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BLの丘
ただそこにいて 69
2011-11-01-Tue  CATEGORY: ただそこにいて
寮で暮らすとは言っても、寝る時間を別にしているだけで、実際の生活はほとんど一緒と言っていて良かった。
働く時間は当然一緒で、ご飯を食べる時間も一緒で…。
それとなく触れ合う時間があったとしても、周りにもなんとなく気を使い、会話もぎこちなくなってしまう。
今までこんなことはなかったのに。
それはお互いを改めて意識してしまった証拠なんだろうか。
知っているのか、周りの人に黙って見守られていることにくすぐったさもあったけれど…。
同じ立場の多くの人がやはり同じように黙認されていることを知ったのもこの頃か…。
食堂で交わされる、違う班の人間のやりとりとか…。今までと違った目で見られるようになったのは、自分に眼鏡がついたからだ。
気にならなかった仕草などが、良く見れば甘い雰囲気を醸し出していた。
体に負担があることを双方で理解してからは、夕食後の接触も軽いものになる。
だけど週末だけは、まるでお互い許したように貪り合う時間に変わってしまう。
体の隅まで知ろうとするくまなく動きまわる手が、俊輔にとって気持ち良くもあり、求められていると感じられて嬉しいものだった。

ある休みの前の日、吉賀に「ご飯食べに出ないか?」と誘われた。
俊輔の懐事情を知るからなのだろう、外食に誘われることは少なかったが、少しずつでも余裕が生まれていることは吉賀も知っている。
寮内だけでなく皆が寛ぐような空間を共に過ごしたいのは俊輔も同じ気持ちだ。
俊輔自身に金銭的な貧困さがみられなくなっていることもあった。
一食分の贅沢を今までほど気にすることもなくなった。とはいえ、贅沢ができる性質にまでにはなっていないが…。

仕事上がりのあと、着替えて外に出られる格好になる。
伊佐からもらった衣類は、吉賀の前で身につけるには少々の躊躇いがあるものの、堂々といられる自信を持たせてくれた。
人前に出るのに恥ずかしくない…といった感じなのだろうか。
吉賀も俊輔の気持ちを悟ってくれているから、あえて口にしてくることはない。伊佐の存在を認めてくれたようにも思えて喜ばしかった。

吉賀と一緒に寮を出ようとしたところで津和野に会った。
「おや。どこか行くの?」
「たまにはご飯、食べにいこうかって…」
「そう。たまにはホテルにでも寄ってくれば?」
「な…っ?!」
突拍子もない発言に俊輔は目を剥くが、吉賀はいい案をもらったといった感じでピクンと反応した。
「お勧めのところを教えてあげるよ」
「先生っ!」
「どこ?」
「吉賀っ!!」
聞こうとする吉賀の袖を引っ張る。いくら週末は…と暗黙の了解があったとして、いかにもヤりに行きますみたいなのを人に知られるのは好かない。
それ以前にこういうネタを平気で話をされることに慣れないというべきか…。
その場を去ろうとしても吉賀は気になるようで動こうとしなかった。
「吉賀~」
「なかなか楽しいところだよ。遊びにいく感覚で行ってごらん」
津和野はニコニコとすすめてくれる。
うまく飼い馴らされて、しっかり情報を手に入れた吉賀はすっかりご機嫌になった。
こんな状況ではご飯どころではなくなってしまうというもの…。
もう…と照れて顔を赤くする俊輔を放って二人は話に花を咲かせている。
これまでどんな話を二人で繰り広げてこられたのか、そちらの方が気になってしまう俊輔だった。

居酒屋でご飯とお酒を愉しんだが、気分はどこかそぞろで過ごした。
伝票を持って立った吉賀の後をついていくのが精一杯で何を話しかけようかと思ってしまう。
「俊輔、…いい?」
店の外に出て、そっと囁かれ、何のことなのかは理解できて、俯きながら頷いた。
覚悟はできていたし、それとなく興味があるのは俊輔も同じこと。吉賀の希望を叶えてあげたいのもある…とは言い訳だろうか。
さり気ない仕草で腰に腕を回され、行くべき方向に導かれる。
その場所まですぐで…。吉賀がどうしてこの居酒屋を選んだのか、今頃になって気付いた。
素面で行くには勇気もいる。
これも津和野の入れ知恵なんだろうか…。

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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2011-11-01-Tue 12:13 [編集]
わは!!
津和野せんせーったら
なんてタイムリーな
そろそろそんなことじゃないかと思ってましたって?
人目や耳(?)を気にせず思いっきり乱れて来い
だなんて…
同じ屋根の下で暮らしているとはいえ寮ですものね
週末だもの、めいっぱいラブラブしておいで
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