FC2ブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
契りをかわして 29
2012-04-04-Wed  CATEGORY: 契り
家に帰ったら真っ先にお風呂…とは耳にしていたが…。
一緒とは聞いていない。
「面倒くせぇ。一緒に何でもしちまうのがいいんだよっ」
甲賀の言い分は理解できるような…、できないような…。
引っ越した先、広くなったバスルームは二人で入っても狭苦しさは感じなかったが…。
この物件を選んだ伊吹としては、こんなことも予想していたのだろうか…。
ある種の嬉しさも混じっていたのは内緒の話。

喜々としてバスルームに飛び込む気にはならなかったが、一応の抵抗を見せて、そして受け入れる姿勢を漂わせて、焦れったい態度が見えれば奪われる。
その強さが、恥ずかしいのに嬉しい。
「甲賀ぁ」
見せかけの抵抗だと甲賀も知るのだろう。
脱衣所に連れ込まれては次々と衣類を剥がされた。
一日の淋しさが表れた感じだ。
信楽に出会ったことが伊吹の中で更に大きく、甲賀の存在を確認させていた。
信楽に守られていた期間…。甲賀に頼りたい部分…。
「甲賀ぁ…」
甘えた声は甲賀を煽るものでしかない。
昔だったらわざとらしく喉を震わせた声も、今は自然と漏れていく。
ふたりともに丸裸になり、慣れた姿なのに、改まって光下に立てば羞恥心も湧くというもの。
でもそれ以上に与えられる興奮。

大人しく体を洗ってもらって、二人して湯船に収まって…。
「伊吹、なんか、今日、変じゃねえ?」
ささやかな気持ちの変化すら甲賀は見つけてしまう。
隠し事ができない、それくらい自分を見てくれているのだと思えば嬉しいことなのだけれど…。
営業として様々な人間に出会う伊吹としては、一日の出来事を探られるようで喜ばしくないのかもしれない。
信楽に出会ってしまったこと…。
それは”特別”な出来事だったのだが…。
甲賀に告げることができなかったことを、甲賀の方から言われてしまえば、言葉に詰まり黙ってしまう。
もっとうまく人とのやりとりができるはずだったはずなのに…。甲賀には何も通じない。
黙ってしまったことが返って甲賀の不信をあおってしまった。

「伊吹…。言えっていってんだろうがぁ」
「…ごめ…」
「謝るようなことかよ。何があったんだっていうのっ?!」
甲賀は苛立ちを隠すことなく、伊吹を責めてくる。
一日に起きた営業活動は甲賀の知ることではないだろうが、感じるものはあるらしく、それは伊吹の過去に繋がった。
今更”浮気”の可能性はないはずなのに、甲賀が思うところは疑いなのだろうか…。
そのことを悲しく思いながら、そこに、全てを告げる透明さを思わされる。
何もかもを打ち明けられるからより一層の信頼関係が、絆が生まれるのだろうか。
信楽との間ではなかった空間…。

湯船の中で寄り添う逞しさに、いつものごとく伊吹は触れあう。
過去の何もかもを知った人だからこそ、今更隠すことの無意味さを感じる。
甲賀の膝の上に乗り、盛り上がった胸筋に指を這わせ、割れた六つの腹筋にも触れる。
包んでくれる肉体が全てを曝け出させるようだ。

「今日、信楽さんに、会った…」
言うつもりではなかった言葉が吐き出されれば甲賀の筋肉がピクリと動く。
何故口にしたのかは伊吹自身不思議でしかない。
信楽の存在を許してもらいたかったのか、甲賀に嫉妬してもらいたかったのか…。
甲賀がそばにいてくれると安心できたからこそ、素直に打ち明けられたことなのだろうか。
「伊吹?」

だけど聞こえてきた冷たい発言に、失言だと思ったのはどれくらい先か…。
「こう…」
「ふざけんなよっ!!」
まっすぐな性格の甲賀には、許されることではなかったのだと感じられたのはすぐあと。
「伊吹の仕事のことは分かっても、昔の男への営業活動まで理解できねぇからっ。先に一言言えっ。一緒に行ってやる」
「甲賀っ」
「信じてるよっ、信じてるっ。でも不安なんだってっ」
ぎゅっと抱きしめてくる強さに甲賀の想いを感じた。
いつもふらふらとしたのは伊吹のほう…。
ようやく手に入れたぬくもりが去るかもしれないと不安がるのも…。過去のことは否めない。
同時に訪れた安らぎ。ささやかなことでも心配して、伊吹を気遣って、いつでも求めてくれているのだという存在。
「甲賀…」
これ以上のものはないと、伊吹は力をこめる。
信楽と甲賀と…。ふたりを同時に並べてしまった時、自分にいかに近い存在かと噛みしめられたのは言わずと知れた目の前の男。
「甲賀…」
もう一度その名を呼んで、伊吹は逞しい筋肉を感じた。
全身全霊で包んでくれる人。何も隠すことなく、全てを伝えて、伊吹の本心を引き出す人。
「伊吹の仕事の邪魔はしないよ…。でもこんなふうに、陰ながら逢われるのは嫌だ…」
甲賀の気持ちを悟った時、伊吹は自分の考えが間違っていたのかと後悔した。
信頼をおく…。ひとつの溝が次の溝を生むことを、信楽との間で味わったはずだった。
信楽は危惧して忠告してくれたはずなのに…。伊吹はまた同じ道を歩もうとしていたのか…。
甲賀の一言で目覚める。
何もかもを告げるのは難しいかもしれないけれど、そこから生まれる信頼関係と愛がある…。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ポチってしていただけると嬉しいです(〃▽〃)
30話、最終回になるでしょうか~っ。
関連記事
トラックバック0 コメント2
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
うにゃー
コメントちー | URL | 2012-04-04-Wed 03:57 [編集]
伊吹さん、頑張って!
ちゃんと言わなきゃ。黙ってちゃダメだよー。
甲賀も自分の気持ちを伝えているんだから。

ちょっとけんかした後のなんとか。
良いかも(笑)
あ、終わっちゃダメです。←ワガママ
Re: うにゃー
コメントたつみきえ | URL | 2012-04-04-Wed 07:40 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 伊吹さん、頑張って!
> ちゃんと言わなきゃ。黙ってちゃダメだよー。
> 甲賀も自分の気持ちを伝えているんだから。

ビシビシ引っ張っていく甲賀です。
ここまでされちゃったら隠し事なんてできない伊吹ですよね~。

> ちょっとけんかした後のなんとか。
> 良いかも(笑)
> あ、終わっちゃダメです。←ワガママ

わがまま言われてる~(笑)
伊吹も素直になったことだし、そろそろね~。
と思っている私なのですが…。
いつものことながら、あてにならない発言かもしれませんよ。
コメントありがとうございました。

トラックバック
TB*URL
<< 2019/10 >>
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -


Copyright © 2019 BLの丘. all rights reserved.