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BLの丘
過ぎてみれば 3
2011-12-26-Mon  CATEGORY: あやつるものよ
千種が風呂を出た時にちょうどいいタイミングで吉良が帰宅した。
「あー、ごめん。風呂、先に入っちゃったし…」
「いいよ。千種だって疲れただろう」
今までの生活があるから申し訳なさに告げれば、なんてことないと吉良は笑みを返してくる。
一日の労働のことを吉良なりに気にしてくれていたようだった。
「あったまっているなら俺もそのまま入っちゃおう」
着替えを取った吉良は、慌ただしくバスルームへと向かっていた。
追いだきしなくていい時間帯は良いことになるのだろうか…。
その間に千種は手抜き料理と言っていい存在を揃えた。それからふと思いついて、バスルームへと駆け込んだ。実際には脱衣所であるが。
「吉良~。吉良~、終わったらお風呂掃除しといて~」
完全な甘えっぷりな声を出せば、一瞬の間の後で、「わかった」と返事が来る。
千種が働くことで、家事を分担(どこまでが分担になるかは多いな疑問だが)すると誓った吉良に、今の言葉は響いたらしい。
これで一つ手間が減ったとほくそ笑みながら、千種はダイニングに料理を運んでいた。
晩酌はいつもと変わらないが、お風呂掃除の労いも加えてやれば吉良が不機嫌になることはないだろう。
週の半分、この技を使おうと…、心の内で思われることは吉良には当然内緒だ。こうして一つずつ家事をさせていけばいい。
声を出しておだてる。こんな楽なものもない。しかも慣れていってくれる過程を見られるのが楽しい。

「でね、近所に住んでいる人っていうのが分かってぇ~」
夕食の席で、促されるままに初日勤務の経過を、聞かれて答える。
もちろん、社外秘などはあるのだからそのへんを曖昧にしたところで怒る吉良ではない。
ただ、千種が帰り際に話しかけられ、また、近所の住民だという男がいるということには激しく反応された。
「千種は遊びに来てもいいと言ったのか?」
「まさか…。あくまでもここ、吉良の家だし…」
吉良が問いただしたことと、千種の中に燻っているものが違うものだと判断して、吉良は一瞬口を噤んだ。
確かにマンションを購入したのは吉良だが、住んでいるのは千種も一緒である。
遠慮などはいらない、と思う反面で、自由に歩かれることの不安もあった。
どれだけみみっちい男なのかと吉良自身自分を責めるのだが、こればかりは制御がきかない。むしろ、呼び寄せてこの場で紹介してほしいくらいだと思った。
千種の身辺を知れることは安心につながった。
「千種の家でもあるといつも言うだろう。連れて来てくれれば、俺としても広がりが見えるな」
自分の家でもあるのだと千種に言い聞かせると、静かに頷いてくる。
千種の日常(?)を知れることは、吉良の中で重要だった。

夕食の片付けを済ませ、寝室へと向かう。
吉良が持ち込んだベッド以外は、真ん中の部屋に移されていて、こちらはすっかり『寝室』となっていた。
千種の部屋はありはするものの、ほとんど使われていないと言っていい。せっかく買ったベッドも今では不用品に近い。
なにはせずとも一緒に横になるのはいつものこと。
…そんな中で事に及ぶのはたまに…。
少なくとも、翌日仕事を控えた千種に仕掛けてくるとは思ってもいなかった。
今までなら、予定のない千種相手に無茶は容認できたものの…。

「吉良?!吉良、俺、明日、仕事~っ」
「分かっているよ。すぐ終わるから」
「そういう問題じゃない―――っ」
慌てる千種を平然とねじ伏せてくれた。どことなく不機嫌さが漂っているのは、千種でも感じられることだった。
風呂掃除をさせたことだろうか…。
「吉良~っ」
「千種、隙だらけだからね。あまり色気、蒔いちゃダメだよ」
「してないからっ」
あれよあれよといううちに、吉良の腕の中に落ちていく自分もどうなのか…。
結局啼かされて心地良い睡眠モードに落ちてしまった。

起きた時はすでにギリギリの時間である。
朝食の準備をザッと整え、かきこむようにして胃に収めて、のんびりとしている吉良に半ば怒鳴りつける。
上着を腕に抱え、ネクタイを中途半端に引っかけた格好でリビングを飛び出そうとした。
「洗いもの、流しに置いといてくれればいいからっ」
「千種、ネクタイ」
「車の中でやるからいいよっ」
「そういうのが事故につながるから。ながら運転はダメ」
引き止められて、きゅっと手早く締められた。
忙しいからといって注意散漫になることを吉良は許さない。
心配されていることは嬉しいことでもあるけれど…。
チュっとキスをされて送りだされた。
これまでは見送る側だったのに、少しの違和感はあるものの、自分も吉良のためになれる、自分としての生き方を見つけられたことはやはり嬉しい。
このままうまく、朝食の準備は千種、後片付けは吉良って分担できないかなぁ…などと心の内で思っていたことは内緒の話である。

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お待たせしております。そろそろ年末年始休暇を頂くと思います。
今年、うちの粗大ゴミも締めきりが早くて…。
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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2011-12-28-Wed 15:01 [編集]
おー『関連記事』欄を見てみると2週間ぶりくらいなんですね
大掃除っていうか年末一掃セール…?

“イケダン”育成計画ですね
最近知ったんですよイケてるダンナさまのイケダン
仕事ができるのは当然だけど、家事も育児もソツなくできる旦那さまってかっこいい~
ほめて甘えて持ち上げて気持ち良く都合よく手伝わせて自分も楽するノウハウ見習いたいです

逆に旦那様にしたら“籠の鳥”育成計画は男のロマンでしょうね
自分だけを愛して頼る、そして誰にも見せずに大切に愛して甘やかせるっていうの、甘美だなぁ
もちろん吉良さんはそんなことしないでしょうが、ほかに目が行ったり自分の知らない世界で生き生きしている小鳥ちゃんがちょーっと悩ましかったり心配だったりするんじゃにかなーなんて思っちゃいました
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-29-Thu 09:52 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> おー『関連記事』欄を見てみると2週間ぶりくらいなんですね
> 大掃除っていうか年末一掃セール…?

大掃除できればいいんですけどね~。
なるべく書いていきたいです。
時間があいてしまってすみません。

> “イケダン”育成計画ですね
> 最近知ったんですよイケてるダンナさまのイケダン
> 仕事ができるのは当然だけど、家事も育児もソツなくできる旦那さまってかっこいい~
> ほめて甘えて持ち上げて気持ち良く都合よく手伝わせて自分も楽するノウハウ見習いたいです
>
> 逆に旦那様にしたら“籠の鳥”育成計画は男のロマンでしょうね
> 自分だけを愛して頼る、そして誰にも見せずに大切に愛して甘やかせるっていうの、甘美だなぁ
> もちろん吉良さんはそんなことしないでしょうが、ほかに目が行ったり自分の知らない世界で生き生きしている小鳥ちゃんがちょーっと悩ましかったり心配だったりするんじゃにかなーなんて思っちゃいました

イケダン!!
千種は順調に吉良を育てるんでしょうか。
育児はまぁ…ともかく…。(千種を飼育するのか?!)
男のロマンを見つつ、自分も飼育されていく…。
持ちつ持たれつの仲の良い二人だと思います。
生き生きしている小鳥ちゃん(笑)
生きがいを見つけられるのはいいことだけど、やっぱり心配は尽きないですよね。
コメントありがとうございました。

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