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BLの丘
2011年 クリスマスツリーの下で 8(最終回)
2011-12-23-Fri  CATEGORY: 『想』―sou―
興奮冷めやらぬ状態で市内へと戻っていく。
リムジンの中は騒々しいくらいの声が響いていたが、聞き過ぎていた久志と日野はもちろん、保護者も微笑ましく見守っているだけだった。
神戸「ずっとこの調子だったの?」(隣に向かって)
日野「終始バリバリ全開」
神戸「お疲れ様…」
日野「まぁ、いつものことですから」(さすが飼育員)
安住「いつも見守ってくれてありがとう(ニコニコ)」
佐貫「俺からも感謝するぞ」
日野「…いえ、そんな…(テレテレ)」

地上に降り立ったとはいえ、周りはまだまだこれから動き出す風景である。夜更かしすることが当然と知ったこの数日間。大人しくホテルに戻って眠るわけがない。
まずは腹ごしらえ…だった。
気軽に食べられ、またある種、ラスベガスの名物ともなっているバフェに早々決まってしまう。
千城はあまり好きではなかったが、好みのものを好きなだけ食べられることが子供たちには嬉しいらしいので反対もしなかった。
宿泊しているホテルのディナータイムのバフェがいったいいくらになるのか…。
もっとも、その金額(価値)を把握していたのは、龍太と雅臣だけだったが…。
今回のツアーには添乗員の食事代も観光料も含まれているので当然合い席となる。(こんなところに入れるなんて…と感動のふたり)
背後に大きなクリスマスツリーが飾られた、隅の席は人の往来もなく静かに過ごせる場所だった。(料理には遠いけど…)
繋げた長テーブルに総勢12名の団体客。
    千城 英人 成俊 佐貫 龍太 雅臣
    安住 一葉 那智 久志 日野 神戸 (席、こんな感じ)
やってきたウェイターにそれぞれの飲み物を注文し、一斉に並べられた料理へと走っていく姿を千城と安住は柔らかな笑みを浮かべて見つめていた。
安住「この後、少し時間を作っていただけませんか?」
千城「どうかしましたか?」
こっそりと話しかけてくる正面の安住に千城が首を傾げた。
安住「あの子たちにクリスマスプレゼントを渡したいんです」
千城が不思議がっても安住はそれ以上何も言わなかった。だが安住なりのサプライズなのだと悟ることができたから千城は黙ったまま静かに頷いた。
遠くに見えるウロウロする人たちに視線を馳せながら、千城はウェイターを呼びつけるとチップとは思えない大金を渡した。指定の給仕係にさせ、他に2、3人の人間を付ける。
皿に乗せきれず、あわあわとする連れたちの持つ物を、先にこちらに運ばせた。なにせ、料理までが遠い席なのだ。何度も往復させるのが可哀想だった。
安住「榛名さん、お食事は?」
千城「適当に盛り付けたものを持って来させようと思います」
席を立とうとしない千城に疑問の声を投げかければ、性格を表した返答があった。千城は『届けられる料理』が好きなのだ。
本来千城の言うようなことはこういった場ではありえない話なのだろうが、実行してしまうのは『力』なのだろう。
あとは英人が持ってきたものを横からつまめばいい。
ふわりと微笑んだ安住は「では」と立ち上がって、ワイワイとする人たちの中へと紛れた。

一人分の料理…というよりも大皿に盛られたものをみんなでつつき合うような光景だった。特に向かいあった子供たちの間では激しく皿が移動している。
英人「これ、美味しいよ~」
成俊「あっ、食べたいっ」
一葉「俺も味見~」
那智「俺も俺も~っ」
久志「…(人のことを図々しいとか恥ずかしい奴って言ったの、誰だっけ…)…」(今更)
龍太「日野くんって盛り付け、上手いよね」(覗きこむ)
神戸「でしょー。普通、ぐちゃぐちゃになっちゃうっていうのに」
日野「長流が自慢してどうすんだよ…」
会話に気を取られた久志が横に座る日野へと視線をずらした。視線の先は皿の上。
久志「え、それ何?どこにあったの?」(種類がいっぱいあるので見つけられなかったらしい)
日野「これ?…んー。味どうだろ。俺はあまり好きじゃなかったな…」
残すのも悪いな…と思っていたところに久志の声がかかり、日野は迷いもなくフォークに刺したものを久志の口元に寄せた。久志も迷わず喰いつく。
一部冷気が漂ったが当の本人たちは全く気にしていない。
久志「…んー…」
日野「だろ?」
神戸「何?僕も食べたい」
日野「はいよ」
日野がとった行動は、皿を滑らせる、というものだった。(ますます周囲が冷え込む)

龍太「…(ボソ)ま、まさか…成田離婚…?」
雅臣「それ、保育園の危機になっちゃうじゃん…」(今後の旅行に大きな影響が…←心配するのそこ?!)
久志「あ、神戸さん。俺が『あーん』してあげる」
那智「ヒサっ!!」
日野「だから、狙うんじゃねぇって言ってんだろーっ!!」
席が近くて良かったんだか、離れていて良かったんだか、微妙だった。
久志の手の早さは充分なくらい(?)体験済みの日野なのである。(←?)

所詮友達同士での気軽な所作と宥められて神戸も納得せざるを得なかった。今更オープンにはしないが千城とはいろいろあった仲だ。公共の面前でも平気で出来るアレコレばかりで、その中には日野と久志が先程起こしたような行動も含まれる。
このふたりは『そういう仲』なのだ…。

大満足での食事を終えた後、連中は再び夜の街に繰り出した。昼よりも夜の方が活気づいているのがこの街の特徴といえた。
雅臣が見つけたお勧めのホテルの散策(?)などにも連れていってもらい、大満足で真夜中を迎える。
手には買い物袋やら、また買いこんだお菓子やら…。
街は今の季節、クリスマスにちなんだものが多く見受けられた。
帰り道、ぷらぷらと歩く中で、安住が「あぁ、ここがいいな」と突然言い出した。
なんてことない、ツリーの下に円形のベンチが備えられただけの場所。さほど大きくはないが全員座ることはできるだろう。
運良く誰も座っていなくて促されるまま外向きで円陣を組むように12名が座りこむ。全員首をひねらなければ見えなかった。
一体何をしようとしているのか誰もわからず、ただニコニコと微笑む安住に従うだけだった。
安住「昔やったよね、プレゼント交換」
千城「え、でも何も持ち合わせがありませんが…」
安住「僕からの感謝の気持ちですよ。一葉、隣にどんどんと回して」
そう言いながら隣に座った一葉に、また反対側に座った成俊に、買い物袋の中から綺麗にラッピングされたプレゼントを取り出した。
大きさはそれぞれ異なっている。つまり中身が違うということ。
どうしたものかと思いながら誰も逆らえず、一人一つずつ手の上に乗った。
安住「じゃあ、一曲歌って終わったところで自分のものね」
突然響き渡った合唱は道行く人の目を止めて、恥ずかしがる気持ちもあったが、何より楽しんだのはお子様たちだった。
膝の上をくるくるとプレゼントが回っていく。
最後の夜にこんな楽しい出来事が待っているとは思ってもいなかった。回るたびに歌う声に力がこもる。
保護者にとってみれば、歌い終わって弾けた笑顔が何よりのプレゼントであったけれど。

クリスマスツリーの下、サンタから届けられたプレゼントは、ホテルの部屋で愛しい人と共に見せあえればいい。
選んだものは全てに「Las Vegas」と入ったただのお土産品でしかないが、記念くらいにはなるかな。
安住の柔らかな笑みはいつまでも皆を見守っていた。

―完―

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相変わらず強引に終わらせてますが…。
安住、締めるなぁ…。
(あれ?!秘書?!)
くだらないものにお付き合いありがとうございました。
(あと別宅に行ってくださった方。私、旅行ごとにアルバムを作るのであの一冊はラスベガスでした…。)
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コメント

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楽しかったです
コメントちー | URL | 2011-12-23-Fri 05:42 [編集]
豪華ラスベガス旅行でしたね。
読んでいて楽しかったです。

陰から、こっそりご一行様を見たいです。良い男ばっかりの集団は、目立つでしょうねえ。
しかも、可愛い子もシブイ大人もいるなんて素晴らしい。

あ、でも一緒にいたいわけじゃ(笑)
保育士にはなれませんからねえ。
添乗員さんにも・・・

このシリーズのほのぼのした感じが大好きです。
また、会えるのを楽しみにしています。

写真も、ありがとうございました。
Re: 楽しかったです
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-23-Fri 07:30 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 豪華ラスベガス旅行でしたね。
> 読んでいて楽しかったです。
>
> 陰から、こっそりご一行様を見たいです。良い男ばっかりの集団は、目立つでしょうねえ。
> しかも、可愛い子もシブイ大人もいるなんて素晴らしい。
>
> あ、でも一緒にいたいわけじゃ(笑)
> 保育士にはなれませんからねえ。
> 添乗員さんにも・・・

ただの旅行日記みたいなものですみませんでした~。
こんな御一行様がいたら目立つでしょう。
私も影ながら付いていきます(笑)
そう、一緒じゃなくて、後ろからね。

> このシリーズのほのぼのした感じが大好きです。
> また、会えるのを楽しみにしています。
>
> 写真も、ありがとうございました。

またそのうち何かの機会に登場させたいです。
何かネタを探してこないと…。
くだらない写真にもお付き合い感謝です。
コメントありがとうございました。


No title
コメント甲斐 | URL | 2011-12-23-Fri 23:27 [編集]
満喫しましたよ
ゴージャスなラスベガス
小さなしこり(?)を残したかもしれませんが
みんな楽しめたからいいとしましょう
個別にお仕置きやらご褒美が待っているかもしれませんけど
それはそれでお家についてからのお楽しみですね
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-24-Sat 11:07 [編集]
甲斐様
こんにちは~。

> 満喫しましたよ
> ゴージャスなラスベガス
> 小さなしこり(?)を残したかもしれませんが
> みんな楽しめたからいいとしましょう
> 個別にお仕置きやらご褒美が待っているかもしれませんけど
> それはそれでお家についてからのお楽しみですね

ゴージャスなラスベガス~っ。
皆様も旅気分味わってくださったら嬉しいです。
小さなしこり(?) なんのことでしょう(゚∀゚)(←)
えぇ、みなさん楽しんだので良いのです。
あとは自宅に戻ってベッドの中で語り合っていただきましょう。
いつまでもホテルのパンフレットを眺めていそうな雅臣にしびれを切らしそうな人が一人…。(余韻に浸り過ぎ)
コメントありがとうございました。
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