FC2ブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
契りをかわして 5
2012-03-10-Sat  CATEGORY: 契り
半分欲求を失ったような態度が、余計に伊吹の気持ちを落ち着かせた。
セックスにばかり走られるのは明らかに体目当てと思われて、気が滅入る部分もある。
ここまで来たらそれも勝手な言い分でしかないのは分かっているが。
単純な会話だけでも、自分を知ってもらえるような気分を味わえた。同様に相手を知れる。『心』を触れあえる…といった感じだ。これを望んでしまうのは伊吹だけなのだろうが。
それが営業活動に結び付くかどうかはともかく…。親しくしておいて困ることはない。綺麗に別れる方法くらい身につけている。
その後も後腐れなくうまく付き合っていく方法も…。
甲賀の性格を考えても、似たような経験を積んでいると思われた。
でなければ、こんな簡単にホテルまで来はしないだろう。自分もついてこない…。そこは人を見る目…か…。

今がひと息をつく時間のようだ。
今までと変わらない、それどころか知らない面を晒し、親しみを含んだ会話や態度は、堅苦しい空間ではない。
販売側と顧客の立場をこれっぽっちも思わせない態度が余計にありがたいし気を落ち着かせる。
取引相手と付き合っても今までなかった雰囲気だと、ふと脳裏を過っていった。

甲賀は戻ってくると、先程と同じように伊吹の隣に足を伸ばして座りこむ。
煙草を挟んだままの指でプルタブを起こして、顔を上へと傾けながら飲み込んでいく様を、単に見ていると視線が合う。
瞳が疑問と自惚れを同時に表し、いつものように口端を上げて見せる。
甲賀の造りの良さを、本人自身が自覚しているのだ。きっと、見つめられることなど過去に何度も経験済みなのだろう。
そのあたりは伊吹と変わらないな…と思わず笑ってしまったが。
「多賀さん、なんて名前だっけ?」
「何、突然聞くの?」
「なんか、堅苦しい気がするから」
ムード作りまでしてくれることに違和感は沸かない。
伊吹も認めて素直に名前を述べた。仕事上、伊吹はフルネームを覚えることはあるが、先方は営業マンとしての名字しか知らなくて当然だった。
「伊吹」
「『伊吹』?…女の子に間違われない?」
「失礼なっ」
「いやいや、見た目も、さ。初めて見た時から思ってたけど、ハキハキしてるし、ちょこちょこ動くし」
「それ、何?口やかましい女と比べてるの?」
営業上、口が真っ先に動くのは否めない。人に与えた印象とはどんなものなのか…。
「可愛いって褒めてるんだけど…」
「『可愛い』って、あのさぁ。年上に向かって言うことかよ…」
見た目の表現は過去にもいくらでも聞いた。今更本気で怒るわけでもなく、会話を繋いでいく上でのコミュニケーションの一つでしかない。
伊吹自身、今となっては嫌う言葉でもなくなっている。
甲賀が言うように『褒め言葉』と受け止めて前向きに生きているわけだ。
だが、伊吹の返答を聞いて甲賀は今日何度目かの動きを止める。
「は?」
見開かれた目に何が疑問だったのかと伊吹は逆に問いかける瞳を向けた。
「何が?」
冷静さを取り戻す意味もあったのか、甲賀は手にしていた煙草を灰皿に押し付けて消した。
束の間の沈黙が流れる。伊吹にしてみたら、年齢以下に見られることに慣れていた。年齢を告げての営業活動でもない。
だけど会社に出入りしてから、どこかで伝えたか、見聞きしていてもいいくらいの期間はあったのではないか…。
甲賀が改めて向き直ってくる。
「多賀さん、今、いくつ?」
「35」
即答だった。
ここで歳の差を気にされて萎えられるのならそれも仕方ないか…といった感じだ。
契約をとっている以上、甲賀の歳など、その他の情報まで手に入れているのは伊吹のほうで…。もちろん口外することなどありはしないが。
「うそだろーっっっ?!」
明らかな驚かれ方には伊吹から溜め息がこぼれそうだった。何も知らなかったのだと…、それこそ"勢い"だったのだと改めて感じさせてくれる反応。
空しさが今まで以上に心に広がった。いや、分かっていたけど…。甲賀に期待したものは何だったのか…。
その隣で、頭を抱えたいのか溜め息を吐きたいのか、まぁいずれにせよ、現実を知った男が固まっている。
開き直った感情でいたのは伊吹の方かと思わせるくらい、素直な反応だった。
「ホント、に。何?ヤる気無くした?別に俺、このまま帰ってもいいけど」
いかにもソレが目的かというような発言をすれば、固まっていた男の眉間に皺が寄る。
今のところ、冷めた発言をしているのは伊吹のほうで…。
バスルームから出てきてからの余裕のあり方も、レストランでキスをした時の印象とは変わっていたはずだった。

『体で売っている営業』…。
そう捉えられても、…悔しくても仕方ない行動を起こしたのかもしれない。

「年齢にこだわるわけじゃないけど…。その歳、ぜってぇ、サギ…」
「悪かったな…」
呆然としながら呟く甲賀からフンと顔を反らせば、「そうじゃない…」と苦笑いを浮かべられる。
「ヤれる、ヤれない、はまた別の話だから」
何とも率直に物事を語ってくれた。
まぁ、一夜限りなら、素直な相手でいてくれても困りはしなかったが…。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ポチってしていただけると嬉しいです(〃▽〃)
Rはいつ…?な展開になってきました…(;一_一)
先にお知らせいたします。11日の更新はありません。12日は昼頃…までにupできたらいいかな。
関連記事
トラックバック0 コメント4
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
うふ
コメントちー | URL | 2012-03-10-Sat 08:32 [編集]
展開、早っと思ったら足踏みしてますね。伊吹さん、35歳かあ。
見た目二十代なんだろうな。
小憎らしい(笑)

一夜のお遊びで終わってしまえ(嘘です)
No title
コメントけいったん | URL | 2012-03-10-Sat 10:39 [編集]
女性なら嬉しい”年齢より若く見える”ことは、男性にはプライドを傷つける事なんでしょうか?

35歳の年上の女なら 後々結婚を迫られる可能性あり!だけど、 男なら・・・ね♪
どうぞ、どうぞ~、一夜限りの戯れでも 何なりと お気兼ねなく~
それで 済むならね!((≧艸≦*))ウシシシ♪

ちーさんの最後のひと言!
中々言うねぇ~ヾ(≧▽≦)ノあははは!...byebye☆
Re: うふ
コメントたつみきえ | URL | 2012-03-11-Sun 08:38 [編集]
ちー様
こんにちは。

> 展開、早っと思ったら足踏みしてますね。伊吹さん、35歳かあ。
> 見た目二十代なんだろうな。
> 小憎らしい(笑)
>
> 一夜のお遊びで終わってしまえ(嘘です)

足踏みしてますねぇ。
見た目、可愛い可愛い20代のようです。
だから「顔で(身体で)売ってこい」とか周りに言われちゃうのです。
小憎らしい…って…、小さな嫉妬を感じますが…(笑)
一夜で終わるんですかね~どうなんですかねぇ。
コメントありがとうございました。

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-03-11-Sun 08:46 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 女性なら嬉しい”年齢より若く見える”ことは、男性にはプライドを傷つける事なんでしょうか?
>
> 35歳の年上の女なら 後々結婚を迫られる可能性あり!だけど、 男なら・・・ね♪
> どうぞ、どうぞ~、一夜限りの戯れでも 何なりと お気兼ねなく~

女性なら若く見られるって嬉しいの一言ですよね~。
でもでも、男の人は違うのかしら。
頼りない…って不安がられるんでしょうかね。

随分前、母が通っていた病院の先生がすごく若作りで…。
おいおい、大丈夫かよ…と思ったけど年齢聞いたら意外と歳がいっててびっくりしました。(え?聞くな?)

> それで 済むならね!((≧艸≦*))ウシシシ♪

ほんとスルドイところをついてくれる読者様たちです(汗)

> ちーさんの最後のひと言!
> 中々言うねぇ~ヾ(≧▽≦)ノあははは!...byebye☆

言ってくれますね~(笑)
コメントありがとうございました。
トラックバック
TB*URL
<< 2019/08 >>
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31


Copyright © 2019 BLの丘. all rights reserved.