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BLの丘
新しい家族 16
2012-01-20-Fri  CATEGORY: 新しい家族
嘘の情報を日生に伝えたことで奈義はこってりと周防から説教を喰らったらしい。
あの事務所で初めて出会った時の事を思い出す。記憶としてはかなり曖昧だが、何かに怒った周防が構わずにテーブルを蹴りあげて激しい物音がした。
自分に危害が加えられるのではないかとただ脅えていた。
日生の前で周防が声を荒げることはほとんどなかったが、一番最初の印象とは結構深く残っているものである。
小さい頃から大人に逆らってはいけないという気持ちが植え付けられていたから尚更…。
あの剣幕でやり込められる奈義に、少々の同情を寄せてしまうが…。また極道を名乗りながら、可愛いところもあるものだと変に感心してみたり。
それも周防だから成せる技なのだろう。

日生はずっと、自分にできる仕事というものが引っ掛かっていた。
家の中に籠るだけだった自分にできること。和紀たちに並んで企業に勤めるにはまだ早いが、少しでも学費の手助けができるのではないかと脳裏を過る。
何より大きく圧し掛かっていたのは『三千万円』という金額だった。
見ず知らずの自分のために、私財を投げ打ってくれたこと…。

日生から奈義に連絡を取ると、酷く驚かれた。まさかあの話のあとで、日生に問われるとは思っていなかったのだろう。
だがほんの少し、喜んでいるような声音も聞こえた。
電話口では表情までは見えないが、日生の意思を汲み取ってくれているようだった。
「迎えに行ってやるよ」
働く、どうこうはまだとしても、聞くべきことはあるだろう。

しかし日生の希望は叶えられることはなかった。まず奈義がマンションに迎えにくることができなかった。
清音の監視は厳しくなり、逐一周防たちに連絡が入れられたためだ。
周防から奈義に対して牽制の声に、奈義も諦めざるを得なかった…というべきか。どうしたものか、頭が上がらないらしい。
日生も二度と奈義に関わるなときつく言われた。
穢れを知らない日生は全ての面において、世間知らずすぎて、巧みに言葉をかけてくる奈義に簡単に騙されるだろうと心配される。
近寄らないのが一番良いわけで、過去に何があったとはいえ、今でも繋がりを持つ必要性はないと…。

日生が成長してから、避けられていたような和紀が怒りを露わにして日生の部屋に入ってきたのはその日のことだった。
いつもよりも早く帰宅した和紀で、清音も帰ってしまった今は二人きりだ。
「ひなはあの男のもとで何をしようとしているわけ?!」
怒りを含んだ声にどうしたのかとビクついてしまう。こんなふうに声を荒げられることはほとんどない。少なくとも日生に対してはありえなかったことだ。
「何を…って。…分かんないから…」
「どんなことをされるのか、教えてやったほうがいいの?」
「『される』…?」
世間知らずな自分が得ている情報量など、あまりにも少ない。身に危険が及ぶことなのだと、和紀の態度が漠然と知らせてくる。
今の和紀を怖い…と思いながら、だけど久し振りに近付けた和紀に安堵の息がつかれそうだった。こんなふうにずっと、傍にいてほしかったと…。自分のことを気にかけてほしかった。
「ひなはこの先もここにいればいい。余計なことは考えるな。借金のことを気にして、そんなに何かをしたいと思うなら、俺のために尽くせ」
初めて聞いた優しさの見えない冷たい命令口調に、日生は一瞬震えた。
それでも、和紀のためなら…と逆らう気は起きない。
突然抱きすくめられた腕の中、和紀の唇が日生の唇を塞いだ。
日生は自分の身に何が起こっているのか理解できず、呆然と濡れた吐息を浴びた。

隠し持っていた和紀の愛情が、溢れだした時だった。
いつかの家庭教師ではないが、こうして襲ってしまいそうになる感情を押し留めてきた。だからこそわざとのように避けられた日々。
日を追うごとに日生に向ける視線は欲望を孕んだものに変わった。
そのことを日生は知らず、奈義という人間に縋ったことを、和紀は許さなかったのだ。
こんな言葉を使ってしか日生を繋ぎとめられない不甲斐なさを感じる。
過去を振り返らせて、雁字搦めに縛りつけようとしている和紀こそが、一番汚いと思いながら、もう止めることはできなかった。

「わ、き…くん…?」
日生はベッドに仰向けに倒された。大きな瞳を見開いて見上げると、辛そうな和紀の顔が見える。
…和紀に尽くす…?
日生を押さえつけるように跨ってきた和紀が荒々しく日生の服を剥いだ。
「ひなはずっと俺のそばにいろ。離れるな」
何をしようとしているのか…。僅かな知識が脳裏を巡る。
この行為を続けることで和紀の満足が得られるのだろうか。その為に自分は存在するのだろうか。
それを望まれるのであれば…。
日生は恐怖と闘いながら、だけど一切の抵抗をみせなかった。
そのことがまた和紀を悲しくさせた。
数年の時をおいて、久し振りに視界に入れた日生の体は、想像以上に細く、綺麗な白さを保っていた。

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コメント

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お兄ちゃん!
コメントちー | URL | 2012-01-20-Fri 04:41 [編集]
あらまあ。お兄ちゃんたら。
ひなちゃんに何する気でしょうね。
・・・いや、わかりますけど。

オヤジに狙われちゃったから、いっそのこと保育園に入れちゃえば?って、思っちゃいました。
年季の入ったお子ちゃま達に触りまくられそうですけど。

考えただけで楽しくなりました。

ひなちゃん、お兄ちゃんと結ばれちゃうのかなあ。
理性が勝つのかなあ(笑)
Re: お兄ちゃん!
コメントたつみきえ | URL | 2012-01-20-Fri 07:19 [編集]
ちー様
おはようございます。

> あらまあ。お兄ちゃんたら。
> ひなちゃんに何する気でしょうね。
> ・・・いや、わかりますけど。

お兄ちゃん、暴走してしまいました。
もう、いろいろと溜まっていたでしょうね。
何をするのか、って、ねぇ(笑)

> オヤジに狙われちゃったから、いっそのこと保育園に入れちゃえば?って、思っちゃいました。
> 年季の入ったお子ちゃま達に触りまくられそうですけど。
>
> 考えただけで楽しくなりました。

保育園!!
年季の入ったお子ちゃまたち、むしろそっちの方が危険だったりして(爆)
ひな、格好の餌食になりそうですよ~。

> ひなちゃん、お兄ちゃんと結ばれちゃうのかなあ。
> 理性が勝つのかなあ(笑)

ひなもお兄ちゃんのことは好きであるんですけどね。
おうちの中にいるばかりで、ずっとかまってくれた人から突然冷たくされたようで淋しいんです。
それが愛になるのか…。
コメントありがとうございました。


No title
コメントけいったん | URL | 2012-01-20-Fri 10:00 [編集]
あらまぁ、とうとう爆発ですか!(笑)
それまで 和紀の中で グツグツ・フツフツと色々な感情が渦巻いていたんでしょうね。

だけど ひなの方は、どうなの?
和紀に構って欲しいし、淋しいのは確かですが、それは 愛とは違うよね~
(*・・*)ヾ(・ω・;)カマッテ・・byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-01-20-Fri 12:40 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> あらまぁ、とうとう爆発ですか!(笑)
> それまで 和紀の中で グツグツ・フツフツと色々な感情が渦巻いていたんでしょうね。

和紀も堪えていたものがあった模様。
でもだからってこんな形で爆発するのもね~。

> だけど ひなの方は、どうなの?
> 和紀に構って欲しいし、淋しいのは確かですが、それは 愛とは違うよね~
> (*・・*)ヾ(・ω・;)カマッテ・・byebye☆

ひなは育ててもらった恩とか甘えたい気持ちとか、こちらも色々なものが渦巻いています。
そこにやってきてしまった和紀…。
この続きは…?!
コメントありがとうございました。

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