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BLの丘
新しい家族 41
2012-02-18-Sat  CATEGORY: 新しい家族
一度自宅に帰り、くつろいだ格好に着替えてから隣へと向かう。
父親が住む部屋のリビングに足を踏み入れて、和紀と日生は同時に絶句した。
すでに準備された食品の量は半端なく多い。
奈義がどうしてもラグの上に胡坐をかいて座りたがるため、これまで実践されることのなかった、”リビングテーブルでの食事”があたりまえになりつつある。
そこにはどこから持ってきたのか、テーブルが追加されていた。
部屋の造りが広いため、家具が増えてもあまり狭さを感じさせないが、大人の男が何人も集まれば圧迫感がある。
とはいえ、準備が整ってしまえば、奈義は給仕係として若い男を一人置いただけで、後はダイニングの方へと下がらせてしまった。
周防の立場を考慮しても、ここには最低限の人間しか入れていないようだった。

「まるで宴会場じゃないか…」
所狭しと並べられた料理の数々に和紀はポツリ呟きながら、四人分の量じゃないな…と思っている。
付き人に配ることまで考えたら、消化できるのかもしれないが…。
何事も派手に豪華にやりたがるのは奈義の性格なのか、その筋の人間の特徴なのか…。
すでに並んで座っていた周防と奈義の前に、和紀と日生も腰を下ろした。
奈義は相変わらず寛いだ浴衣姿だったし、周防も部屋着としているTシャツにゆったりとしたズボンを穿いている。
家の中だから気が緩んでいる証拠でもあった。それは良いことでもあったけれど。
「俺がケチくせぇ買い方する訳がないだろう。それに満足いくまで食べられなかったら日生が可哀想だからな」
「いつもいっぱい食べてますよ~」
「たかがプリンを強請ってくるなんて、そんなものも買ってくれないのか、ここの家の奴は」
「単にひなが好物を口にしただけです。心配しないでください」
奈義が言いたい放題話すことに和紀が不満げに口を挟む。
そんな嫌味を喰らうだろうと想像もできたから、『たかがプリン』はできることなら撤回したかったのだ…。
「日生、先にプリンを食べていてもいいぞ」
周防に言われて、だけどさすがに日生は最初からその光景を見せたくなくて首を振る。
アルコールに囲まれた年上の人間を前にして、それでは完全に子供扱いだ。しかも周防の口調にからかわれているのも察することができた。
「あとでゆっくり味あわせていただきます」
仰々しく頭を下げてみせれば、全員から笑みがこぼれ、早速『親睦会』が始まった。

多くの料理にアルコールも入れば、嫌味を交えた口数も増えていく。
もともと周防と奈義の会話などそんなものだったのだから、大して違和感も持たなかったが、時々嫌味の中にもお互いを気遣う台詞が混じって、頬を緩ませることができた。
途中で気を取られていた日生が「プリン」と欲求を口にする。日生にしてみたら、大人の宴会より”土産物”のほうが嬉しい。和紀たちのように酒に強ければまた違った楽しみ方もできたのだろうか。
すぐに奈義が「おいっ、プリン持ってこいっ」と人を動かした。
「はい。全員分でしょうか?」
「バカヤロー。日生の分だけに決まってんだろー」
連中の会話を聞いていて、和紀は用意されているプリンが一つではないことを悟る。まぁ、確かに奈義がそんな買い方をしてくるはずがないのだが…。
和紀の反応を見て周防が少々呆れたように奈義を見やる。
「こいつ、日生の注文を聞いて十個も買ってきやがったんだ」
「うるせー。だが子煩悩になる親父の気分は味あわせてもらったぞ」
和紀は眉間に皺を寄せた。
日生を大切に思ってくれる気持ちはありがたいが、それ以上の行為は遠慮願いたい。
「奈義は父親っていうガラじゃないけどな」
「だから気分だよっ、”気分”っ」
目の前で続く二人の会話の内容には、心温まるものも感じつつ、それこそ有難迷惑だという思いも混在した。

ご丁寧にもケーキ皿の上に出されたプリンは、ツルリと滑って掬いづらいことこの上ない。しかも酔いが回っているせいか手元が怪しい。
悪戦苦闘する日生を見かねた和紀が、半分後ろから背を抱くようにしてスプーンと皿を取り上げた。
掬い上げては日生の口元に寄せてやる。
周防は奈義の元から引きとった日の光景をふと思い出した。あの日も帰宅すると和紀が甲斐甲斐しく世話を焼いていたものだ。
最初に飛び込んできたのが、こうしてプリンを食べさせていた時だった…。
奈義も二人の姿に一拍の間を置く。
「…なんだか変な気分だな。あんなにちっちゃかったボウズが二人ともこんなにでっかくなって…」
「それだけ俺たちも歳を取っているんだよ」
「自分は変わってねぇと思っていたけどな~」
「進歩なしか」
「おいっ、そりゃどういう意味だっ」
奈義が掴みかかればさらりとかわされ…。
和紀と日生のみならず、こちらのやりとりも充分微笑ましい。

お腹を満たし、日生が首をかくっと落とすのを見ては、全員がそろそろお開きの時間だと感じる。
それでもきっとまだこの二人は飲んでいるのだろうが。
「親父、あまり飲み過ぎるなよ」
「あぁ、心配するな」
「周防の面倒は見ておいてやるから安心しろ」
「それよりおまえはいい加減、ゲストルームで寝ろ。いびきがうるさくて返って体に悪い」
「何かあったときのために隣にいてやっているっていうのに、ひでぇ言われ方だな」
日生を横抱きにし、歩き出そうとした背後で聞こえた話に、和紀は言葉を反芻した。
同じ部屋で寝ている…という意味だろう。
奈義なら床に敷いた布団の上で寝る姿も容易に浮かべることができた。
和紀は周防の寝室の模様はある程度把握していた。踏みそうになって邪魔だという意味も込められているのかとも考えを巡らせる。
どちらにせよ、信頼する人間がそばにいてくれるとは心強い。
「じゃあ奈義さん、ごちそうさまでした」
「おぅよ。またいつでも来いよ~」
「誰の家だよ…」
そういう周防も嫌っていないのは肌で感じられることだ。
温かい家族。ぬくもりを手にして、和紀は玄関を出る。

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おかしい…。次回こそは…。
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コメント

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三回目
コメントちー | URL | 2012-02-18-Sat 09:21 [編集]
あはっ!三回目でーす!
同じ事書けるかなあ?

最終回じゃないのを喜んだから?ぶー。ひなちゃん、プリン食べさせてもらってるのが可愛いよ。
オヤジ殿もあげたいだろうなあ。親子に蹴られるんだろうなあ。

そして、パパ復活!
まさかの同衾発覚。
一緒に寝てるの?どこで~?まさか、同じベッドで?まさかね?うん、まさかねー(笑)・・・まさか!
Re: 三回目
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-18-Sat 17:31 [編集]
ちーさま
こんにちは
OH!三回目……
…<m(__)m>ペコペコ

> あはっ!三回目でーす!
> 同じ事書けるかなあ?
>
> 最終回じゃないのを喜んだから?ぶー。ひなちゃん、プリン食べさせてもらってるのが可愛いよ。
> オヤジ殿もあげたいだろうなあ。親子に蹴られるんだろうなあ。

プリン劇場、どうか気に入ってくださいっ。
みんなで口にさせて上げたいくらい可愛さなんじゃないでしょうか。
何人がスプーンを用意したことでしょうねぇ。

> そして、パパ復活!
> まさかの同衾発覚。
> 一緒に寝てるの?どこで~?まさか、同じベッドで?まさかね?うん、まさかねー(笑)・・・まさか!

読者様の妄想に任せて扉を閉じます。
パパと奈義、ふたりのオヤジは何しているんでしょうかね~。
えーと。まさかね~。いや、ふつぅに(←ふつう?!)
同じ部屋で寝ているようです(←細かいコメントはしないっ(〃▽〃))
コメントありがとうございました。

No title
コメントけいったん | URL | 2012-02-18-Sat 22:36 [編集]
周防と奈義、いっそ一緒に住んじゃえばいいのに♪
そこはケジメ?ルール?が、2人の間にあるのでしょうね。

頼り頼られ 甘え甘えられで 恋愛情とは違う友情より深い深い情が、周防と奈義の関係で成り立っているのが、見ていて微笑ましい(o^―^o)ニコ

オヤジたちを見て 微笑ましく感じる私って!
ガ━━━( ゚д゚ ;)━━━ン...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-19-Sun 06:03 [編集]
けいったん様
おはようございます。

> 周防と奈義、いっそ一緒に住んじゃえばいいのに♪
> そこはケジメ?ルール?が、2人の間にあるのでしょうね。
>
> 頼り頼られ 甘え甘えられで 恋愛情とは違う友情より深い深い情が、周防と奈義の関係で成り立っているのが、見ていて微笑ましい(o^―^o)ニコ

幸せな人生を送っています。
住むにはちょっとね~。
奈義も自分の職業のこととか周防の立場とか考えるのでしょうか。
二人の間にある、見えない絆?!
良い関係なんでしょうね、きっと。

> オヤジたちを見て 微笑ましく感じる私って!
> ガ━━━( ゚д゚ ;)━━━ン...byebye☆

オヤジ好きが書いているものなので…。
微笑ましく感じてくれて嬉しいです(〃▽〃)
そんな…おちこまないで…。
コメントありがとうございました。

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