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BLの丘
ふたり 9
2012-04-18-Wed  CATEGORY: ふたり
仕事で会えないなら、せめて一日一回のメールで会話でもしよう、と旭の気分の切り替えは早かった。
『会う』こと以外の話で信楽のことを聞いていけばいいし、自分のことを知ってもらえばいい。
顔が見えないから真相ははかれないけれど、少しずつでも読み解いて核心に迫っていくことは可能だろう。
あとは返信があるかどうかなのだが…。
また会えることを楽しみにしていることと、仕事頑張ってください、と、またメールします、と簡潔な文を送った。
きっとこれに返ってくるものはないだろう。そう思いながらため息とともに携帯の画面を閉じる。
だけど、”またメールする”の一文に、今後の着信を嫌わないで、と願いが込められた。
時間が開いても返信をくれた信楽に、感謝すべきなのだと思う。
それを待つ時間を、イライラより、ドキドキワクワクに変えられるだろうか…。
案の定、その日、信楽から続くメールは返ってこなかった。

夜、仕事が終わった後に信楽とメールをする日々が続いた。
思いの外、信楽は嫌がっていないようで、二、三度往復があったりする。
時間があいても返ってくることに大喜びし、…だけど、最終的に返信がないことで今日一日の”会話”が終わることを感じた。
内容は他愛のないものばかり。
だが、信楽の私生活を探れるものに違いはなかった。

ある日は、『今日も夕食はコンビニ弁当です』と送ると『栄養は大丈夫?』と心配され、『浅井さんは?』と尋ねたことにダイニングテーブルに並べられた数々の料理の写メが届いて感激したものだ。
そしてその料理を何より食べてみたかった。
速攻で『うまそうっ』と送る。そこに返信はなかったけれど、不思議と、ふわりと微笑んでいる信楽の姿が浮かんだ。
それから何故か、『今日の夕ご飯はなんですか?』という質問が続くようになった。
本当に驚くことに、ほとんど信楽は手作りしていた。
旭では考えられない日常が携帯電話の画像の向こうに広がっている。
そんなある日、控え目に過ごしていたのだがとうとう、旭は『食べたい』と我を押した。
随分と長いこと、返信がなくて、今日の”会話”は終わりかと思った頃、鳴り響いた携帯電話には意外なことに『今度食べにおいで』という文字が浮かんでいた。
「まじでぇぇぇ?!」
そこには『伊吹と一緒に』とも入っていない。
思わず絶叫する旭は幾度も画面を見て、何度も読み直す。
これは完璧、個人的な誘いと受けていいのだろう。しかも自宅…。
長いこと待ち続けていた暗闇に一気に太陽の明りが差したような気分だ。
旭は待ち切れずに『いつお邪魔してもいいですか?』とすぐさま約束を取り付けようとした。
イライラ(ワクワクともいう)する時間を30分ほど過ごし、ようやく返ってきたメール。
信楽がすぐに返信をしてこない人間だとは、今までのやりとりで知った事でもある。
言葉を慎重に選ぶ…と言ったこともなんとなく納得がいった。すぐにやりとりをする旭の周りの人間とは違う。
その端々で”落ち着き”を感じることでもあったし、旭を傷つけない言いまわしを選ばれていることは、気遣われていると思わせてくれた。
蔑ろにしない態度は嬉しいだけで、旭をふわふわとさせる。
『いつでもいいよ。高島君の都合がつくときに』
まさかの返事に、旭は寛ぎまくっていたベッドの上で飛び上がる。
「ほんとにぃぃぃ?!」
ここまでくれば旭が返せる言葉などただ一つだ。
『では明日は?』
あまりにも急な話であることは承知しているが、待ち切れないのが旭の性格でもある。
後回しにして後々都合を聞かれるくらいなら、今この場で決めてしまいたい。
信楽は電話ができる時間なのだろうか…。
…声を聞いて、嫌われていない雰囲気を少しでも感じ取りたい…。
そう思うものの、信楽の生活を邪魔するようで、メールから電話へのシフトはできず、ひたすら相手の出方を待つことしかできなかった。
今回の返信は早かった。
『大丈夫。会社から出る前に連絡をください。住所は…』
詳しい道順など説明しなくても、住所さえ知らせてしまえば辿り着ける旭だ。
そのことを信楽も承知しての連絡事項なのだろう。
初めて聞けたプライベートルームとも言える。そこを教えてくれた、気を許してくれたこと…。
「よっしゃぁーっぁっ!!!」
気合の入りまくった声は、近所迷惑となっていてもおかしくないくらいの大声だった。

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少々短いですが…。

(アンケリクくださいって書いたら早速のコメに"安住先生、一葉の教育に乗り出すの巻"をもらって爆笑しました。
『お座り』ねぇ…。やっぱり読者様の脳内は新鮮ですよね~♪
そして思いがけないことにヒサシ&那智が票を伸ばしていてびっくりです。)
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