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-08-Fri 10:27 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 穂波は ある程度を知ってから 筑穂に話すつもりだったのかもしれませんね。
> 若いから 思い込んだら 一直線に突き進んでしまったんだろうなぁ~
> ただ 朝練だと嘘吐いてたし、遅刻して学業を疎かにしては ダメ!( ̄× ̄)b゙NG!!

ハイ、黙っていたと、いけないことはしていたと気付いているのでしょう。
でもその影で進むべき道を着実に築いていたはずです。
ひたすら向かってしまったところは、まぁ…。
若さって、勢いあっていいですよねぇ。

> 筑穂、穂波、そして きっと嘉穂も 思い遣り過ぎて 自身も相手も 知らず知らずに縛っていたのかも・・・
> 今回の穂波の事で 改めて兄弟の在り方を考え直す時期では?
> 久し振りに まともにコメを書いた気がするなぁ~(笑)

コメント、そんなことないですよ~っ
いつも的を射たコメントを頂いておりました~。
穂波と筑穂はね、新たな兄弟のきずなを築けるかと思います。
嘉穂もね、混じって…。
兄弟の在り方…ウンウン。
久し振りって…まぁ…。

> 『-想-』
> 月曜日・・・お絵かき教室(英人以外はぬり絵?)
> 火曜日・・・料理教室(日野の邪魔するだけ?)
> 水曜日・・・陶芸教室(粘土コネコネ~が気持ちいいから♪)
> 木曜日・・・ファッションショー(着ぐるみパジャマの新作お披露目!?)
> 金曜日・・・お話し会(恋人との土日の過ごし方を話すだけ?)
> なお 月間の行事予定表も毎月末に配られる。
>
> きえ様、↑は合ってる~?
> (⌒_⌒)ノ はーい先生♪...byebye☆

日程表(爆)
あってますよ~っっっっ。
お絵描き教室で書いた絵を褒められ
プレゼントのお料理を作り
記念作品まで作って
ぱじゃま着てパパをお迎え~♪
女子会ならぬお子様会はなにを語っているのでしょう。
このプログラムに他人が入りこまないことを祈りますが…(特に高校生)

コメントありがとうございました。
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