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BLの丘
ふたり 18
2012-04-27-Fri  CATEGORY: ふたり
旭がしがみついて離れないことを、信楽は特に嫌がってもいないようだった。
そっと撫でてくれる手のひらが全てを物語っている。
嫌われていない様子は感じられるのに、躊躇う心が掴めない。
どうして旭のように、思いの丈をぶつけてくれないのだろう。
『旭を傷つけないように』…。その気持ちは分かっても、いつまでも本音が晒せなかったら、ずっと長い人生、溜めこむばかりの生活になってしまうだろう。
それこそが、伊吹との生活の二の舞になる。
「信楽さん…、俺のこと、しかって…。我が儘だとか、うるさいとか…」
きっと旭が発した言葉で傷ついたこともあっただろうに、信楽はそのことを責めてはこなかった。
それどころか『正直な子』と褒めたくらいである。
懐の大きさというのか、温かさにいつもジーンとさせられ続けてきた。
その合間にふと漏らされる信楽の笑い声や言葉は本音のものだった。
最初『可愛い』と言われることを嫌うと告げたはずなのに、ポロリと零れるのは、無意識の本心から出たものだと思ってしまう…。
そんな”無意識の本心”を言える相手でいたい。

信楽は旭の甘えに、「できるかな…」と小さく声を上げた。
それは、過去、伊吹に何も言えなかったことにつながるのだろうか。
それだけ思われていると自惚れてもいいだろうか…。
旭は顔を上げる。困ったような笑顔は相変わらずだが、体に触れる手のひらの温かさと同じように、受け入れてくれる表情が見えた気がした。
「信楽さん…」
一瞬の戸惑いが信楽に浮かんだ。だが、旭の不安を汲み取ってくれたのか、ふわりとした笑みに変わっていく。
「こんな可愛い子に、何事でも『叱る』なんてできないけど…」
「そこっ!信楽さんのいいところでもあり、悪いところでもあるからっ」
気に入ってくれていることが感じられれば、尚更旭の機嫌は上昇していく。
同時に漏れるのは、逆に信楽を叱りつける言葉だった。
旭がはっきりとした物言いをすることを嫌われていないと感じられるから、すんなりと本音がすべりおちていく。
信楽はふっと笑った。
「『悪いところ』…か…。…そうだね。…叱れないけれど、注意はしようか…」
そっと囁かれるように舞い降りた言葉は、旭をあっというまに天国に導いた。
瞬きを数度繰り返して…、言葉が出ない時間が、珍しく数秒続いた。

「それ…って…?」
ようやく確認するかのように発せられた呟きに、相変わらずのふわりとした笑みが続く。
「旭は素直でいい子だよ。決して黙ることのない性格は俺に気付かせてくれることも多いし、その元気にこちらも生きるパワーをもらえる。こんな子がそばにいたら、毎日、賑やかで楽しいだろうね」
なんとなく濁されている感じは否めないが…。
ストレートに物事を語らないのは信楽の性格なのだろうか。
「俺、付き合える?信楽さんのそばにいてもいいってこと?」
「…正直、まだ、俺自身の気持ちがはっきりとしていないところはあるんだけど…。真剣な旭を曖昧にするのは良くないよね」
「いいよっ、いいっ!!多賀さんとだって体から始まったって聞いたし、俺ともそうやって馴染んでいってくれたらいいっ!!」
旭の台詞には、さすがに信楽の笑みも消えた。
それから、呆れたような困惑したような、笑みと溜め息が漏れた。
「本当に、君は…」
旭は咄嗟のことに、何を口走ったのかも理解できていない。
見つめる瞳が珍しく真正面から注ぎこまれているような気がした。
昨日の、今朝の、…名残が旭のなかに渦巻く。
本能のままに『雄』の姿を見せて、旭を腕の中に抱いてくれたこと。ありのままを晒してくれたこと…。
何もかもが喜びになっていく。

旭は瞳を合わせたまま、また「今日も抱いて…」と強請った。
この部屋に来た時には拒まれたような態度が見えたが、今は違っているはずだ。
静かに近付けた唇、触れあわせるだけの唇も、信楽は受け止めてくれる。
背に回った手のひらにも力が入ったように感じる。
「信楽…」
触れあわせる僅かな隙間で囁いた相手の名を、飲み込むように信楽の口が開いた。
自然と流れ込まれる、そして絡ませられる舌先。
信楽の抱えたしがらみを全て取りはらってやりたいと、旭は信楽が夢中になれるような態度に出たいと、体を乗り上げる。
膝の上に跨り、より一層の密着をはかった。
躊躇いが消えた信楽の、包み込んでくれる腕の強さを感じて、その逞しさに旭はますます堕ちた。
ふわりと笑った先。
「"ノー残業デー"なんて嘘だろ。お仕置きはしてあげないとな…」
公私混同するなとはすでに言われたこと。
『嘘はつかない』と言ったはずの旭の”嘘”が、早速バレた瞬間でもあった。

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いよいよっヽ(゚∀゚)ノ?!
信楽、結構鬼畜だったりするのかしら…?!

私、黄金の中にどっぷりつかりそうです。おぼれなきゃいいけど…。
少し浮き上がり書けたらいいですが、浮きあがれなかったら、次の更新が2週間後でも許してください。
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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-04-27-Fri 15:44 [編集]
「何だかなぁ~」by阿藤さん風で♪
信楽~さ~ん
旭の勢いに流されちゃえば いいのに!

伊吹には 身も心も溺れてただけ 怖いの?

私も 後押しキック~ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛Σ(:ノ´ェ`)ノ...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-04-27-Fri 16:42 [編集]
けいったんさま~。
こんらちは~。

> 「何だかなぁ~」by阿藤さん風で♪
> 信楽~さ~ん
> 旭の勢いに流されちゃえば いいのに!
>
> 伊吹には 身も心も溺れてただけ 怖いの?
>
> 私も 後押しキック~ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛Σ(:ノ´ェ`)ノ...byebye☆

まだまだ脅えているところがあるような信楽です。
新しい恋愛、怖いのかなぁ。
だけどそれも旭の勢いにほだされていくでしょうか。
淋しい気持ちをかかえていたのは信楽も、なのだと思いますからね。
その隙間に少しずつ塩水(あ、ちがう、温泉…)を流し込んでいただきたいものです。

けいったん様にもキックもらったぁぁぁぁ。
頑張ろうね、信楽ヽ(゚∀゚)人(゚∀゚)ノ(←え?誰?
コメントありがとうございました。


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