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BLの丘
新しい家族 20
2012-01-27-Fri  CATEGORY: 新しい家族
日生が連れて行かれた店舗というのは、派手なネオンが煌めくビル街の中、地下に繋がる階段の先にあった。
表の喧騒とは打って変わって静まり返り、日常とは切り離されたような照明の落とされた世界が広がる。落ち着いた雰囲気は日生の来たことがない場所であった。
店内に入ると四十代半ばくらいの支配人といった感じの男が出迎えてくれた。
恭しい態度でいるのは単に『客』だから、という理由だけではないのだろう。
「真庭様、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
あまり愛想が良いとは思えないが、それが常に、なのか、奈義が相手だから、なのかは日生には判断がつかない。
男は奥にある席へと奈義を促していく。
特別にあつらえられた広めのソファ席は、奈義の専用なのだと何となく知ることができた。

たぶん、店自体はそれほど広くないのだと思う。こういった店に来たことがないのだから比べようがない。
隣り合った客同士の顔を隠すくらい、高く背面を持つU字型のソファに、二人、または三人の男が座っている。
一人は奈義よりもずっと年上だと思うような恰幅の良い中年の男で、もう一人は日生と同じくらいか幾つか若いくらいか…。
そんな客の組み合わせがちらほらと足早に過ぎる通路から見えてしまう。
あたりまえそうに見えながら、どこか異様な雰囲気を感じ取った。

案内された席は他とは質感が違うソファの生地と全体的な広さがあるように見えた。
すぐに様々な飲み物のボトルやグラスを持った若い男が二人続いてきた。どちらもホスト並みの顔の良さとスマートな動きで日生は声を出す間もなく呆然と事を見守るしかなかった。
日生と奈義を中心に両脇につく。
こちらの男たちは先程の無愛想な男とは打って変わってニコニコとした態度を見せてはくれたが、あくまでも奈義に向かってであって日生に対してではない。日生におこぼれのように手をかけるのは…、奈義の手前…というべきか…。
特に奈義の隣に座った茶髪の男はべったりと奈義に寄り添い、奈義が煙草を取り出せばすぐに火をつける。軽妙に会話をつなげようとする。
男に囲まれているのに圧迫感がないのが不思議な空間だとも思った。それが『客商売』という仕事につながるものになるのだろか…。
日生の隣にいた男が全員分の飲み物を用意しおわると、ほんの少し雑談に付き合ったといった感じの奈義が、「少しコイツと話したいことがあるんだ。しばらく誰も寄らせないようにしてくれ」と言って追い払ってしまった。
どこか腑に落ちない様子でありながら、それでも二人は大人しく去っていく。

改めてふたりきりになったところで煙草を揉み消した奈義が、微動だにできないでいる日生にグラスを渡してくる。
「まぁ、乾杯といこうや」
「え、でも僕、お酒はまだ…」
「あぁ?!何かてぇ事言ってんだ。一杯くらい飲めるようになっておけ」
ほとんど無理矢理持たされた琥珀色の液体は何になるのだろう…。
グラスをかざすだけにして奈義は一気に飲み干し、日生は恐る恐る口をつけてみた。喉が焼けるようなむせ返る濃さが流れ込んでくる。
「…っくっ!」
飲み慣れないものを口にしたと明らかに分かる反応に奈義が口端を上げた。
「周防は一口も飲ませたことがないのか。自分じゃ高校生の時から飲んでいたっていうのになぁ」
家では和紀も周防も色々なアルコールを摂取しているのを見ている。
飲んでみたいと思ったことがなかったわけではないが、物欲しそうな視線を向けるのが分かるたびに二人とも笑顔で「大人になったら」と繰り返してくれたものだ。
初めて口に含んでみて、こんなものも、飲み慣れてくれば『美味しい』と思える日がくるのかと、少々疑問を持った日生だった。

「ところで、あの、ここは…」
「ここ、なぁ。客との相性を確かめる場、ってところか。一見ただのクラブだが、客が求めてくるのはそこにいる『人間』、自分を売りたがっている奴だ。奴らも自分を気に入ってもらわなければ売り上げにならないのを承知しているから客相手に媚びを売る。少し焦らして金額を吊り上げさせるなんてできるようになったら大したもんだぜ。話が決まればあとは二人の好き好きさ」
奈義は説明しながら煙草を取りだしたが、いつもと違う違和感に眉根を寄せた。
それに気付かず、日生は「好き好き…って?」と質問をしてしまう。
日生の問いに奈義の反応が遅れたのは、奈義が現状を理解したからだった。
「あーっ、クソッ」
どこにぶつけたかったのか突然吐き出された悪態と頭を掻き毟る姿に、日生はビクンと後ずさった。
「この俺に手酌させるなんて、おまえが初めてだぞっ」
そう言いながら目の前のボトルを掴んで自分のグラスに注いでいた。煙草も同様だ。自分でライターを触ったなど、外に出ている時には考えられない行動だった。
だが日生にはそういった知識は皆無である。
「こうやって客をもてなして、ご機嫌を取って、二人して同意が得られりゃ、ホテルでも自宅でも好きなところで好きなプレイを楽しめばいい。うちは会員制を取っているから怪しい人間が出入りすることはまずないが、あまりにも目に余るような客ならこっちから話をつける」
日生の頭の中はこんがらがっていた。
奈義が言っている話は、つまるところ、『売春行為』なのではないか…。
店に入って目にした他の客同士の組み合わせに違和感を持ったことに納得がいった気分だ。やたら寄り添う若い男。中年の男たちは、決して自分から近付きたいものではない。
全身の血の気が引いていく。
煙草を咥えたままの奈義が、話を聞いて脅えを表した日生を見てニヤリと笑った。
「なぁ、日生。不特定多数を相手にするのが嫌だって言うなら、俺が特別な計らいで、俺のもとにおいてやってもいいぞ。借金の心配もしなくていいだろう。もともとの貸主は俺なんだしな」
伸びてきた手に顎を掴まれた。
獲物を追い詰め捕獲し、どこから手をつけようかと舌舐めずりされているようだった。

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コメレス全然できなくてすみません。・゚・(ノД`)・゚・。
ご心配おかけいたしました。
インフルじゃなかったのは良かったですが、じゃあなんなんだ、あれだけの高熱は?!でした。
一日で4℃の体温上下があると、もう参りまくりですね…。
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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-01-27-Fri 12:21 [編集]
日生は、奈義に喰われそうだし~~!
きえ様は、風邪菌に喰われてるし~~!
怖い世の中ですね。ブルブル《《(゚c_゚;)》》ブルブル

ヒーローの登場は??

きえ様、無理しないでね♪
θ。( ̄▽+ ̄*)お薬ざます...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-01-28-Sat 07:23 [編集]
けいったん様
おはようございます。

> 日生は、奈義に喰われそうだし~~!
> きえ様は、風邪菌に喰われてるし~~!
> 怖い世の中ですね。ブルブル《《(゚c_゚;)》》ブルブル

怖い世の中です(笑)
悪い虫(菌)も増殖中だなんて、困っちゃう…。

> ヒーローの登場は??
>
> きえ様、無理しないでね♪
> θ。( ̄▽+ ̄*)お薬ざます...byebye☆

ヒーロー来るかなぁ。
こうしてコメントもらえるのが最強のお薬ですヽ(゚∀゚)ノ
コメントありがとうございました。
良かったけど良くない!
コメントちー | URL | 2012-01-28-Sat 09:02 [編集]
風邪、治ったんですか?
無理してませんか?嬉しいけど。

あーん、ひなちゃんがピンチ!
助けてー。
オジサンにテゴメにされるー!
お兄ちゃん、来い!
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