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BLの丘
新しい家族 27
2012-02-03-Fri  CATEGORY: 新しい家族
予約が入れられた、夜景の見下ろせるレストランで次々と運ばれてくる料理を堪能した。
仕事の話にも少しはついていけるようになった。とはいえ、和紀はあまり話したがらない世界観だったが。
休学してしまった学業についても、なにか言われることはない。
そこは日生の精神を気遣ってくれているのだろうか。
いつもと変わらない世間話。ただ、周防がいない分、和紀の口調も緩やかになっている気がする。
そんな空間が、自分に気を許してもらえているのだと感じて、日生は嬉しく思えるのだった。
最後のデザートを口に含んで、「ごちそうさまでした」と日生は満足の笑みを浮かべた。
それを見守っていた和紀が残っていたグラスの中のワインを飲み干す。
日生は未成年ということもあってアルコールを口にすることはなかったが、こういった食事の席では、周防に習ったように和紀は当然のごとく口にしていた。
大人になったら、それが当り前なのだと、変に意識のすり替えをされてもいたのだが…。
家でも周防も和紀もそれなりに呑む人種である。

「ひな。部屋、取ってあるから。親父には俺が酔い潰れた、とでも言っておけばいいよ」
家に帰らない理由…。
和紀は最初から”その気”だったことを伺わせたが、日生の中に嫌悪の一つもなかった。
ただ、義務的に抱かれているような、和紀が冷たくあしらっているような時間は日生の心を凍えさせる。
もっと深く…、日常を守るような愛情を持って抱かれたいと願ってしまうのは贅沢なのだろうか。
和紀は日生を抱くとき、包み込むような愛情を見せてはくれない。
まるで性の捌け口だと言いたいような、即物的な扱いを見せる。
それでも和紀のそばにいたいと願う気持ちが日生を従順にさせ、逆に和紀は意思を取り上げたような後ろめたさに襲われていた。
『自分に仕えろ』と言ったのは和紀なのだ。
“支配する”感情で日生を縛った。
周防が会社に招き入れたことは、決して逃れられない運命を背負わせたようで、また周防と痛みを分かち合ったような甘えも含んだ。
和紀だけの意思ではないこと。周防も望んだこと。
日生を拘束し続ける責任を自分だけの責任にしない、ただの甘えになる。

ヨーロピアンクラシックの内装のスイートルーム。リビングは腰高の窓が一面を覆い、煌びやかな夜景を見せてくれる。
またバスルームからも夜景を見ることができる造りだった。
大人二人が並んで入っても余裕があるほどの広さがあり、和紀は日生を誘う。
「ひな。久し振りに一緒に入るか」
「え?」
リビングのソファにスーツの上着とネクタイを投げ置いた和紀が、後ろをついてきた日生のネクタイのノットに指をかけた。
和紀と一緒に入浴するなど、幼いころ以来だ。日生は戸惑いながらも逆らうことはない。
恥ずかしさを覚えつつ頷くと、和紀の表情が少し曇った気がした。
「おいで」
肩を抱かれて日生はバスルームへと足を向けた。
和紀はためらいもなく衣類を脱ぎすてていく。逞しい背中を眺め、自分の華奢な体と比べてしまう。
血の繋がりがないのだから、同じように成長することはないのだと理解していても、改めてその差を見ると、精神だけでなく体のか弱さも突き付けられている気になった。
もたもたしている間に和紀は先に入っていく。
振り返られなかったことは安堵でもあり、淋しさも混ざる。
「和紀くん、入るよ…」
シャワーの音が響く中に声をかけると、「あぁ」と短い返事がある。
幼かった自分が徐々に体の変化を見せたのに、和紀は何も変わっていないと思えた。
和紀に腕を引かれ、足元からゆっくりとシャワーをかけられた。
見慣れた…、身体なのだろうか。されるまま、昔と同じく和紀の手で洗われていく。妙な抵抗心が芽生えないのは、この行動にも免疫があるからなのか…。
バスタブに浸かり、和紀の膝の上に引き寄せられる。体を密着させられるのはどことなく落ち着くものだった。
背中を預けた姿勢で色の違う肌を眺めてしまう。
肌を触れあわせることで淋しさが表れるのか、緊張感も持たずに大人しくしている日生に、和紀も少しの疑問が浮かんだ雰囲気を纏わせた。
「懐かしいな。あの頃、ひなはまだちっちゃくて、すぐにおぼれそうだったのに」
「もう…。そりゃ、成長もするって…」
「俺だから素直に入るのか?他の誰とでも平気で入れるわけじゃないよな?」
「和紀くん?」
和紀の目的とする言葉の真意が掴めず、日生は振り返って和紀を見つめた。
膝の上に乗っている分、和紀を見下ろす体勢になる。そこは昔と違う光景だった。
和紀は顔を歪ませたような苦笑を浮かべた。
「人前で体を晒すなよ。この姿を見せられるのは俺だけにしておけ」
和紀以外の人間…。そんなのは考えられもしなかった。
こんなささやかな拘束ですら、傍にいられるものだと思えれば、日生の中で喜びに変わった。
本当はもっと、全身を包むような優しい言葉で囁かれたい内容だと思うのに、和紀が見せるどことなく冷たい態度に、多くを望んではいけないと戒めようともする。
自分の存在価値とは、和紀にとってどの程度のものなのか…。
それでも今はそばにいたいと願い、自然と寄り添った日生の反応に、和紀の体がピクンと跳ねた。

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コメント

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もしも
コメントちー | URL | 2012-02-04-Sat 00:34 [編集]
お兄ちゃんが結婚するとか言っても、ひなちゃんは我慢するんですよね?
お兄ちゃんの愛人になるのかなあ。
(まあ、それはないですよね?)

ひなちゃんは、お兄ちゃんが好きなのに言えなくて、お兄ちゃんも言わなくて。あーもー、焦れったい。
ひなちゃん、きっとお兄ちゃんみたいに優しくて強引な人が出て来たら、きっとグラッて来そうですよね。


けいったんさま。
乳児園、残念ですねー。
いっそ、私達が作りますか?

・・・嘘ですよ!

早く、ひなちゃんも入園できるようになると良いですね。
Re: もしも
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-04-Sat 07:17 [編集]
ちー様
おはようございます。

> お兄ちゃんが結婚するとか言っても、ひなちゃんは我慢するんですよね?
> お兄ちゃんの愛人になるのかなあ。
> (まあ、それはないですよね?)

結婚?!
あ~、まぁ、その時は我慢して祝福しているでしょうね。
そしたら周防パパに寄生するんですかね、日生は…。
でも相手の女性も可哀想ですよ。
なんてったって、お兄ちゃん、何があっても『日生一番』ですから(笑)

> ひなちゃんは、お兄ちゃんが好きなのに言えなくて、お兄ちゃんも言わなくて。あーもー、焦れったい。
> ひなちゃん、きっとお兄ちゃんみたいに優しくて強引な人が出て来たら、きっとグラッて来そうですよね。

じれったいものばかり書いています(汗)
強引な人が出てきたらね~。
その前に阻止されていそうですが(近寄れない~~~)

> けいったんさま。
> 乳児園、残念ですねー。
> いっそ、私達が作りますか?
>
> ・・・嘘ですよ!
>
> 早く、ひなちゃんも入園できるようになると良いですね。

乳児園園長の座は譲ります(爆)
飼育するのはなかなか大変ですよ~。
コメントありがとうございました。

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