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BLの丘
新しい家族 34
2012-02-11-Sat  CATEGORY: 新しい家族
休日の朝の起床は遅い。実家にいた時には周りに気を使っていたこともあったのだが、日生は物音がすればそれに続いて自分も布団から抜け出していた。
それが今となっては、起きる時間は和紀に決められているようなもので、抱き枕よろしく包まれている日生は、覚醒しても大人しく腕の中でまどろんでいた。
そんな中、日生のお腹から可愛い空腹を訴える音が響けば、寝た振りをしていた和紀からも笑みがこぼれる。
昨夜は早くに夕食を済ませて、そのあと長時間に渡る運動をこなしたのだから、まだ若い日生の育ち盛りのような反応は理解できるものだった。
和紀が酷く大事に抱くおかげで、情事が長引こうが、日生の体の負担は意外と少なかったりする。
「ひなはご飯の時間かな」
「あ…、和紀くん、起きてたんだ…」
笑い声の後に呟かれた声を聞いて、日生は羞恥を覚えた。
飢えた子供みたいだ…。
和紀は一度日生を抱え直して、額や瞼、唇へと軽くくちづけていく。日生も大人しく和紀の動きを感じていた。
一糸まとわぬ二人の肌は密着し、お互いの体温を伝えてくる。
和紀のくちづけかたがさらりとしたものなので、体を熱くするものまでにはならない。
しばし、朝の”肌の会話”を続けて、二人の体は離れた。

「シャワー浴びてきて…、今日はどこか出掛けるか」
「ごはん、待たれているかな」
「寝たきりの介護老人じゃあるまいし。好きにどうにでもしているだろ」
和紀が今日の予定を口にすると同時に、ご飯の準備をする癖がついている日生は周防を気遣う。
自分たちの休日は清音も休みで、よほどのことがないかぎり顔を出さない生活になった。
歳を追うごとに子供が手を離れた…とはまた違った話で、清音は趣味を増やしていた。
和紀と日生が隣室に越したことで、そちらの清掃も頼んでいたから、実質清音の収入はまた増額されていた。
やることさえこなしてしまえば文句を言う三隅家でもなく、要領を得た清音の動きは実にテキパキとしている。
昔のように日生に手と視線を向ける心配もなくなり、逆に時間を持て余すようになっていたのかもしれない。
和紀のどこか冷たく離した発言に日生は「そんなこと言って…」と薄情さを訴えた。
もちろん本心から言っているわけではないのは承知している。
それでもなんとなく、つながりを持っていたいと望んでしまうのは、本当の家族に大事にされなかった過去があり、憧れていたものをくれた感謝の気持ちがあるからなのか…。
「ひなは親父が好きだからな。何かあればすぐに親父の元に駆け込んでいたし」
「そ、それは和紀くんが…っ」
中学、高校に通うくらいの歳の頃になった時の話だとはすぐに悟れる。
和紀が日生を避け続けた影で、周防は淋しがる日生の心情を察してやたらと声をかけてきてくれた。将来のことはもちろんあったし、話をしやすくなったのは確かだった。
和紀も勝手な嫉妬だと充分承知していた。もとは自分が生んだ状況だったといっていい。
そんな振る舞いを見せた時代があったからこそ、嫌味を告げるように周防も何事かあれば必ず『何があっても日生の味方でいるからな』と口にするのだろう。
実父に嫉妬する自分もどうなのかと思うが、こればかりは日生に向かって嫌味の一つも混じってしまうところだった。
休日の朝食の心配までされたら尚更だ。
だけど日生の『家族』を大事にしたいと思う気持ちも充分理解できる。血のつながりがないのに、そんなふうに心配してもらえるのは実の息子としてもありがたいことだと思えた。

二人は交互にバスルームを利用し、簡単に身支度を整えた。
この階に不要な人間が来ないとは分かっていても、一度玄関を出る行動は、室内にいる気軽さを払いのけ、外に出るという意識を持たせた。
インターフォンを鳴らすこともなく、鍵を開けてドアを引けば、ありえないことにドアチェーンが掛けられていて入室を拒んだ。
「なんだ?!」
和紀から怪訝な声が上がった。
こんなことはこれまでないことだった。平日であれば合い鍵を持った清音だって、起床前の部屋に上がり込んでくる。
いくら隣室に越したとはいえ、ここに出入りするのは知られていることで、こんな追い出され方をされる意味が分からない。
まだ寝ているのであればインターフォンを鳴らすのも悪いと少々思い、だが、滅多にない行動は不安を募らせる。
いつもと違う…。それほど恐怖心を煽るものもない。
立て続けにインターフォンを鳴らし、ドアの隙間から「親父?!」と声をかけると見慣れない影が現れた。
和紀と同じ年くらいか、もっと若いひょろりとした男だった。
「どちら様でしょうか」
外見とは違って目一杯の努力が感じられる、それこそ、聞いたことのないドスのある声が中から響けば、事件の可能性を咄嗟に考えてしまうものだ。
少なくとも周防が”連れ込んだ”線は微塵も浮かばなかった。
話題に出ても出なくても、父親の”趣味”くらい承知していた和紀だ。
「おまえこそ誰だよ?!なに、こんなもん掛けてんだっ。さっさと開けろっ!」
「しかし、身元がはっきりとするまでは…」
全く立場が逆転している。この男の身元こそ知りたいものだ。
「親父っ?!」
話にならない男を無視して、和紀は声を荒げた。
背後で何が起きたのかと日生が不安そうに和紀の服の裾を握る。和紀が抱く心配も伝わっているのだろう。
和紀の怒鳴り声に目の前の男は少し慌てた様子で「静かにしてください。まだおやすみ中なんです」と誰かを気遣う。
「だったらさっさと中に入れろっ」
「朝から随分と騒々しい家だな」
和紀の怒鳴り声も、男の焦る態度も全く無視して、男の背後から浴衣姿の年配の男が声をかけてきた。
その容姿に一瞬和紀は固まる。
「く、組長…っ。すいやせんっ」
同時に深々と頭を下げる男を見て、和紀の心がものすごい勢いで冷静になっていった。
状況が嫌というほどはっきりと見えてくる。
奈義がいる以上、蟻の子一匹通さない警備が必要だったのだと…。
「和紀か…。なんだ、周防の生存確認か?」
ここにも父親を老人扱いする人間がいたが、文句も嫌味も言う気になれなかった。
奈義がいるとは、周防に危害がないと判断もできる。
男に鍵を開けるよう伝えながら、奈義はリビングに戻っていこうとしていた。奈義の指示でドアは全開に開かれたが、すでに和紀は入る気を失っている。
「ひな。カフェにでも行って何か食べよう」
その声に反応したかのように、奈義が振り返ってきた。
「日生?!そこにいるのかっ?!」
細く開かれたドアからでは和紀の影になって見えなかった姿も、今でははっきりと見えるものだ。
咄嗟に和紀は自分の背で奈義の視界から日生を遮った。
まだ執着していたとは思ってもみなかった。
腕の中に日生を抱きこみ、奈義に背中を見せた背後で、「てめぇに拝ませるものはねェって言っただろうっ!」と皮肉交じりの周防の声と、「ぐぇっ」という奈義のうめき声、「組長っ」と焦る男の声が響く。
どうしたものかと振り返れば、どうやら周防の回し蹴りが決まった後だったらしい。

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粗大ゴミが出張という名のゴミ置き場に出向いたので、私もちろっと遊びに行ってきます。
更新?うーん…。できたらしますね。お詫びを兼ねて今日はすこし長めに…。
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コメント

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あはは
コメントちー | URL | 2012-02-11-Sat 20:05 [編集]
あー、楽しい!
もしや、パパとオヤジのフムフムか?と、ドキドキしながら読みました。

お兄ちゃん、どんだけひなが好きなの?大事なの?もー、パパにまでヤキモチ焼かないの。

それと、オヤジ!
ひなちゃん、見ちゃダメ。
お兄ちゃんとパパに見事にブロックされてたけど。
やっぱり、ひなちゃんの保育園は無しだと思いますね。
多分、お昼寝タイムにもお兄ちゃんがべったりだと確信しました。

はあ、残念(笑)
No title
コメントmiki | URL | 2012-02-12-Sun 03:36 [編集]
パパ、ナイス蹴りです(*^^)v 奈義も甘いなぁ~。お兄ちゃんとパパがそう簡単にひなちゃんを見せる訳ないのに(笑)
やっぱり奈義とパパはこの関係ですね。これからもパパには奈義をしっかりスパルタ教育してもらいたいです(・へ・)
パパが奈義に構っていればお兄ちゃんのヤキモチも少しは減るでしょうしね(^_-)-☆
Re: あはは
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-12-Sun 08:19 [編集]
ちー様
おはようございます。

> あー、楽しい!
> もしや、パパとオヤジのフムフムか?と、ドキドキしながら読みました。
>
> お兄ちゃん、どんだけひなが好きなの?大事なの?もー、パパにまでヤキモチ焼かないの。

ドキドキ感、ありましたかねぇ。
もう、和紀ったら、誰にでもヤキモチ焼いて大変です。

> それと、オヤジ!
> ひなちゃん、見ちゃダメ。
> お兄ちゃんとパパに見事にブロックされてたけど。
> やっぱり、ひなちゃんの保育園は無しだと思いますね。
> 多分、お昼寝タイムにもお兄ちゃんがべったりだと確信しました。
>
> はあ、残念(笑)

保育園(爆)
えぇ。絶対にべったりでしょうね。
お兄ちゃんとパパはどれだけ差し向けられる刺客(?)より強いはずです。
『おさわり部隊』?!
もってのほかですよ~っ。

コメントありがとうございました。

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-12-Sun 08:28 [編集]
miki様
おはようございます。

> パパ、ナイス蹴りです(*^^)v 奈義も甘いなぁ~。お兄ちゃんとパパがそう簡単にひなちゃんを見せる訳ないのに(笑)
> やっぱり奈義とパパはこの関係ですね。これからもパパには奈義をしっかりスパルタ教育してもらいたいです(・へ・)
> パパが奈義に構っていればお兄ちゃんのヤキモチも少しは減るでしょうしね(^_-)-☆

パパ、いい蹴りが入りました。
奈義も気を許しているんだろうなぁぁぁ。だから蹴られるのです。
奈義を見張る係りは必要ですよね~。
お兄ちゃんのヤキモチ軽減のためにも、ぜひ構ってもらわないと~。
操作する人はやっぱりパパだったりします?!
コメントありがとうございました。

No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-04-09-Mon 10:55 [編集]
拍手コメA様
こんにちは。

>「粗大ゴミ」って何のことですか?まさかご主人のことではないですよね。

まさかε=┏(; ̄▽ ̄)┛(←逃亡)
そこはご想像におまかせいたします(汗)
一言コメントに、こんなスルドイ質問がやってくるとは…。
笑って見送ってやってください。
コメントありがとうございました。

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