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BLの丘
ふたり 38
2012-05-20-Sun  CATEGORY: ふたり
心配事は多々あるとしても、とにかく休みをどうにかするのが先決だ。
旭が例のごとく緊急を訴えて連休を希望すると、「いきなり何だ?」と訝しそうに見られた。もちろん、来週末という、すぐそこにやってきているスケジュールに、素直に首を縦に振ってくれるはずがない。
相変わらず頭を抱えた所長が、「誰が穴埋めするんだっ?誰がっ?!」と怒鳴る。
休みは基本的に交代制である。他の人間と交渉して交代するということもあるが、今の場合、代替人を旭が用意していないのは火を見るよりも明らかな状況だった。
旭はにっこりと笑いながら、「えーと、…”所長”?」と、そこはほらぁ、と意味を含めて首を傾げて見せた。
いつの間にか身につけた”おねだり仕草”に、所長も二の句を継げなくなっている。
「おまえなぁ…。…仕事をなんだと思ってんだ―っっ?!」
「だぁって急に決まっちゃったんだもんっ。お土産、買ってきますから~ぁ」
「いらんっ」
“知り合った人”と突然同居し始めてしまった旭の勢いに、今後の行動も想像できるのは年の功か、過去の経験か…。
何を言ったところで、話をした時点で確約が取れたと思いこむ旭に言い聞かせる時間も体力も無駄だと判断した所長は、シッシッと追い払うように手のひらを振って、持ち場に戻るよう促してきた。
旭は今にも飛び上がって舞い踊りそうな雰囲気で、にっこりとしたまま仕事を始めた。
感情の起伏の激しい旭が、ここのところ落ち着いた仕事をしてくれている原因がどこにあるのかも想像できる所長である。
少しの間、手がかからなくて済んでいたかと思えば、また嵐を呼んできてくれるのだ…。

旭が帰宅早々、キッチンに立つ信楽に休みが取れた報告をすると、一瞬「本当に?」と疑り深く見られたが、それ以上追及されることはなかった。
自分でも少々強引に話を進めてしまった自覚はある。
でも最終的に所長は納得してくれたわけだし、”すんなりと話が通った”とするべきだろう。
曖昧にされることは嫌うが、旭の誤魔化しに突っ込まれないのを嬉しいと思うのだから現金なものだ。
「じゃあ後で宿泊先を変更しておくよ」
信楽に言われて『温泉=大浴場=衆人環視』という図式が脳裏を占領した。
旭は焦りと、新たな刺激と期待に心臓がドクドクと動いた。
「ね、ね、信楽さん…。でも、あのさ、俺…、その…」
今はチクチクとした僅かな毛が生えている現状を信楽が知らないわけではないし、抱かれるたびに「また伸びたね」と観察もされている。
信楽に見せる分には何も困ることもなかったが、公衆の面前でさすがに晒す気にはなれない。
それでも信楽に言われれば従ってしまうのだろうか…。
「ん?」
信楽は本当に分かっていないのか、分かっていながらとぼけられているのか、手を器用に動かしながら旭の困惑をさらりとかわしてしまう。
「旭は自分の着替えだけ用意すればいいよ。一泊だからあまり荷物もないでしょう」
「うん、そうなんだけど…」
「ところどころ人に会わなくちゃならない時もあるけれど、『アシスタント』として黙って隣にいればいいから」
同行する立場まで作ってくれる信楽に感謝しつつ、旭が言い出すまでこの調子で”温泉事情”には触れないであろう信楽を悟って、おずおずと口を開く。
本当はこんな生活圏の中で、自ら口にするのだって恥ずかしいのに、疑問解決したい気持ちの方が勝っていくのだ。
というより、羞恥を身に浴び、恥じらう態度を見せることで信楽に喜んでもらえるような感覚があった。
「俺、…まだ生えそろってないのに、…温泉…なの?」
ここにきて、何かピンときたらしい信楽は、旭が心配する件を全く気にしていなかった様子だった。
しかし、それ以上の説明を信楽はせず、「旭が嫌だと言うなら変えないけれど」と選択権をこちらに委ねてくる。
今までの話からして、仕事として一人で行くよりも、ふたりして半分観光を交えたい信楽の気持ちは伝わっていて、味気ないビジネスホテルより、風情のある旅館を選択したい意向は理解できていた。
信楽の希望に水を差すようなことはしたくない。
「う、ううんっ。せっかく一緒に行けるんだから…っ」
旭は咄嗟に信楽の意見に従う、と答えを返す。
想像しただけで体が熱くなるのを抑えるほうに必死になり始めた。
そこに待つのは、もちろん経験したことのない興奮だった。

日々は単調なほど同じことを繰り返して過ぎていく。
旭の頭の中は常に…というくらい、旅行に向けて頭の中がバラ色に染まっていた。
もちろん最大の悩める点は、大浴場のことだったのだけれど…。
旭の羞恥を煽って、より一層昂らせて極めさせてくれる術は信楽ならでは、である。
いろいろな感情が合い混ぜになって、非日常を味わうような世界は、旭を虜にしていたといってもいい。
だからこそ、更なる”何か”を求め、次々とエスカレートしていくのだろうか。
少しばかり耳にしたことのある話を、いざ自分が体験するのだと思うと、いかほどの感情が湧き起こり、旭と信楽の絆を深めるものになるのかと想像する。
醜態を晒す、それですら、相手に全てを預けた証となった。
一つ一つの行動が絡み合って、旭が見せる反応を信楽が楽しんでいる。
余裕があるのは信楽のほうで、どうしたって旭では敵わない力関係も、旭を支配していくものとして刺激してくれた。

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お休み中もポチしてくださりありがとうございました。
まだ定時更新には戻れないかもしれませんが、ボチボチ書いていきます。

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コメント

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わあい
コメントちー | URL | 2012-05-20-Sun 20:44 [編集]
きえさん、お帰りなさい。
ちょくちょく覗いてましたよ。
で、佳史、望をお復習してました。
あと、千種(笑)
嫁になると強くなるんですね。あは!

可愛い旭もどうなるんだかねえ。
とりあえず、温泉でイチャイチャしやがれ、このヤロ―(^-^)

私が旭の上司なら絶対休ませないわ。
ふふん。
Re: わあい
コメントたつみきえ | URL | 2012-05-21-Mon 07:06 [編集]
ちー様
おはようございます。

> きえさん、お帰りなさい。
> ちょくちょく覗いてましたよ。
> で、佳史、望をお復習してました。
> あと、千種(笑)
> 嫁になると強くなるんですね。あは!

おーっ!!
お時間の無駄を(笑)
千種は強くなりましたね。
こちらも甘やかす旦那がいるから~。

> 可愛い旭もどうなるんだかねえ。
> とりあえず、温泉でイチャイチャしやがれ、このヤロ―(^-^)
>
> 私が旭の上司なら絶対休ませないわ。
> ふふん。

強引に休みをもぎ取る旭です。
紐で会社にくくりつけておかないとね。
勝手に休んじゃうから(笑)
何かを仕組んでいるっぽい信楽が怖いです。
でも旭が喜ぶことなんでしょう。
コメントありがとうございました。

良いな
コメントちー | URL | 2012-05-21-Mon 22:46 [編集]
おー、温泉つきかあ。
良いな、旭。
なんか、愛されてるね。
ふーん。
早く、番外編になれば良いのにっ←え?

信楽さんに何されちゃうのかなあ?
旭も楽しみみたいだけど、私も楽しみ~。
大浴場ね・・・・フッ。
Re: 良いな
コメントたつみきえ | URL | 2012-05-22-Tue 07:08 [編集]
ちー様
おはようございます。

> おー、温泉つきかあ。
> 良いな、旭。
> なんか、愛されてるね。
> ふーん。
> 早く、番外編になれば良いのにっ←え?

( ゚ ▽ ゚ ;)エッ!!番外?! (←)

温泉付きのお部屋にご案内されました~。
信楽の愛情の表れですかね。

> 信楽さんに何されちゃうのかなあ?
> 旭も楽しみみたいだけど、私も楽しみ~。
> 大浴場ね・・・・フッ。

なんだか期待されていますね~。
何も起こりませんよ~。きっと。
すっかり信楽仕様になりつつある旭です。
ふたりして楽しめばいいさ(///∇//)
コメントありがとうございました。

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