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BLの丘
甘い人 3
2011-12-09-Fri  CATEGORY: 甘い人
シティホテルのロビーの一角には、強面の人相をした、スーツ姿の人間が数人いた。
この近くで起きた事件について、聞き込み調査が行われている。
集まっているのは警察の人間で、必要とされる監視ビデオのテープを手にすると、営業の邪魔をしないようにと去ろうとしていた。
後に残ったのは感謝と今後の調査にも協力を求める上役の存在だ。
部下にはさっさと鑑定を急げと促している。
「ご迷惑をおかけいたしました」
頭を下げた屈強な体格の佐貫光也(さぬきみつや)に対して、支配人の年配の男は、「ご協力できることがあればなんなりと…」と、またこちらも平身低頭の姿勢である。
単なる聞き込みでも詳細に状況を語ってくれるのは、この辺りを危険区域にしたくない気持ちがあるからだ。
観光客も多ければ、噂でさえ悪影響を及ぼしかねない。
できることなら最小限ですませたいのは誰もが思うこと。

「また後日…」
佐貫の言うことを理解したように、支配人および従業員も残った警察の人間たちに至極丁寧な挨拶を繰り広げた。
人を見る目を持つホテル側の人間の証言は、一般人よりもずっと優れていて、訪れた関係者たちを感心させてくれた。
幾人もが出入りするロビーの中、当たり前のように去ろうとした佐貫の視界に、見たことのある人間が飛び込んできた。
酔っ払っているのか…。
男の肩に腕を回し、もたれかかるように支えられて歩いている。ただそれだけのことに視線が向いただけ。
だが直後、驚愕に目が見開かれた。
酔っているとしたならふらつく足取りは充分理解できるものの、相手とする男と、この場所が納得いかない。
それらは『刑事』という職の勘でしかない。

しばらく様子を見て、見送りつつ、佐貫はエレベーターに乗り込もうとする男をホテル側に聞いた。
すぐに答えられるところが、人間を見定めたような視覚をもつ肌である。客を捉えられる観察眼、この能力は素晴らしいとしか言いようがない。この日宿泊する人相など、覚えきれないのが普通だろう。
そして尋ねたことを即座に応えてくれる。

佐貫の仕事柄だから聞けたことと言っていい。
他の人間なら答えてもくれないプライベートな内容になる。
宿泊予定の部屋がツインルームであれば、もう一人の人物が来ることはホテル側も予測できている。疑いを持つこともない。
佐貫はその部屋のキーを用意させると共に、去ろうとした部下を二人連れた。
「おい、案内してくれ」
「え?あ、しかし…」
「全部の責任は俺がとる。いいから鍵を開けられる形をとれ」
突然の指示にホテル側は大きな戸惑いを見せた。
いきなり今通り過ぎたばかりの男の部屋に踏み込む、といった姿勢は訳も分からなく驚きでしかない。
有無を言わせない脅迫ともとれる指令に、諦めを感じ素直にしたがい、鍵を持った従業員と佐貫、さらに背後を覆うような警官を2人携えて、目的の階へと向かった。

…嫌な予感がする…。
単なる刑事の勘でしかないが、僅かな時間でも冷汗が背筋を伝わった。
昔の自分でなら、指揮もとれなかったが、今なら何もかもが可能だった。…いや、それ以前の問題…。
守りたいと強く思うものがあるからこそ、微かな疑問も確かめたいものに変わる。

辿り着いた部屋。
呼び鈴を鳴らしても、しばらく音も何もしなかったが、立て続けに鳴らすと「何っ?!」といらだつ声が中から響いた。
ホテル側の従業員に扉を開けるよう指示すると、戸惑いの後で鍵を開けた。
彼らにはまだ成り行きが見えないのだろう。状況を説明する余裕を、今の佐貫は欠いていた。
「何かっ?どうして?!」
突然開かれた扉に、疑問を浮かべる相手の男は入口の前まで来ていた。上着を脱ぎ、ワイシャツ姿ではあるがネクタイも外されて胸元は開けられている。
佐貫は扉を大きく開かせ隙間をくぐって奥に進もうとした。
もちろん動揺したのは廊下(とはいえない狭い通路だが)に立った男。
「なんですかっ?!あなたたちっ?!」
「うるせーっ」
閉ざすように両手を広げた男を振り切って、佐貫が進んだ先には、布団にくるまれた男の姿があった。
猿轡をされ、両腕を背後で縛られている。
布団で隠されていたが、それがどんな状況かは床に捨てられた衣類ですぐに知ることができた。
全裸である。
そして、見つけた顔。
「望っ!!」
響いた声に驚いたといった感じの瞼が声の元を追った。
やはり勘は当たった…。
ベッドに転がされていたのは、紛れもなく、自分を愛しながら答えを見つけられず、ようやく諦めてくれた男の姿だった。
今では愛されているべきはずの人間が、どうしてこんなところで…。
そして、状況は望が選択したものではないことを語る…。
「きさまっ…っ」
振り返った先で、止めようとした部下の姿があった。
「やめてくださいっ。調べますからっ!!」
この場で警務職ながら暴行が加えられれば立場は一変する。
佐貫の進退を気遣う者たちは、咄嗟に状況がいかなるものなのか判断出来ていた。
それらは佐貫を庇う、ありがたいものでしかなかった。

「暴行の現行犯だ。連れていけ…」
悔しいながらも、ようやく落ち着いた態度を見せ、佐貫から静かに告げられる言葉の通り、ついてきた人たちは男を連れた。
佐貫と残された人の話を、邪魔したくなかったのもある。自分たちが携わってはいけない何かを感じ取っている。
残された人…。それは明らかに佐貫の知人であり、知られたくない世界があることを物語っていた。

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視点が変わってしまった…。ごめんなさい。
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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2011-12-09-Fri 12:36 [編集]
゚.+:。(〃ω〃)゚.+:。 キャァ♪
佐貫、好き~ヽ(○´3`)ノ チュゥゥゥ

脇役だろうが、チョイ出演だろうが、何であれ 私にとっては 素敵なご褒美を貰ったようで・・・ありがっとぅ~♪ヾ(^Д^*)ノ

って、望が こんな状況で喜んでいるのは どうなの私!?(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
でもでも やっぱり嬉しいよ~♪感謝☆(人゚∀゚*)☆感謝♪...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-09-Fri 16:03 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> ゚.+:。(〃ω〃)゚.+:。 キャァ♪
> 佐貫、好き~ヽ(○´3`)ノ チュゥゥゥ

…な、なんか、けいったん様の萌えを掴んでしまったような気が…汗
いや、話の流れ上、出したって言うか…別に出さなくてもも良かったんだけど…(今更)
でも喜んでいただけたようで良かったです。

> 脇役だろうが、チョイ出演だろうが、何であれ 私にとっては 素敵なご褒美を貰ったようで・・・ありがっとぅ~♪ヾ(^Д^*)ノ
>
> って、望が こんな状況で喜んでいるのは どうなの私!?(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
> でもでも やっぱり嬉しいよ~♪感謝☆(人゚∀゚*)☆感謝♪...byebye☆

早めのクリスマスプレゼントですかね。
日頃、読んでいただいている感謝をこめて、ご褒美♪(いや、偶然…)
で、望―――っ。
喜んでいる方をドSと認定させていただきます。
こんなひどい場面なのに~。・゚・(ノД‘)・゚・。
で、さっさと次ね。
コメントありがとうございました。
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