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BLの丘
淋しい夜に泣く声 14
2009-09-15-Tue  CATEGORY: 淋しい夜
泣きじゃくる英人が力なく「もういい…」とそれ以上の行為を拒否すれば、榛名は無体を強いることはなかった。
威圧的な態度で英人を捩じ伏せようとするのに、全く反対の優しさを見せる。その優しさが傷ついた英人の心の隙間にしっかりと入り込んでくる。
英人はこの男が自分をどうしたいのか全く分からなかった。道具のように使い捨てるのであれば、手心など加えてくれなくていい。

その後、英人は泣き疲れていつの間にか眠りについてしまった。
朝目覚めた時にはすでに榛名の姿はなく、また汚れたはずの身体も綺麗にされていた。最後の処理までしてくれたのは榛名だろう。
どこまでみっともない姿を晒したのかと、英人の心の中は羞恥心でいっぱいだった。次にどんな顔をして合えばいいのかと焦りも生まれる。

ベッドの端に置かれていたバスロープを纏いリビングに出てみれば、昨夜はあったはずの榛名が手にしていた書類や衣類など一式が全て片づけられ、ここに榛名がいたという痕跡が何一つなかった。
唯一、自分が着ていた服と一緒に榛名と野崎の名刺があって、それだけが昨夜の話が嘘ではなかったと思わせるものだった。


部屋に入って10日ほどが経とうとしていた。
最初の2、3日は、着替えを取りに戻るとか、描くための材料を揃えるとか、理由をつけてホテルの部屋を出させてもらえたが、それでもアパートで生活をすることの許可は下りなかった。
榛名は英人の為に使う金銭に糸目を付けなかった。
ホテルの一室をアトリエの代わりに使わせるというのだから、それだけでも充分な無駄遣いだろうと思う。
身につけるものだって本当ならアパートに取りに行かなくても済むほど与えられていた。部屋から出る時にはイタリアブランドなどで揃えられた服を着ることはあっても、部屋の中では着なれた今までの安物が身体にあっていた。

一度描き始めてしまえば、思いのほか作業に集中する自分がいた。寝食を忘れるほど没頭する時もあり、榛名や野崎を心配させたこともある。久し振りに描く世界は想像力に溢れ、楽しいとすら感じられた。
何枚ものラフスケッチが出来上がり、仕事が終わった後たまに榛名が顔を出してそれらを眺めていく。
あの夜以来、榛名と関係を持つこともなかったし、理不尽な態度も取られなかった。どちらかといえば温厚な面が見えるほどで、最初の時の印象とはだいぶ変わってきている。
それでも仕事帰りの姿は、あまりにもきっちりしすぎていて、誰をも圧倒する鋭さを備えた雰囲気には近寄りがたさがあった。

ある時、いつものように夜に顔を見せた榛名が翌日のことを聞いてきた。
「明日は時間が取れるか? 」
デスクの上に投げ出されていたラフスケッチを数枚手にしながら、その場に腰かけた榛名は、画材の前に座った英人の背中に声をかける。
英人は何事かと振り返った。視線を合わせた瞬間に、ドキリとした。
いつの間にか無造作に崩された前髪と緩められたネクタイ。たったそれだけで、この部屋に入ってきた時の威圧感は薄れている。このガラリと変わる雰囲気には改めて驚かされるものがあった。
立ち寄った榛名がこうして英人の前で自分を着崩したことなどなかったから、どうしたのかと思ったくらいだ。

「あ、明日?」
「おまえに会わせたい人がいるんだ。ここに連れてきてもいいんだが…。どうせなら外で食事でもしよう」
「は、い…」
今の英人に予定があるわけがない。聞くだけ野暮だと内心で思いながら、会わせたい人とは誰なのだろうと疑問が湧いた。
この部屋に入って以来、榛名は極力英人に外部との連絡を絶たせてきた。元々人付き合いが広いわけではなかったから、一部の友達と連絡を取り合うくらいで、外出して誰かに会うなどということはしていない。友人との会話の中でも榛名の名前を漏らすことは一切許されていなかった。
榛名グループに関するCM類は専門の会社が存在していて、そこが統括しているらしく、他企業に依頼することはまずないそうだ。いつ情報が漏れるとも分からないこの世の中で、無関係の英人を起用することが危険な賭けになることを榛名自身も承知している。
そこまでして手に入れたい価値が自分にあるとは到底思えなかったが、巡ってきたチャンスをふいにする気も英人にはなかった。どうせやさぐれたような人生だったのだ。たとえ夢でもすがってみたい気持ちがある。

守られていると分かる自分を、この現状下で会わせたいという人間がいかなる存在のものなのか、今の英人には想像もつかない。
「明日の夕方、野崎を迎えに寄越す」
詳しいことなど何一つ言わずに、榛名は部屋を出ていった。

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文章力の無さに呆れかえりつつ日々を送っております。
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