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BLの丘
過ぎてみれば 6
2012-02-21-Tue  CATEGORY: あやつるものよ
こうなったら仕方がない…。
千種は晩酌の用意をし、ご機嫌をとることにした。
放り出した家事、結局自分でやることになるのだ…と身に染みて思ってしまったりする。
風呂上がり後の吉良は機嫌の悪い様子もなく、会話もいつもどおりであったけれど…。
食事を済ませた後、いつもであればリビングで寛ぐところを、千種は「先に休む…」と言って、自室にこもった。
別に家事に疲れたわけではない。
仕事に疲れていたわけでもない。
なんとなく吉良と顔を合わせることに気後れしてしまった。
どう言ったって、言いくるめられ、墓穴を掘ってしまうだけの自分を感じてしまう。
先程のやりとりだけで、自分の威勢は崩されていくのだと充分知らしめられた。

引っ越しと同時に買ったベッドは、ここ最近使われることはなかった。
千種が言った「休む」を一時的なものと受け取っていたらしい吉良が、遅くになって覗きこんでくる。
寝るのは『寝室』だったために、不審に思ったところもあったのだろうか。
仕事を始めた以上、一人、部屋でやりたいこともあると見守ってくるところはあって、言い争いをした後でも喧嘩腰にならず、あたりまえのように受け止めてくれて、年上の余裕すら感じる。
全てにおいて敵わなくて、くそそぉぉと内心で悪態をつくのだが…。

「千種?」
ベッドの中に潜り込んでいた千種に吉良が不思議そうに尋ねた。
まさかここで寝られるとは思っていなかったのか…。
吉良の態度を見ても、『浮気問題』はすでに片付けられたことらしい。…というか、最初から疑ってもいなくて、一種の、千種を試した感覚なのだろう。
新しい場に出ては、心配があるのは分かるけれど…。

「俺、もう、寝る…」
「『寝る』?ここで?」
ベッドのそばに寄り、布団の脇から手を差し伸べて、横向きになって背を向けた千種の髪や首筋を撫でてくる。
「ここで。…吉良のそばにいると良くない結果になりそうだし…」
「なに、それ?何日も連続で千種を構えるほど体力もないと思うけど」
「うそつけ」
年上らしい意見が発されるものの、外見からは感じられない吉良の”若さ”は千種が一番良く知ることだった。
大人しく寝ることは多々ありはしても、昨日の今日、しかも、口喧嘩の後に大人しい仕草があるとは思えなかった。
「千種」
宥めようとしてくれる手は、先程、口で虐めてしまったお詫びなのだろうか…。
「いいのっ、俺、今日はここで寝るからっ」
「千種~」
千種のふてくされなど、お手のものだと、醸し出される雰囲気だけで伝わってきた。
だからこそ、なにがあっても敵わない気がしてしまうのだ。
風呂掃除と食器洗い…。願う方が無理なのだろうか…。
しかし、いつかやらせたい野望は存在しているけど…。

千種が動かないと分かれば、吉良が隣に潜り込んできた。
寝室のベッドとは違って狭いシングルベッドだ。
「ちょっ…っ?!吉良っ?!」
「夫婦は一緒に寝るものです。そして喧嘩というか誤解は体の交わり合いで改めて愛情を確認してね」
「ふざけんな~っ!!」
簡単に言い放ってくれた内容に冷汗が零れる。
昨夜だって翻弄され(満足もしていたけど…)、遅刻しそうになって、今夜の結果を生んだのだ。
またもやベッドの中でいじくられたなら…。

「吉良~っ!!」
「千種が俺の元に戻ってくるって誓ってくれるなら、ここでは何もしないけど」

慌てふためいた千種に届いた冷静な声は、なんだか充分、怖い話だった。
浮気したわけではないし、吉良の元にいる。
『元に戻る』とは、寝室のベッドのことなのか…。
さらに、ここでは、という限定は、次の地での自分の保障はないのか…。
いや、吉良の満足いく返事がないなら、ここで『何か』をするということなのか…。
「吉良…?」
恐る恐る見上げた先には、ニコリと人のいい笑みを浮かべた恋人の姿があった。
自分のことを大事にしてくれている、…それは分かるのだけれど…。

「千種が浮気していなかったか確認するのは、当然だろう」
当たり前のごとく言い放ってくれる人は、落ち着いていた表情も一瞬の見せかけだと告げるようだった。
まだまだ疑いは晴れていないらしい。
千種が自室に潜り込んでしまったから、余計だ…などとは気付くはずもなく…。

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